子供の成長には様々な栄養素がかかせません。しかし、中でも特に注目すべき栄養素のひとつがビタミンです。ビタミンはそれ単体でというよりは、いろいろな栄養素と合わせて摂取することが重要となる栄養です。
例えば子供の身長が伸びる時には、実際には骨がどんどん成長していきます。つまり、骨を成長させて伸ばす事で身長が伸びるという事になるのです。
そうした過程ではついついカルシウムにばかり着目しがちですが、実はビタミンも重要となってきますので、摂取を怠ってはいけません。そこで、今回は骨を伸ばす為に必要な栄養素や他の栄養素との関連性などを詳しく解説していきます。
[mokuji]子供の骨の成長とビタミンの関係性
子供の骨を成長させて伸ばす為には、ビタミンは必須の栄養素と言っても過言ではありません。骨を成長させると言えば、カルシウムが欠かせない栄養素であることには変わりありませんが、同時にビタミンも必要となります。
つまり、仮に身長が伸び悩んでいる子供がいたとして、成長期の内にしっかり身長を伸ばしたいと考えるのであれば、ただひたすら牛乳や小魚を食べてカルシウムばかり摂取していれば良いかと言われると、半分あっていますが半分間違っているのです。
ひたすらカルシウムばかり摂取していても、摂取しないよりはいいですがそれは不十分という事になります。そこでじゃあ何が必要なのかと言われたら、ビタミンなのです。
カルシウムとビタミンDの関係性
子供の骨を伸ばす、そして身長を伸ばすために必要とされる栄養素のカルシウム。カルシウムは骨を作る元の材料になりますので、そもそもカルシウムが不足してしまうと、骨を伸ばすこと自体に支障をきたします。
ですから、まずはカルシウムを十分に摂取できていること前提でのお話になりますが、骨を成長させる為にはカルシウムのみでは足りません。
では何が必要かというとビタミンDなのです。なぜ、骨を成長させるのにビタミンDが必要かというと、カルシウムの吸収率が上がるからなんです。もし、ビタミンDが不足した状態でカルシウムばかり摂取すると、吸収効率は悪くなってしまいます。
ビタミンB群とアミノ酸の関係性
子供の骨を伸ばす、成長させる為にはカルシウムが必要であり、そしてそのカルシウムの吸収効率をよくする為にはビタミンDが必要という事をご説明しましたが、他にも子供の成長に必須となる栄養素があります。
それが、ビタミンB群とアミノ酸です。また、このビタミンB群とアミノ酸はそれぞれ単体で摂取するのではなく、どちらも併せて摂取する事が望ましいのです。
ではビタミンB群とアミノ酸の関係性ですが、まずビタミンB群は食事から摂取したものを、活動するエネルギーに変換する作用があります。人間のエネルギー源であるたんぱく質をビタミンB6がエネルギーに変える為に活躍するのです。
子供の骨の成長に欠かせないビタミン一覧
子供の身長を伸ばす為にはまずカルシウムが基本となります。そして、そのカルシウムを効率よく吸収していく事で、骨が成長して身長が伸びていきます。
子供の体や骨を成長させる為にはビタミンD以外にもビタミンCやビタミンB6、そしてビタミンKとビタミンAなど数種類のビタミンが必要となるのです。
では、骨の成長に欠かすことができないビタミン類のそれぞれの役割と、各ビタミンを多く含む食品や、ビタミンをしっかり摂取する事ができる料理にはどんなものがあるのかを見ていきます。
「ビタミンD」子供の成長との関係性
子供の成長過程において、多くのビタミンが必要となりますが、そんな中でも特に欠かす事ができないと言われているのがビタミンDです。ビタミンDの主な役割としては、食事などから摂取したカルシウムの吸収効率をよくしてくれる働きがあります。
カルシウムは主に小腸にて体内へ吸収されるのですが、この際にビタミンDが少ないと十分に吸収することができません。しかし、ビタミンDを同時に摂取する事で、効率よく小腸でカルシウムを吸収できるようになるのです。
ビタミンDがカルシウムの吸収効率をよくする働きを行う際には、リンなどのミネラル成分も一緒に摂取することが望ましく、それによってカルシウムの吸収効率をよくする働きが発揮できます。
このビタミンDは、基本的に人間の体内では作り出すことができる栄養素ですが、ビタミンDを体内で作り出す為には太陽の光を受ける必要があります。太陽の光に当たることで、人間の体内でビタミンDが生成されるのです。
ですから、普段からあまり太陽の光にあたらないと体内で生成されるビタミンDが不足してしまうことが想定できます。そのため、ビタミンDを体内でより多く生成する為には、外に出て太陽の光を浴びる事も大切なのです。
「ビタミンC」子供の成長との関係性
子供の成長に欠かせない栄養素の一つであるビタミンCは、体を作る為に必須となるたんぱく質を作り出す際に必要となります。また、血液に必要とされる栄養素である鉄の吸収についても、ビタミンCによって効率よく吸収できるようになるのです。
具体的にはたんぱく質の中でもビタミンCが大きくかかわるのはコラーゲンです。コラーゲンは体の至るところに必要なものですが、特に歯や骨には必須とされています。
ですから、ビタミンCが不足してしまうとコラーゲンの生成も不足することとなり、最終的には歯や骨にまで影響を与えてしまうことになるのです。そうなってしまうと骨をしっかり伸ばすことができず、身長の伸びにまで影響する可能性があります。
血液中の鉄の吸収効率をよくする働きについては、仮にビタミンCが不足してしまうと鉄がしっかり吸収できず、病気だったり貧血などになる可能性を高めてしまいますので、しっかりとビタミンCを摂取する必要があります。
ちなみにビタミンCというのは、いろいろな要因で破壊されてしまう栄養素です。代表的なものとしてはタバコがあります。次にストレスでもビタミンCは壊れやすいので注意が必要です。
ビタミンCはブロッコリーやレモンと言った野菜から多く取ることができて、食べすぎてもビタミンC過剰になる心配はありませんので、積極的に摂取するようにしましょう。
「ビタミンB6」子供の成長との関係性
ビタミンB6は、ビタミンCと同様にコラーゲンの生成に関わる栄養素です。つまり、ビタミンCやビタミンB6が不足してしまうと、体内のコラーゲンの生成も不十分となってしまい、骨を伸ばすことに対して悪影響をもたらす可能性があるのです。
その他ビタミンB6の働きとしては、様々な栄養素をエネルギー源に変換するという働きもあります。ビタミンB6がエネルギーに変えることができるのはたんぱく質や脂質、そして炭水化物です。
これらをただ食事で摂取するだけではエネルギー源として利用できませんので、ビタミンB6も同時に摂取しなくてはなりません。もし、ビタミンB6が不足してしまうと成長や免疫力に悪影響があり、健康上よくありません。
ビタミンB6はビタミンCと同じで水溶性ビタミンに分類されます。この水溶性ビタミンというのはニンニクや鶏から多く摂取できますので、バランスよくこれらの食材を取り入れる事が重要です。
ただし、ビタミンB6を摂取するにあたって注意しなくてはならないのが、他の医薬品との相性です。ビタミンB6は、フェニトインという医薬品と一緒に摂取してしまうとその効果が半減してしまうという話があります。
フェニトインは抗てんかん薬に使用されている成分なので、もし服用している場合にはビタミンB6の取りすぎにも注意が必要です。
「ビタミンB12」子供の成長との関係性
ビタミンB12は、ビタミンB6やビタミンCと同様に体内でコラーゲンに関わる栄養素の一つです。コラーゲンは体の土台となる部分になりますので、特に成長期の子供の場合はきちんと摂取することが望ましいでしょう。これは骨を伸ばす成長にも関わります。
その他のビタミンB12の働きですが、神経や血液、DNAなどにも影響する働きをします。そしてその必要量ですがビタミンB12は以下の量を摂取する必要があると言われています。
10歳以下の子供 | 1.2μg程度 |
---|---|
18歳未満 | 2.0μg |
成人 | 2.0μg~2.4μg |
食品から摂取されたビタミンB12は、胃酸の働きによってたんぱく質と切り離されて、そののちに吸収されていきます。具体的にビタミンB12を多く含む食品ですが、牛のレバーや貝類、魚や卵に牛乳などがビタミンB12を多く含んでいます。
そのほか、サプリメントとして摂取する方もいます。ビタミンB12を摂取する為の料理としては、例えば焼き魚や焼き肉などでレバーを摂取する方法が比較的容易です。
もしもビタミンB12が不足してしまった場合に体に出る影響ですが、疲労が回復しにくくなったり体力が衰える、便秘になる、食欲不振からの体重の減少などが考えられます。
「ビタミンK」子供の成長との関係性
子供の成長には多くのビタミンが必要であることはこれまで解説してきましたが、そんなビタミン類の中でもあまりメジャーではないのがビタミンKです。
ビタミンKがどのような働きをするのかというと、主に骨とカルシウムを結合させる作用、つまり石灰化に関係してくる栄養となります。また、すでにできている骨からカルシウムが流れ出てしまわないようにする働きもあります。
こうしたことから、ビタミンKは成長期の子供の骨を伸ばす、そして身長を伸ばす為にはなくてはならない栄養素の一つであることがわかります。他には、血液を凝固させる為にもビタミンKは必要です。
ビタミンKが不足してしまうとまずは骨とカルシウムの結合に影響がでて、しっかりと骨が成長できなくなります。次に、血液を凝固させる働きが弱まってしまうので、ケガなどで出血した際に、なかなか血が止まらなくなってしまいます。
ビタミンKの摂取量ですが、成長期の子供の場合はだいたい1日に100μgから150μgほどの量の摂取が必要となります。ビタミンKが多く含まれている食品の代表的なものとしては納豆やパセリ、大根の葉にほうれん草などがあります。
よって、納豆を献立に含めた和食やホウレン草のおひたし、大根の葉を入れたお味噌汁などと言った料理がビタミンKの摂取にはおすすめです。
「ビタミンA」子供の成長との関係性
よく子供が風邪をひきやすかったり、皮膚が弱いという場合にはビタミンAが不足している場合があります。ビタミンAは、健康を維持する為に必要な栄養素であるとともに、子供の成長にも欠かせない栄養素なのです。
もしビタミンAが不足してしまうと、皮膚や免疫力の低下によってそれが体に現れたり、風邪をひきやすくなるなどの症状が出ます。
他にはビタミンAは視力や子供の成長にも影響があります。視力に関してはビタミンAが不足すると視力の低下を招いたり、暗いところでの視力のみが極端に低下する夜盲症と言った症状が現れる場合があります。
ビタミンAが不足してしまわないように摂取するには、レバーだったりあんこうやうなぎのきもなどがビタミンAを多く含まれていますので良いでしょう。
大人の場合はビタミンAには抗酸化作用があるので、ビタミンAをしっかり摂取することで体内の活性酸素を除去する働きも望めます。活性酸素は老化の原因となることから、アンチエイジングを考えている方はビタミンAをしっかりと取る事も重要です。
ちなみにビタミンAはビタミンCなどの水溶性ビタミンではなく、脂溶性ビタミンと分類されます。脂溶性ビタミンはとりすぎると過剰摂取になってしまって健康を害する恐れもあるので摂取量には注意しましょう。
「葉酸」子供の成長との関係性
妊娠しやすくしたり、生まれてくる子供の障害リスクを軽減するとして有名な葉酸は、子供の成長過程においても重要な栄養素となります。葉酸がどんな働きをするのかというと、コラーゲンの生成に関わる栄養素です。
葉酸は名前にはビタミンではありませんが、水溶性ビタミンに属する栄養素となっています。よって、ビタミンと似たような作用があります。例えばコラーゲンの生成に関わる部分であったり、血液中の赤血球を作り出す為に必要となるのが葉酸です。
さらに、DNAやたんぱく質を作り出す為にも葉酸は重要で、子供の骨を伸ばすことで体を成長させる為にはなくてはならない栄養素です。
葉酸を多く含む食品として代表的なものとしては、ホウレンソウやグリーンアスパラガス、春菊や鶏のレバーなどがあります。緑色の野菜に多く含まれている傾向があるので、効率よく葉酸を摂取することができます。
ビタミンを摂る上で注意すべきこと
子供の骨を伸ばす事であったり、その他の器官を成長させたり、健康を維持する上で欠かす事が出来ない栄養素がビタミンです。ビタミンにはビタミンAやビタミンB,ビタミンCなどたくさんの種類のビタミンがあります。
ビタミンはそれ単体で効果を発揮するものもあれば、ビタミンDのようにカルシウムなどほかの栄養素の吸収を助けたりする働きを持つものもあります。そのため、これらのビタミンできる限り必要量を摂取することが望ましいです。
しかし、注意しなくてはならないのはビタミンの取りすぎです。ビタミンの種類によってはとりすぎる事で、かえって健康に害を及ぼす場合もあるのです。
過剰摂取に注意する
ビタミンには大きく分けて2種類あります。一つはビタミンCなどの水溶性ビタミン、そしてもう一つは脂溶性ビタミンAなどの脂溶性ビタミンです。
水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの違いは、水溶性ビタミンの場合は過剰摂取してしまった場合、体内に吸収できない分は尿として体外に排出されます。しかし、脂溶性ビタミンの場合は過剰摂取しても体外に排出されず、蓄積していってしまいます。
本来ビタミンは骨を伸ばす、体を成長させるなどに利用されており必要不可欠な栄養素ですが、脂溶性ビタミンを過剰摂取して体内に蓄積してしまうと、場合によっては健康に害を及ぼす可能性があるのです。
ビタミンは子供にも大人にも必要な栄養素ではあるので、しっかりと摂取することが必要な一方、脂溶性ビタミンに関しては過剰摂取にも注意しなくてはいけないのです。
骨の成長のための食事と栄養
子供の骨が成長する為には、まず元となるカルシウムが必要です。そして、カルシウムの吸収をよくする為にはビタミンDなどほかの栄養素も必要となってきます。
このほかにも、カルシウムと骨を結合させるのに必要な栄養素や、コラーゲンの生成を促す栄養素もあります。こうした様々な栄養素が組み合わさって骨を伸ばすことでき、体は成長していきます。
骨を成長させて身長を伸ばし、体を大きくしていくには多くの栄養をしっかりと食事から摂取できるようにすることが大切です。中にはサプリメントを使用する場合もありますが、基本は食事のバランスを整えるところからになります。
バランスよく栄養摂取するのがベスト
子供の成長期というのは、多くのエネルギーと栄養(ビタミン)を必要とします。まず身長を伸ばす為にはカルシウムやその他の栄養素をしっかりと摂取しなくてはなりません。しかし、子供の成長というのは骨や身長ばかりではありません。
筋肉やその他の体組織についてもどんどん成長していきますので、その過程においては様々な栄養素が必要です。この栄養バランスが偏ってしまうと子供の体の成長のバランスも偏ってしまったり、何らかの弊害が現れる可能性があります。
そうならない為には、日々バランスよく栄養を食事から摂取する事が大切です。子供は基本的に食事からの栄養摂取がメインとなりますので、子供に与える食事は栄養バランスを考えて作っていかなくてはならないのです。
たくさん栄養を取るという事ではなく、必要な量をバランスよく摂取していくという事が重要なのです。その際、アレルギーであったり医薬品との組み合わせなども考慮しましょう。
子供用サプリを利用すれば手軽にビタミン補給が可能
子供の成長をサポートするアイテムとして、子供用のサプリメントというものがあります。近年、この子供用サプリメントを利用しているご家庭も少なくありません。
子供用サプリメントにはいろいろな栄養が入っているものがありますが、特にビタミンに関してはこうしたサプリメントを利用すると手軽に不足しがちなビタミンを補う事ができます。
子供用サプリメントと言えば、身長を伸ばす為にカルシウムが配合されているものが多いですが、実はビタミンを含んでいる子供用サプリメントも多いのです。
カルシウムはビタミンも同時に摂取しなければ吸収効率が悪いので、併せてサプリメントを服用していきます。カルシウムはビタミンDと一緒に取る事で体内の吸収効率をよくしてくれますから、骨を伸ばす為には必要です。
また、これ以外にも子供の体を成長させる為に必要とされるビタミンは数多く存在しています。それらを毎日の食事から不足することなく摂取するには、バランスの取れた食事を毎食用意しないといけません。しかし、それはなかなか難しいです。
ですから、どうしても食事では補いきれない栄養を、子供用サプリメントを利用する事で補い、成長を促すのです。
まとめ
子供の骨を伸ばす為には、カルシウムだけではなくビタミンの摂取も大切です。なぜ骨を伸ばすのにビタミンが必要かというと、骨が成長する為には摂取したカルシウムをしっかりと吸収できなくてはなりません。
しかし、カルシウム単体では吸収効率があまりよくない為、吸収効率をよくするビタミンを摂取する必要があるのです。
また、子供の骨を成長させる為に必要なビタミンは、カルシウムの吸収効率をよくするビタミンD以外にもビタミンCやビタミンB6、ビタミンAにビタミン12やビタミンKなどがあります。
バランスよくビタミンを摂りましょう
ビタミンは子供の骨や体を成長させる為には必須となりますので、バランスよく食事から栄養を摂取するようにしましょう。
ただし、ビタミンには水に溶けやすい水溶性のものと水に溶けにくい脂溶性のものがあります。脂溶性のビタミンは水に溶けにくい性質から、過剰摂取してしまうと体内に蓄積してしまって悪影響を及ぼす場合があるので注意が必要です。
つまり、ビタミンは子供の骨の成長には必須になるのでしっかりと摂取しなければならない一方で、過剰に摂取する事も無いように注意しながらバランスよく摂っていく事が大切なのです。もし、食事から摂り切れないようであれば、子供用サプリメントを利用するという手もあります。