子供が健やかに成長するためには、体を造る素となる栄養素の摂取が最も肝心です。頑強な骨格を作り上げるにはカルシウムやマグネシウムをしっかりと摂る必要があります。
もちろん代謝酵素を働かせるための糖やビタミンも欠かせませんし、エネルギーを蓄積するために脂肪もある程度は確保しておくべきでしょう。その上で、適度な運動と十分な睡眠を取れば、体全体の成長が育まれることになります。
亜鉛はタンパク質やホルモンの生成やDNAの複製に欠かせないミネラルで、しかも代謝酵素の構成成分です。また骨の成長でも亜鉛は働いています。今回は、この亜鉛を多く含む食品とその料理法を詳しく紹介します。
どのような食品に亜鉛は多く含まれるのか?
亜鉛を適量摂取するためには、毎日の食事について見直す必要があるかも知れません。実は現代の食習慣では、慢性的な亜鉛不足が起こっているとの警告もあります。
最近増えている男性の不妊症の原因も亜鉛が関係していますし、幼児の成長不良の影にも亜鉛不足が問題視されているのです。
そこで亜鉛を多く含む食材ですが、まず基本的に全ての生物の細胞に亜鉛は含まれています。ただし、含有量の『多い・少ない』の差が大きいために、亜鉛含有量が多い特定の食材を知っておくと、普段の家庭のメニューに加えやすくなるでしょう。
特に多い食材としては、ダントツで牡蠣です。またアワビなどの貝類、タラバガニやスルメなどの海中生物、牛・豚のレバーやチーズ、高野豆腐や納豆や枝豆といった大豆食品、そしてアーモンドや落花生などの木の実などにも多く含まれています。
しかし、これらの食材はあまり食卓に上らないのではありませんか?
亜鉛は成長や身長促進に欠かせない栄養素
亜鉛の働きについてより詳しく説明しますと、亜鉛は細胞分裂・細胞増殖に欠かせません。なぜなら細胞の構成成分だからです。つまりタンパク質もホルモンも、亜鉛を含んでいます。
細胞分裂を促進するためには欠かせない材料で、幼児期の成長不良には亜鉛不足が原因である場合も多々あります。
また骨の生成やDNAの複製で活躍する酵素も亜鉛が構成成分ですので、体の成長や新陳代謝には絶対に無くてはならないミネラルだと分かるでしょう。
その他にも、味覚を正常に保つ作用や髪や肌を健康にする美容効果、男性の生殖機能を高める効果や、ホルモン分泌の活性化による精神状態の改善、うつ病の緩和などの効果が得られるとされています。
このように亜鉛は体を造り、それを維持していくためには無くてはならないミネラルなのです。ですが先ほども述べた通り、現代の食習慣では十分な亜鉛が摂取できていません。
毎日の家庭の食事を見直すことが、子供の成長と健康を促進するためにとても重要になっています。
亜鉛不足は味覚機能や免疫機能に悪影響
今どきの日本人の方々には、アレルギーやアトピーといった免疫機能の低下による健康被害が多々見られます。風邪やインフルエンザに罹りやすい傾向や花粉症の蔓延もその一つでしょう。
この免疫障害の原因には亜鉛不足が考えられます。免疫細胞にも亜鉛は使われていますし、菌の侵入を防御する粘膜では、亜鉛が粘膜強化をするビタミンAを活性化させます。つまり亜鉛不足は免疫機能低下に直結するということです。
それから肌荒れが出てくれば、それは肌細胞の代謝が遅くなっている証拠で、肌のターンオーバーシステムが低下している状態です。この肌の細胞分裂を促進する役目も亜鉛にはあります。
つまり細胞分裂や遺伝子伝達に関わるミネラルですので、不足すれば体全体の機能が低下する可能性があるのです。
しかし、汗をかいた時に水分と塩を補給する事は心がけていても、亜鉛を補給する事まで気が回る親御さんは少ないでしょう。
亜鉛を多く含んだ食品一覧
亜鉛の含有量が多いとされている食品をランキングにしてみました。含有量は100g中の割合です
牡蠣(かき) | 25.4mg |
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小麦はいが | 15.9mg |
塩辛 | 11.8mg |
パプリカ(スパイス) | 10.3mg |
からすみ(ボラの卵) | 9.3mg |
ビーフジャーキー | 8.8mg |
さば節 | 8.4mg |
牛肉のもも・肩ロース | 7.5mg |
ナチュラルチーズ・パルメザン | 7.3mg |
いわしの煮干し | 7.2mg |
以下、ピュアココアや豚レバー、干しまいたけ、たたみいわしなど7mg前後のものがいくつかあります。ちなみに小学生から中学生の成長期にある子供には、毎日8mg前後の摂取量が薦められています。
このようにランキングでみても、普段食卓のメニューに上がりやすい食品はあまりありません。強いて言えば、チーズと牛肉ぐらいでしょう。今どきの子供に亜鉛不足の心配があるということが、このことからもお分かり頂けるでしょう。
牡蠣
貝類の中には比較的に亜鉛を含む食材が多く見られます。しかし含有量だけをとって見れば、牡蠣(かき)はダントツに亜鉛が多い食材で、100g中に25mgぐらい含まれているとされています。
つまり、成人男性でも1日に50gも食べれば、充分な亜鉛が摂れる計算です。ただし、牡蠣は高級食材ですので、そう頻繁には食卓のメニューに上らないかもしれません。
ちなみに牡蠣は海のミルクと言われるくらい栄養素の豊富な食材で、疲労回復のタウリンも非常に多いことで知られています。また成長には欠かせないアミノ酸・グルタミン酸やアラニンやアルギニンもたっぷりと摂取できます。
抹茶
抹茶の亜鉛含有量は、100g中に6.3mgとされています。成人男性なら、1日に200gも抹茶を飲めば必要量を超える計算です。抹茶から亜鉛を摂取するメリットは、その飲みやすさにあります。
牡蠣や牛肩ロースなどは毎日食べるものでもなく、コストもそれなりに掛かってきます。しかし抹茶であれば、毎日だって飲めるでしょう。しかも他の栄養素が健康を後押ししてくれます。
抹茶の主な栄養素には、まず強力な抗酸化パワーを誇るカテキンがあります。またビタミンC・Eやカフェイン。テアニンといった抗酸化成分も豊富で、免疫力強化に効果的ですし、血行改善にも大いに役立ってくれます。
豚(レバー)
豚のレバーも亜鉛が豊富な事で有名です。その含有量は100g中に8.7mgと、食材の中でもトップレベルになっています。成長期の子供ならば、100gで十分に1日の必要量が賄えるでしょう。
また、豚レバーはビタミン群が豊富な食材で、特に抗酸化力の強いビタミンAがたっぷりと含まれています。視力が弱いとか疲れ目がちな方にはおすすめですし、免疫力の低下でアレルギーや感染症に弱い子供にも食べてもらいたい食材です。
また、吸収率の高いヘム鉄の含有に大変優れています。鉄分は血中ヘモグロビンと結合して、酸素を体中に運ぶ役目を持っています。成長期の子供は全身へ十分な酸素を送る必要があるので、できる限り豚レバーを食べるようおすすめします。
牛(肩ロース)
牛肉の肩ロースにもたっぷりの亜鉛が含まれています。生の赤肉の状態では、100g中に6.4mgの亜鉛が含有されているとされています。茹でたり、焼いたりすれば水分が抜ける分だけ含有率がアップします。
牛肉肩ロースの栄養素は、まず必須アミノ酸のリジン・ロイシン・バリンといった筋肉を造るアミノ酸が豊富です。
成長期の子供の体を育むには適切な良質なタンパク源と言えるでしょう。また疲労回復のビタミンB12、免疫機能回復や細胞の分裂活性化が期待できる鉄分もたっぷりです。
するめ
するめイカを干した『するめ』は、お子さんも大好きなおやつではないですか?実はスルメも亜鉛の含有量が高い食材です。100g中に5.4mgの亜鉛が含まれているとされています。
またするめの場合は、よく噛んで食べるので、唾液の分泌が向上して胃腸の働きが良くなりますし、歯やアゴが鍛えられること、噛む事で脳内ホルモンの分泌が活性化して脳の発達にも効果を発揮します。
ちなみにするめの栄養素をチェックしますと、疲労回復のタウリンやカリウム、マグネシウムが豊富に含まれています。またビタミンB群やE、ナイアシンにも優れています。
上記以外の亜鉛の供給源になる食品一覧
さて、亜鉛を多く含む食材は先に紹介した物だけではありません。亜鉛は全ての細胞に多かれ少なかれ利用されていますので、基本的にはどの食品からも摂取することができます。
そこで100g中に5mg以上を含有する食品をピックアップしておきますので、料理を作る際の参考としてください。
魚介類
養殖の鯉(コイ) | 7mg |
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たたみいわし | 6.6mg |
ズワイガニ | 6.3mg |
貝類のタニシ | 6.2mg |
ほたてがいの貝柱(干物) | 6.1mg |
やつめうなぎ | 5.9mg |
米ぬか | 5.9mg |
いかなご(日干し) | 5.9mg |
にしんのかずのこ | 5.4mg |
ほや貝 | 5.3mg・ |
その他
パン酵母 | 7.8mg |
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唐がらしの粉末 | 6.6mg |
干しわらび | 6.2mg |
練りゴマ | 6mg |
カシューナッツ | 5.4mg |
大体このぐらいまでは知っておいて良いと思います。現代の食習慣では、子供の成長に必要とされる栄養素の多くが慢性的に不足気味だとも言われています。
それはジャンクフードや清涼飲料水に偏ったおやつの食べ過ぎ、炭水化物を添加物で加工したインスタント・レトルト食品などの常食が理由です。
もっと日本本来の食習慣を取り入れたメニューを食卓に出すようにしてみてください。特に海産物には亜鉛を始めとしたミネラルが豊富です。手間はかかるかもしれませんが、お子さんの成長と健康を思えば、努力のし甲斐があることでしょう。
亜鉛を多く含んだおすすめ料理一覧
では、亜鉛がしっかりと摂取できる料理レシピも紹介していきます。
おすすめのメニューは5つ。牡蠣の料理とパルメザンチーズを使った料理、それから豚レバーのメニューに牛の肩ロースの料理。そしてもうひとつ、するめを使った料理のレシピを、それぞれ詳しく紹介しましょう。
どれも子供が好む味付けにこだわって工夫をしてありますので、是非ご家庭でも作ってみてください。
牡蠣を使った料理
牡蠣が好きな子供はカキフライでも、マリネにしても食べてくれるでしょう。しかし牡蠣が嫌いな子供は、牡蠣のぐにゃりとした触感と、汁の生臭みが苦手なものです。
そこでおすすめするのが『牡蠣のバター醤油焼き・ケチャップ和え』です。
材料は、殻つきの生牡蠣がベストですが、タッパの生食用牡蠣でもOKです。牡蠣の量は100g(3人前)。そしてバター20gに醤油少々、ケチャップ20gです。
調理方法
作り方は、まず牡蠣を塩水でさっと洗い、ヌメリを取っておきます。こうすると臭みも少なくなります。そしてフライパンを中火で少し温めて、すぐにバターを入れて溶かします。
溶けたら牡蠣を炒めて、ある程度水気が飛んだ頃合いに醤油とケチャップを投入して、もう一炒めして出来上がりです。
ケチャップとバターの香り・甘味が牡蠣の独特のエグ味を消し去って、お子さんでも美味しく食べられます。
パルメザンチーズを使った料理
お昼ご飯にも、夕食の一品にもなる『トマト&パルメザンチーズのパスタ』ならば、亜鉛がしっかりと摂取できます。またパスタは子供の大好きな料理ですので、どの家庭にもおすすめです。
材料は、スパゲッティ300g(2人前)とトマト中1個、パルメザンチーズ20gにオリーブオイル少々、ニンニクひと片、塩・こしょう・ドライパセリ適量です。
調理方法
作り方は、まず大鍋でたっぷりのお湯を沸かします。その間に、ニンニクをみじん切りにして、トマトは16等分に切り分けます。
フライパンに十分なオリーブオイルを敷いて中火で熱します。熱くなったらニンニクを入れてオイルに香り付けをさせ、その後にトマトを入れてひと炒めしておきましょう。
後はパスタをアルデンテに茹でたら、しっかりと水切りしてからフライパンに投入し、パルメザンチーズをまんべんなく絡めて、パセリを振れば出来上がりです。
豚(レバー)を使った料理
亜鉛たっぷりの豚レバーを子供に食べさせるレシピは、『豚レバー甘辛焼き』です。ポイントはレバーの臭みをしっかりと消すこと。
材料は豚レバー250gと玉ねぎ1個、調味料は砂糖大さじ1杯、ケチャップ大さじ2杯、醤油大さじ1杯、片栗粉、ゴマ油少々です。
調理方法
作り方は、まず豚レバーをしっかりと血抜きして、クッキングペーパーで水気を取り、一口サイズに切って片栗粉をまぶします。玉ねぎは1cm程のスライスに切っておきましょう。
フライパンを熱してゴマ油を多めに敷きます。そこに豚レバーと玉ねぎを投入して、しっかりと炒めます。ある程度火が通ったら砂糖と醤油とケチャップを入れて、絡めながらひと炒めしたら完成です。
レバーは生焼きにならないように要注意です。
牛(肩ロース)を使った料理
牛肉の料理ならば、ほとんどの人が好きなはずです。子供も大喜びで食べてくれるでしょう。ここでは、例え牛肉が嫌いなお子さんでも、思わず食べたくなるカレーのレシピを紹介します。
材料は、牛肉・肩ロース400g、人参1本、ジャガイモ1個、玉ねぎ2個、大根小1/2、にんにく2片、ショウガ、トマトジュース200ml、ヨーグルト50ml、コンソメ、ダシの素、塩・こしょう、5皿分のカレールーです。
調理方法
作り方は、まず鍋に玉ねぎのみじん切りとニンニク・しょうがを弱火でよく炒めます。その横で、ミキサーで人参とジャガイモをジュース状にして、そこにトマトジュースと塩・こしょうで味を調えます。
玉ねぎがきつね色になったら、ミックスしたジュースを入れて煮ていきます。牛肉はフライパンでしっかりと焼いておきましょう。スープがしっかりと煮えたら、コンソメとダシの素、塩・こしょうで味を調え、カレールーを入れます。
最後にフライパンの中身を全て入れたら完成です。フライパンのソースは余さず入れるのがコツです。
するめを使った料理
するめは炙って、おつまみにすることが多いものですが、今回はおかずとしてのレシピを紹介します。おすすめのレシピは『柔らかスルメの松前漬け』です。
材料は、にんじん小1本、きざみ昆布50g、スルメ100g、麺つゆ20ml、みりん15ml、酒 大さじ1杯です。
調理方法
作り方は、にんじんを千切りにして、きざみ昆布は塩水で軽く洗ってから細切りに、またスルメも細切りにしますが、長さはみんな揃えます。
そしてつけダレを作ります。麺つゆとみりんと酒を合わせてから、材料を全部混ぜて冷蔵庫で1時間寝かせます。お子さん向けにする場合は、黒砂糖を大さじ1杯入れると、ぐっと甘口になります。
栄養満点な料理・料理が苦手な方は子供用サプリの活用を
亜鉛をしっかりと摂取するには、やはり毎日の食事から摂るようにするのが望ましいです。しかし今どきのご家庭の食卓では、なかなか手間ひまをかけた料理を作る余裕がないことが多いのではないでしょうか?
またお子さんも、ここで紹介したようなメニューばかりでは飽きてしまう事もあります。毎日のことですから、継続するにはそれ相当の努力も工夫も必要となるでしょう。
そこで便利なのが栄養サプリメントです。最近は子供用の成長サプリが評判で、多くのご家庭で利用されています。では、最後に成長サプリメントについても説明しておきましょう。
亜鉛サプリでなくミネラル・ビタミン配合の子供用サプリを選ぶ
厚生労働省のデータによりますと、亜鉛の摂取量は全体的に不足傾向にあると言います。これまでも説明してきた通り、食習慣の変化からミネラル分の不足が目立つようになっているのです。
そこで、亜鉛をサプリメントで摂取するという方法もとれますが、実はそれだけでは非効率になります。その理由は、不足がちなミネラルには他にもカルシウム・マグネシウム・鉄分などがあるからです。
もちろん、不足しているミネラルやアミノ酸などは家庭料理からの摂取を習慣化するように努めるべきですが、そのサポーターとして成長サプリを利用することは有効です。
最近はリーズナブルな価格で、必要な栄養分をしっかりと摂れる成長サプリメントがいくつか販売されています。通販サイトをチェックすれば、成分内容や効果も詳しく説明されていて、失敗のないサプリ選びができるでしょう。
毎日飲むだけで済む健康管理として、亜鉛以外にも各種ミネラル・ビタミンが含まれている子供向け成長サプリメントを利用するようにおすすめします。
まとめ
『子どもの成長には亜鉛の摂取が肝心である』と、多くの親御さん方が気付かずにいたかもしれません。カルシウムやアミノ酸はマスメディアでも頻繁に取り上げてきたテーマですので、こちらの方ばかりに目が行っていたこともあるでしょう。
体の造り全体から見れば、亜鉛の働きは実に広範囲に及び、しかもとても重要な役割を果たしている事が分かります。最近では、男性の不妊問題が取りざたされていますが、これも亜鉛不足からくる精力ダウンが原因のひとつです。
ですが、一言で亜鉛摂取と言っても、どういった食習慣を心がければ良いのかが分かり難いでしょう。また亜鉛中毒という症状もあり、むやみに摂取するのも危険です。
カルシウムもマグネシウムも、ビタミン群やアミノ酸群が一度に摂取できる成長サプリメントを選んであげるのがベストです。
もし、お子さんだけでは継続しないというのなら、ご家族みんなで朝食時に採るように習慣化することもできます。
成長サプリは大人の健康維持にも効果があるからです。是非、一度ネット通販で人気になっている成長サプリについてチェックしてみてください。