栄養成分の1つとして、鉄があります。「鉄不足になると貧血になる」というのは、皆さん知るところではないでしょうか。しかし、子供の身長や成長に必要であるかどうかは、よく分からないという方もいることでしょう。
鉄も子供のからだが成長するためには必要な栄養成分の1つです。そのため、どのような形で子供の成長に関わりがあるのか、お母さんなら知っておきたいところではないでしょうか。
鉄がどんな働きをするのか知っておけば、子供のからだの変化にも気づきやすくなります。それは、子供の健やかな成長を願う親にとっては重要なことです。そこで今回は、鉄が子供の身長や成長にどう関係するのか、徹底的に解説します。
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鉄はどんな栄養素？
「そもそも鉄ってどんな栄養素？」と思っている方もいるのではないでしょうか。鉄は古くから貧血を治療するミネラルとして活用されています。古代ギリシアでも、貧血を治療するために鉄が用いられた形跡が残っているほどです。
鉄は赤血球中にあるヘモグロビンなどの構成要素でもあることから、酸素を血液中で運搬することや、細胞が呼吸することにおいて、非常に重要なはたらきをします。そのため、鉄が不足すると運動機能に支障をきたすのです。
運動機能に支障をきたすと、子供の成長や身長に影響を与えます。
鉄は食品中にも存在しますが、様々なところに広く存在しています。地球上では主に、ケイ酸塩や酸化物として存在しています。例えば、「水に濡れてほったらかしにしていたらサビた」なんて経験があるでしょうが、それも鉄です。
しかし、からだに取り入れる鉄は、あくまでも食品中に含まれている鉄が中心です。食品から摂取された鉄というのは、主に小腸で吸収されます。しかし、そこで吸収される量は非常に少ないので、意識的な摂取が必要なのです。
非ヘム鉄とヘム鉄どっちが子供におすすめ？
一口に「鉄」といっても、それは大きく2つの種類に分けられます。それが、「非ヘム鉄」と「ヘム鉄」です。どちらも食品に含まれる鉄であり、鉄には違いないので、どちらを摂取しても「鉄」としてカウントされます。
しかし、どちらが子供の身長や成長に役立つのかというと、「ヘム鉄」の方です。栄養成分についてはどちらも大きく変わるわけではないのですが、何が違うのかというと吸収率が圧倒的に違います。
鉄は基本的に吸収率の低い栄養成分です。そんな鉄の中でも、ヘム鉄は吸収率が10％から20％であるのに対して、非ヘム鉄は2％から5％です。それを考えると、ヘム鉄の方が効率的に鉄を摂取できるのです。
ヘム鉄が豊富に含まれている食品は肉や魚、非ヘム鉄が豊富に含まれている食品は野菜や穀類です。
子供の鉄不足が問題視されている
貧血になるのは、「大人の女性」というイメージのある方も多いのではないでしょうか。実際に、大人の女性で貧血になりがちな方は多いです。しかし、貧血は誰もが引き起こす可能性のある症状です。
そのため、「大人の女性」に限らず、誰もが鉄を積極的に摂取して、貧血の予防に努めるのは非常に大切なことです。しかも現代では、子供の鉄不足が問題視されています。
なぜ子供が貧血になるのかというと、子供の鉄必要量が大人より多いからです。子供の方がからだは小さいので、「そんなに必要なの？」と思われる方がいますが、子供のからだは身長が伸びている途中で、成長の過程にあります。
子供のからだを成長させるためには、多くのエネルギーが必要になります。多くのエネルギーが必要ということは、栄養成分がそれだけ必要であることを意味しています。したがって、大人と同じだけの鉄を摂取しても足りないことがあるのです。
鉄はビタミンCやタンパク質と同時に摂取すると吸収率がよくなる
子供の身長や成長のために、鉄をしっかりと摂取させるためには、吸収率をアップさせるのが効率的です。そのためにヘム鉄を含んだ食品を中心に食事に取り入れることが大切ですが、非ヘム鉄が含まれているものもからだにとって必要な栄養を含んでいます。
そこで重要なのが鉄の吸収率を高める栄養成分と一緒に鉄を摂取することです。そうすれば、非ヘム鉄であっても吸収率がアップしますし、ヘム鉄であればさらに吸収を高められます。
ビタミンCとタンパク質も子供の身長や成長に必要な栄養成分の1つですが、こんな働きがあることを知らなかった方も多いのではないでしょうか。
ビタミンCやタンパク質と一緒に摂取すれば鉄の吸収率がアップするので、様々な栄養成分を満遍なく摂取するにしても、できれば鉄と一緒に摂取したいところです。そうすれば、子供の鉄不足の可能性も減らせます。
スポーツパフォーマンスの向上に鉄が効果的
鉄は子供の身長や成長のために必要な栄養成分ですが、様々な場面においても必要となる栄養成分です。その1つが、スポーツを行う際です。鉄は血液中で酸素を運ぶのに一役買っている栄養成分です。
スポーツを行う際、そのパフォーマンスを向上させるためには、からだ中に酸素が行き渡っている必要があります。
しかもスポーツをしている最中には、多くの酸素を消費します。特に水泳や陸上などはかなり多くの酸素を消費しますし、地面を足につけるだけでも、実は酸素を消費しています。そのため、スポーツをしている最中こそ鉄がより必要になるのです。
したがって、スポーツをしているアスリートキッズは、より鉄の摂取が求められます。小学生より小さなころからスポーツを始めるアスリートキッズもいますが、そういう場合こそ食事では鉄を多く摂取した方が良いです。
鉄は子供の成長に欠かせない栄養素
鉄は単純に貧血を防ぐために摂取が必要なだけではなく、子供の身長や成長にも影響を与えることから、欠かせない栄養成分です。なぜ、身長や成長に影響を与えるのかというと、鉄には造血作用もあるからです。
造血作用とは、血をつくるはたらきのことで、人間のからだは血液がつくられているからこそ、生命維持活動ができているといっても過言ではありません。
子供のからだは成長過程にあるので、しっかりと造血できないといけません。なぜなら、子供のからだは日々成長しているので、そのからだを維持できるように、たくさんの血液が必要となるからです。
お母さんたちの成長時代を思い返してみると、朝礼などで貧血を起こして倒れた子を一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。自分が貧血で倒れた子供だったという方もいるでしょう。
子供が貧血で倒れる原因は、まさにそこにあります。日々鉄を必要とする量がどんどん増えているので、それに対して摂取が追い付いていないことがあるのです。したがって、子供がきちんと鉄を摂取できるよう、意識的な食事をすることが大切です。
子供は鉄がどれくらい必要？普段どれくらい摂れている？
推奨量と平均摂取量は厚生労働省の「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」「日本人の食事摂取基準（2015 年版）の概要 」を参考にしています。
6歳～17歳までの平均摂取量と推奨摂取量
| 厚生省の推奨量 | 平均摂取量 | |
|---|---|---|
| 6～7歳 | 男：6.5mg | 男：4.4mg |
| 女：6.5mg | 女：4.1mg | |
| 8～9歳 | 男：8.0mg | 男：7.0mg |
| 女：8.5mg | 女：6.5mg | |
| 10～11歳 | 男：10.0mg | 男：7.0mg |
| 女：10.0mg | 女：6.5mg | |
| 12～14歳 | 男：11.5mg | 男：7.0mg |
| 女：10.0mg | 女：6.5mg | |
| 15～17歳 | 男：9.5mg | 男：8.1mg |
| 女：8.5mg | 女：6.7mg |
鉄が不足する子供の成長にどう影響する？
子供に必要な鉄の量が分かったとしても、もし鉄が不足した場合にどうなるのかというのは気になるところではないでしょうか。貧血になったら倒れるというのは有名ですが、それ以外にも鉄不足による症状はあります。
鉄不足が具体的に子供の成長にどう影響するのかを知っておくことによって、より鉄の積極的な摂取をご家庭の中で促せるのではないでしょうか。子供が鉄不足になると、身長や成長に影響があるだけではなく、健康そのものに栄養を与えます。
健康に影響があるようになると、子供の正常な成長に影を落とすのは言うまでもありません。鉄不足になると考えられる症状として、3つのことがあります。こうならないように、鉄の摂取を積極的に行いましょう。
鉄欠乏性貧血
1つ目は、鉄欠乏性貧血です。これはいわゆる、「貧血」のことです。鉄欠乏性貧血を起こす原因は3つあります。1つ目は、鉄の摂取不足です。単純に食事からの鉄の摂取が少ない場合に起こります。
2つ目は、出血による鉄不足です。何らかの出血性の病気を発症している場合に起こりやすいです。出血しているとどんなに鉄を摂取してもそれによって鉄が排出されます。3つ目は、鉄の吸収率の障害です。
普通の人なら足りる鉄の摂取量であっても、何らかの原因でからだが鉄の吸収率が低くなっていると、貧血を起こします。これら3つのうち、子供が鉄欠乏性貧血を起こす可能性が高い原因は、鉄の摂取不足です。
鉄欠乏性貧血になっても一時的なものや軽い症状で済む場合もありますが、そうでない場合もあります。
しかも、鉄欠乏性貧血を起こしたときには、からだで貯蔵していた鉄分が枯渇している可能性もありますし、血清鉄が減少している可能性もあります。そうなると、子供の身長や成長に影響を与える場合があるので、注意が必要です。
運動機能の低下
2つ目は、運動機能の低下です。前述した通り、鉄が不足するとからだ中に酸素を行き渡らせにくくなります。人間がからだを動かすのには、必ず酸素を必要とします。例えば、指先を少しだけ動かすだけでも、血液中の酸素が使われているのです。
そのため、子供のからだの中で鉄不足になると、運動機能が低下します。運動機能が低下すると、子供の身長や成長に影響があるのは、言うまでもありません。からだの運動機能が低下すると、身長を伸ばすことや成長させることは難しくなります。
運動機能が低下することは、単純に運動するのが苦手なことを指すのではなく、少し動いただけでも息があがったり動悸がしたりするようになります。そうなると、歩くのも運動機能の1つなので、生活に支障をきたすようになるのです。
免疫力の低下
3つ目は、免疫力の低下です。免疫力が低下すると、子供の身長や成長などと言ってられません。まずは、免疫力を高めることが重要になります。免疫力が下がると、単純に風邪をひきやすくなるだけではなく、様々な感染性の病気にかかりやすくなります。
ちょっとケガをしただけでも、その傷口から大変なケガになることもあるくらいです。鉄が不足すると免疫力が低下する理由は、造血量が少なくなるからだけではなく、栄養をからだ中に行き渡らせにくくなるからです。
栄養成分がからだに行き渡っていないと、どんなに栄養を摂取してもその効果を発揮できません。そのため、からだのバリア機能である免疫力が低下するのです。
鉄の過剰摂取による副作用や危険性は？
鉄が子供の身長や成長に必要な栄養成分であることが分かったとしても、気になるのは「たくさん摂取しても大丈夫なの？」ということではないでしょうか。
鉄は大人も子供も必要なミネラルなので、たくさん摂取しても良さそうですが、過剰摂取による症状が気になるところです。
なぜなら、どんな栄養成分も適量なら薬になっても、過剰摂取すると毒になることがあるからです。なので、摂取が必要であっても、とにかく摂取すれば良いわけではない場合があります。
鉄の摂取量の耐容上限量
どの栄養成分もそうですが、鉄にも摂取量の耐容上限量が定められています。女子と男子で若干の違いがあるものの、1日の耐容上限量は、1歳から5歳は25mg・6歳から7歳は30mg・8歳から11歳は35mg・12歳から14歳は50mgです。
「女子の方が鉄をとった方が良いのでは？」と思われるかもしれませんが、これはあくまでも耐容上限量なので、からだの大きい男子の方が上限量も大きいです。
推奨量については、月経の始まった女子の方が鉄の摂取を多くするよう推奨されています。とはいえ、女子も男子も子供の身長や成長では鉄が必要になるので、耐容上限量内で積極的に摂取するのが望ましいです。
鉄をこの耐容上限量を超えて摂取すると、過剰摂取になります。鉄を過剰摂取すると、便秘や胃腸障害などを引き起こします。さらに、鉄は過剰摂取すると毒性があるともいわれている栄養成分です。
通常の食事で過剰摂取になる可能性は低い
過剰摂取となる基準である鉄の耐容上限量を知っても、実際にどれくらいを摂取したら耐容上限量を超えるのか気になるところではないでしょうか。
「うちの子供は貧血気味だから」と積極的に鉄を摂取させている場合で、知らないうちに過剰摂取になっていたらと考えると怖いです。
そうはいっても、鉄は子供の身長と成長に必要な栄養成分なので、大丈夫な量と危険な量の塩梅が難しく感じる方もいることでしょう。
もちろん、鉄を多く含んでいる食品しか毎食食べない、ということであれば過剰摂取の可能性も出てきますが、通常でそんな食事のとり方をすることは、ほぼないのではないでしょうか。
しかも、鉄は非常に吸収率の悪い栄養成分です。したがって、多少鉄を多く含む食品を中心とした食事をしたとしても、過剰摂取になる可能性は低いです。平均をみても、1日に男性は7.8mg、女性は7.1mgしか摂取していません。
鉄剤やサプリメントによる過剰摂取に注意
通常の食事で過剰摂取にならないからといって、すべての場合において過剰摂取にならないわけではありません。鉄の過剰摂取を起こす場合として、錠剤やサプリメントでの過剰摂取があげられます。
鉄は摂取不足になりやすい栄養成分であることから、それをメインとしたサプリメントが多く販売されています。子供の身長や成長のために、それらのサプリメントを活用している方もいることでしょう。
もちろん、摂取不足を補うためにそれらを活用することは有効なことです。ところが、錠剤やサプリメントは手軽に摂取できる分、決められた量よりも多く摂取してしまい、過剰摂取になる可能性が否定できません。
基本的には食事から摂取するようにして、それで足りない分について錠剤やサプリメントにするというようにしないと、過剰摂取になることがあります。
鉄をたくさん摂れる食品一覧
食事をメインに鉄を意識的に摂取するのであれば、どんな食品に鉄が多く含まれているのか、具体的に知っておきたいところです。
鉄が多く含まれている食品を知っておくことで、毎日の献立も立てやすくなりますし、子供の身長や成長のための食事を作りやすくなります。
植物性食品
鉄を多く含んでいる食品は、植物性の食品と動物性の食品に分けられます。まず、植物性食品の中で、鉄を最も含んでいる食品といえば、「のり」です。のりには100gあたり11.4mgの鉄が含まれています。
のりなら食卓にも出しやすい食品なので、お手軽なのではないでしょうか。のりの他には、いりごまやこんぶも鉄を多く含んでいます。その量は、いりごまが100gあたり9.9mgで、こんぶが100gあたり9.6mgです。
動物性食品
それから、動物性食品の中で鉄を最も含んでいる食品といえば、あさりです。100gあたり29.7mgも含まれています。あさりの味噌汁やバター焼きなどをつくれば、鉄をたくさん摂取できることが分かるのではないでしょうか。
あさりの他に鉄を多く含んでいる動物性の食品といえば、干しエビやしじみです。干しエビは100gあたり15.1mg、しじみは100gあたり14.8mg鉄を含んでいます。どちらも積極的に摂取したい食品です。
鉄を多く含んでいる食品として有名なものといえば、レバーではないでしょうか。レバーの中では、豚レバーが最も多く鉄を含んでいます。身近な食品でいえば、卵黄も鉄を多く含んでいるので、意識的に摂取したい食品です。
鉄の不足が心配なお子さんはマルチサプリがおすすめ
鉄を多く含む食品を知っても、鉄の積極的な摂取ができない場合があります。それが、好き嫌いをする子供のときです。好き嫌いの多い子供だと、鉄を多く含む食品をどんなに食卓に出しても食べてくれないことがあります。
また、お母さんが忙しくて栄養成分のバランスが整った食事を出せないときもあります。それは決して悪いことではないですが、親からすると子供の身長や成長を考えると申し訳ない気持ちになりますし、できれば栄養満点な食事をさせたいです。
そこで活用できるのが、ビタミンやミネラルが豊富に含まれたマルチサプリを活用することです。
なぜなら、マルチサプリは鉄のみが配合されているわけではないからです。しかも、ビタミンCと一緒に配合されていれば、鉄の吸収率をアップさせられるので、一石二鳥です。
一口に意識的な鉄の摂取といっても、子供によっては一般的な食事での鉄の摂取では足りないこともあります。そんなときには、無理に食事だけで鉄の摂取をさせるのではななく、マルチサプリを活用して摂取するのがおすすめです。
もし、マルチサプリを子供に摂取させるのは心配、という場合には子供用にマルチサプリを活用すると良いでしょう。子供用なので、子供が飲みやすい味になっていますし、子供でも安全に摂取できるように開発されています。
まとめ
鉄は、大人の女性だけではなく、成長している子供にも必要な栄養成分です。もし、子供が鉄の摂取の量が少なくなると、身長や成長に影響を与えるだけではなく、日々の生活にも影響を与えます。
よく、朝礼などで倒れる子供がいますが、それは鉄が不足しているものが原因である場合が多いです。子供のからだはそれだけ、鉄の摂取を必要としているのです。それは、からだ中に栄養を行き渡らせるためには、鉄が必要になるからです。
さらに言うと、血液をつくるためには、鉄が不可欠です。そして、からだを少し動かすのにも鉄が必要になります。つまり鉄は、人間が生命維持活動をするうえで、重要な役割を果たしているといえます。
不足しないように普段から鉄を意識する
そのため、鉄が不足しないように、普段から意識的な摂取をするのが望ましいです。
食事から鉄を摂取するのであれば、鉄を過剰摂取するような事態になることは、ほとんどありません。したがって、鉄を多く含んだ食品を食事に積極的に取り入れましょう。
しかしそれでも鉄の摂取が難しい場合には、ビタミンとミネラルが総合的に配合されたマルチビタミンを活用してください。特に、鉄の吸収率をアップするビタミンCが含まれているものがおすすめです。
