「食品添加物」と聞いて皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか?おそらく多くの人がネガティブなイメージを抱くのではないでしょうか?「添加物を食べると体が悪くなる」と思っている人もいるでしょう。
だから小さなお子さんのいる家庭では、極力無添加のものを食べさせているというケースも多いかもしれません。
しかし食品添加物が具体的に体にどう悪い影響を及ぼすのかと聞かれると、答えられない人も多いのではありませんか?食品添加物とひとくくりで紹介されることが多いですが、実際にはその中でも多種多様なものがあります。
その中には安全な食品添加物もありますし、体に悪影響を及ぼすものもあります。どれなら食しても問題ないのか、どのようなことに気をつければいいかについて正しく理解しましょう。
そもそも食品添加物ってなに?
食品添加物は食品衛生法という法律の中でルールを定めています。食品の製造する過程や加工、保存の中で食品に添加したり混ぜたりすることで使用するものです。形を整えたり、着色する、味を補う、栄養分を含めるなどいろいろな目的で使われています。
食品添加物といわれると、つい最近使われるようになったというイメージがあるかもしれません。しかし歴史は古く、例えば豆腐にはにがりが欠かせないことはなんとなくご存知ではありませんか?このにがりもある意味添加物の一つといえます。
食品添加物がないと、私たちは今のような豊かな食生活を送ることはできないでしょう。例えばハムやソーセージの品質を長く維持するためには欠かせません。もし食品添加物がないとすぐに腐ってしまいますし、食中毒の危険性も高まります。
ゼリーやプリンの食感も食品添加物によるところが大きいです。添加物なしでは食の安全を保てないだけでなく、毎日の食生活が味気ないものになりかねません。
食品添加物一覧
食品添加物といいますが、そのジャンルの中には実に多種多様な種類があるものです。日本の場合、食品添加物の安全性と有効性について厳しい基準を設けてそれをクリアしているものだけ使用を認めています。
厚生労働大臣の指定する指定添加物、長年使用されてきた既存添加物などがそれに該当します。その両者を合わせると800種類を超える品目が食品添加物として使用が認められているのです。
その中でもよく食料品に使われている食品添加物がいくつかあります。主だった食品添加物について把握しておくと、食料品を購入するときにその食べ物は安全かどうか自分である程度判断できるでしょう。
ここでは主要な食品添加物について、簡単に紹介していきます。
赤色系添加物
食品にはもともと天然の色があり、その色によって食欲を増進したり、料理の彩をアップしたりする効果が期待できます。しかし天然の色の場合、長期にわたって維持するのは難しいでしょう。
そこでいつまでも鮮やかな色を維持するために使われるのが着色料です。着色料にもいろいろな種類があります。
例えば赤色系添加物では、赤色○号と書かれているものが代表的です。2号・3号・40号・102号・104号・105号・106号については赤色系添加物の中でも指定されています。
またべに花の花から抽出されたカルタミンという物質を使用して赤色系添加物として活用されます。ベニバナは日本では高級和菓子や化粧品として使用されてきた伝統的な添加物です。清涼飲料水やお菓子、麺類、お漬物に用いられるケースが多く見られます。
くちなしの果実から抽出されたエキスも赤色系添加物として活用されています。抽出液に酵素を混ぜることによって、赤い色を出していきます。冷菓などのお菓子やめん類、農作物系の加工品で用いられることが多いです。
カロテンを使った赤色系添加物もあります。サツマイモやディナリエラ藻、ニンジン、トマトから抽出されるのが一般的です。カロテンを主成分としていて、黄色から赤色の色を付けられます。バターやマーガリンのような油脂製品の着色でよく用いられます。
緑色系添加物
食品添加物の中には、緑系の着色を目的として使われる緑色系添加物もあります。赤色系の添加物で紹介したクチナシですが、特定の酵素を混ぜると緑や青色系の着色が可能です。
食用タール系色素も一定の条件の下で使用が認められています。厚生労働大臣が認めた指定添加物に含まれている緑色系添加物は、食用緑色3号です。
カステラやきな粉、昆布類、お茶など一部の食料品に、この食品添加物は使用できないなどの制約があります。
クロロフィルも緑色系添加物の一つです。クロロフィルとはいわゆる葉緑素のことで、植物の中に含まれています。クロロフィルの中のマグネシウムを銅に置き換えて添加物にしています。緑色から青のような着色になります。
このチューイングガムの着色料として、クロロフィルの使われていることが多いです。こちらも使用基準があり、一定のものに使うようにルール付けがなされています。
食品をよりおいしく感じられるよう着色料は用いられています。そして上で見たように植物由来の原料を使っているものも多々あります。このようなものなら安全性も高いので、子供などにも安心して与えることが可能です。
防カビ剤
日本には多くの輸入品が入っていて、食料品も例外ではありません。この外国産の食料品の中でもかんきつ類やバナナなどは長時間かけて日本に輸送します。ところがこの中でカビの発生するリスクはどうしても存在します。
カビが発生してしまうと当然のことながら、売り物として店頭に並べるわけにはいきません。そこでカビの発生するのを防ぐために防カビ剤が用いられることもあります。
イマザリル・オルトフェニルフェノール・チアベンダゾール・フルジオキソニルといったものが防カビ剤として使用が認められています。
使用方法は種類によって異なっていて、浸漬することで添加するのが一般的ですが、収穫するときにスプレー噴射することで塗布する手法もあります。チアベンダゾールの場合は添加物のほかにも、動物用の医薬品としても広範囲にわたって活用されています。
もしバナナやかんきつ類に防カビ剤を施してばら売りする場合には、例えば値札や品名札のところに使用している旨を表示しなければなりません。そのほかには陳列棚のところに表示する方法もあります。
酸化防止剤
食品は時間が経過するとどうしても劣化してしまいます。特にその中でも注意したいのが、酸化です。食料品が空気中の酸素に触れることで、どうしても酸化していきます。この酸化は食品に様々な影響を与えます。
特に注意しなければならないのは、油脂類です。油脂類が酸化してしまうと色や風味が損なわれます。そのほかにも注意しなければならないのは過酸化物の生成です。
酸化防止剤は自分自身が酸化することで、食品そのものの酸化を防ぐ働きを持っています。酸化防止剤にもいくつかの食品添加物があります。
L-アスコルビン酸やエリソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソールといったところが酸化防止剤として使用されることが多いです。
この中でも、ジブチルヒドロキシトルエンはほかと比較して使用制で安定性に優れています。このため、バターなどの油脂食品や魚介系の乾物、チューインガムなど幅広い用途で使用されます。
カテキンは単独で酸化防止剤として使用することはあまり多くありません。ビタミンEやC、クエン酸との併用によって酸化防止を進めていく形になります。水産や食肉など幅広い加工品で使用されます。
乳化剤
水と油は慣用句でもしばしば使われますが、そのままでは混じり合うことはありません。この両者を混ぜるために使われる食品添加物が、乳化剤です。水と油が混じり合わないのは、両者の間に明確な境界線が現れるからです。
乳化剤はこの境界面で均一な状態を作る働きがあります。例えばマヨネーズはサラダ油と酢などを混ぜて製造するので、そのままでは分離してしまいます。そこで卵黄の中に含まれるレシチンが乳化剤のような働きをします。
食品成分の境界面の性質を変化させる働きを応用するために、乳化剤を使用した食料品も多いです。
乳化剤にもいろいろな種類があります。主に使われている食品添加物は、グリセリン脂肪酸エステルやサポニン、ショ糖脂肪酸エステル、先ほど紹介したレシチンなどです。
この中でもショ糖脂肪酸エステルは親水性と親油性のバランスに優れているといわれています。このため乳化剤としてのほかにも粘度調整や食感の改良など幅広い用途で活用されています。
グリセリン脂肪酸エステルも乳化剤だけにとどまらず、起泡剤やでんぷんの品質改良剤などで使われることもあります。また豆腐を製造するために消泡剤として活用されるケースも見受けられます。
保存料
食品はそのまま長期間放置していると、腐敗して食べられなくなります。このような腐敗のペースをできるだけ遅らせることを目的とした食品添加物が保存料です。文字通り保存性を高めることが目的の添加物です。
保存料について、よく殺菌剤と混同する方も少なくありません。しかし保存料には殺菌剤のように微生物を殺す性質はありません。微生物の増殖を抑制することで、食品の持ちをよくすることが主たる目的です。
安息香酸は食品の酸性が強ければ強いほど、その効果がアップするといわれています。白子タンパク抽出物はネトと呼ばれる腐敗が進むとねばねばになる状態を回避する効果が期待できます。
ソルビン酸は抗菌力はあまり強いとは言えません。しかし水に溶けますし、カビや酵母、細菌と幅広く効力があるので、いろいろな食品で使われています。
プロピオン酸は、パンや洋菓子の食品添加物として使用されます。カビや芽胞菌の発育を阻害する効果がある半面、パンを作る際に欠かせない酵母にはほとんど影響を及ぼさないため、重宝するからです。
ポリリジンはほとんどの細菌や酵母に対して効果を発揮するといわれています。しかしカビに対してはあまり効果が期待できません。でんぷんの含まれている食品でしばしば使われます。
人工甘味料
人工甘味料とは文字通り甘みを出すために使われる食品添加物のことです。別に添加物を使わなくても、砂糖など甘味調味料を使用すればいいのではないかと思うかもしれません。
ところがたとえばイースト菌などを使用するパン類の場合、砂糖は酵母の栄養源になりやすいのです。このため砂糖だけを使用してしまうと酵母が繁殖しすぎてしまって、品質劣化してしまいかねません。
そこで劣化を防ぎ保存性を高めるために、人工甘味料が用いられます。近年では糖分の過剰摂取は良くないことが、世間一般でも広く知られました。
肥満やそれによる糖尿病、虫歯の予防のために子供にはできるだけ糖分を摂取させたくないという親御さんも多いでしょう。そこで砂糖の代替品として、人工甘味料の用いられることも少なくありません。
年配の方であれば、サッカリンという言葉を耳にしたこともあるでしょう。こちらも人工甘味料の一種です。サッカリンは極めて甘味が強く、水で薄くなっても甘味がしっかり残ります。
ですから後味として甘味を残したければ、サッカリンを使って食品を製造するのも一つのやり方です。砂糖の何百倍の甘みを持った人工甘味料もあるほどです。
増粘剤・安定剤・ゲル化剤
増粘安定剤とは、水に溶けるもしくは分散することで粘度を高める高分子物質と定義されています。糊料と呼ばれることもあります。増粘安定剤はその使い方によって、呼び名を使い分けるのが一般的です。
もし少量で粘性を高めるものであれば、増粘剤といいます。液体のものをゼリー状に固めたいときにはゲル化剤と呼ばれる食品添加物が使用されるでしょう。
粘性を高めて食品成分を均一にしたければ、安定剤と呼ばれるものが使用される傾向があります。
カルボキシメチルセルロースナトリウムは水に簡単に溶けて、粘性や安定性などの特性を持っていて、アイスクリームやシャーベット、ソース、麺類といった食品に用いられます。グァーガムも冷水に簡単に溶ける性質があって、強い粘性を有しています。
キサンタンガムはこれ単独で食品添加物として使用することはあまり多くありません。ローカストビーンガムやグァーガムなどと併用することで食品添加物として活用します。相乗効果になって、増粘効果が期待できるからです。
ペクチンはジャムやマーマレードなどでしばしば使用されます。ジャムでもマーマレードの特徴である少しドロッとした食感は、ペクチンの持っているゲル化作用を利用して作られているのです。
着色料
食品にはそれぞれ独自の色を持っています。この色によって食欲を増進することも、食生活を豊かにすることもできます。しかしこの食品の色は経年劣化してしまうものです。そこで長期にわたって色をキープするために、着色料を用いることがあります。
着色料は日本ではなじみのある食品添加物といえます。というのも日本の伝統的な食習慣から自然に近い色を好む傾向があるためです。その中で試行錯誤して、べに花やクチナシの実、ヨモギなどを使って食品の着色をナチュラルに行う方法が開発されました。
着色料の中でも代表的なものとして、タール系色素があります。タール系色素の場合、鮮明な色を出せる、なかなか退色しないという優れた性質を持っているからです。
生鮮食品の鮮度をチェックするにあたって、商品の色見をチェックする方は多いでしょう。そこに着色料を使用されると、鮮度などの品質を消費者が正確に判断できなくなります。食品添加物本来の目的にも反するため、使用は固く禁じられているわけです。
アナトー色素やウコン色素、カラメル、コチニール、ベニコウジなどが着色料として使用されています。
着色料といわれると人工的な成分が使われているのではないかと思うかもしれません。しかし天然由来の着色料もあるので、そこまで警戒する必要もないのです。
食品添加物の安全性
食品添加物の混ざっている食料品は子供には与えたくないと思っている親御さんは多いでしょう。その理由として大きいのは、「食品添加物には体に悪いものが含まれているから」ではないですか?
確かに食品添加物として過去に使用されたものの中には、発がん性など長期的に摂取すると体に悪影響を及ぼす危険性があると報告されているものもあります。
しかし食品添加物といっても種類は多岐にわたり、その中には摂取しても問題ない、安全性の高いものもたくさんあるのです。
ではどのような食品添加物なら安心して摂取できるのかについて以下で詳しく見ていきます。また中には子供に与えるのはお勧めできない添加物の含まれた食品もありますので、こちらについても紹介します。
ADI(一日摂取許容量)が設定されている
食品添加物を摂取してもいいかどうか判断するのであれば、ADIをチェックすることです。ADIとはAcceptable Daily Intakeの頭文字をとったもので、1日当たり摂取してもいい許容量を指します。
体重1kg当たりどのくらいまで摂取しても大丈夫かを明記しています。もしADI以内の量を摂取しているのであれば、食品添加物でも体に悪影響を及ぼすことはありません。一生涯その量をとり続けても問題ない量を指します。
ただ、中にはADIを超える食品添加物を摂取して心配してしまう人もいるでしょう。確かに長期間継続して、ADIを超える食品添加物を摂取し続けると危険性は高まります。
しかし1日2日ちょっとオーバーしてしまった程度であれば、心配する必要はないでしょう。ADIは安全性試験を実施して、許容量を設定しています。逆に言えばADIの明記されている食品添加物であれば安心して与えることができるわけです。
普段から食べている食品からどの程度摂取しているのか?
私たちが普段食しているものにも食品添加物が含まれています。例えばハムやソーセージが好きという子供も多いでしょう。このハムやソーセージには亜硝酸ナトリウムが発色剤として使われています。
こちらは毒性が強く、大量に摂取すると嘔吐や血圧降下などの中毒症状を引き起こしますから、1日1~2枚程度の食事にしておくといいでしょう。
清涼飲料水には、合成甘味料が砂糖代わりに使用されます。こちらも大量摂取すると成長遅れ、脳腫瘍、肝機能障害などの心配が出てきます。ですから子供にはなるべく合成甘味料の入っていない、手作りジュースを与えるように心がけましょう。
子供に添加物が多いスーパーの冷凍食品はNG?理由は?
働くママさんが増えていることもあって、家事をどう時短でこなしていくかが重要な問題になりつつあります。そこで重宝する存在として、スーパーなどで販売されている冷凍食品を使っている方も多いでしょう。
冷凍食品は電子レンジでチンすれば簡単に出来上がりです。現在ではメインから添え物まで、幅広い食品がラインナップされていて、夕食から子供の弁当まで、いろいろなシチュエーションで利用しているでしょう。
しかし子供のいる家庭では冷凍食品を多用するのはお勧めできません。スーパーの冷凍食品の多用がおすすめできない理由は、食品添加物が多く使われているからです。
食品添加物はすべて危険というわけではないですが、将来健康上の問題を引き起こしかねないものもあります。日本は欧米と比較して、添加物の規制について遅れているところもある点に注目しましょう。
子供は添加物が多いコンビニの食品にはNG?理由は?
コンビニは今では日本全国いたるところに出店しています。自宅の近くにコンビニがある人も多いはずです。しかもコンビニの多くは24時間営業しているのも魅力的です。残業で夜遅くなった時にコンビニで食事を買う人も多いでしょう。
しかしコンビニ食は子供にはあまりお勧めできません。コンビニではほとんどのところで生鮮食品の取り扱いがなく、加工食品が基本です。加工食品の場合、食品添加物が多く含まれています。
コンビニの食品ばかり摂取すると、長期的には健康を害する可能性がどうしても出てしまうのです。例えば清涼飲料水の多くに、水に溶けやすい性質を持つ安息香酸ナトリウムが含まれています。
微生物の活動を抑制することで腐りにくいのですが、人間の細胞にも悪影響をもたらす危険性があります。
食品添加物=悪ではない!余計な添加物を摂る意味はないが過度に心配する必要なし
食品添加物の含まれていない食品を探している親御さんは多いのではありませんか?食品添加物は健康を害する毒というイメージがあるからです。しかし、食品添加物=悪かというと決してそうではありません。
食品添加物のあるおかげで、私たちはいろいろな恩恵を受けています。もし食品添加物の使われていない食べ物だけであれば、すぐに腐ってしまいますし、色みも悪くなってしまいます。そうなると頻繁に買い物に出かけないといけません。
またマヨネーズなどは、乳化剤という食品添加物で商品化できた調味料です。この食品添加物のおかげによって、私たちは豊かな食生活を送れているわけです。
食品添加物の中には、一度に大量に摂取すると病気の原因となるものもありますから、過剰に摂取することは避けたほうがいいでしょう。しかしそのような基本的なルールを守っていれば、子供のいる家庭でもそれほど食品添加物を恐れる必要はないわけです。
まとめ
食品添加物の含まれていない無添加のものの方が安心、このように思っている人も多いでしょう。小さな子供のいる家庭の場合、特にどのような原料が含まれているのかは気になるところでしょう。しかし食品添加物は、そこまで危険なものではありません。
食品添加物については、厚生労働省なども安全性の試験を行っています。そして一定量・一定のルールの下で使用するのであれば問題ない添加物を公表しています。このような指定添加物であれば、多少子供が口にしてもあまり不安がる必要はないでしょう。
ただし食品添加物の中には、過度に摂取するといろいろな症状を引き起こすものもあります。また発がん性が指摘されている添加物もあるのは事実です。食品添加物とうまく付き合っていくためには、まずはよく知ることから始めましょう。
食品添加物の中にはOKなものとNGなものがあります。その区別をつける知識を身につけましょう。