サッカーは子供の身長が伸びないスポーツではないかという話があります。確かに、昔から身長が伸びるスポーツといえばバスケットボールやバレーボール、逆に身長が伸びないスポーツはサッカーとよく言われてきました。
もし子供の親の立場であれば、子供の身長が伸びなくなるスポーツはあまり子供にさせたいとは思えません。しかし、そもそもなぜサッカーは身長が伸びないスポーツと言われているのでしょうか。
サッカーが本当に子供の身長が伸びないスポーツなのかどうかについては、サッカーというスポーツの特性や、サッカー選手の身長などを参考にしてみると、本当なのか噂だけなのかというところが見えてきます。
サッカーは足への負荷が大きく身長が伸びない可能性も
サッカーはなぜ、子供の身長が伸びないスポーツだと言われているのでしょうか。まずサッカーがどういったスポーツなのか考えてみます。
サッカーは基本的にキーパー以外は手を使うことはなく、足だけでボールを蹴ったり走ったりするスポーツです。ヘディングをするときにはジャンプする事もありますが、多くの動きとしては走ると蹴るの2種類になります。
つまり、サッカーは足への刺激と負担が非常に大きなスポーツということになります。
骨に縦方向に刺激が加わると身長促進に
子供の身長を伸ばすのにはスポーツを行うことが良いといわれています。なぜかというと、子供の身長を伸ばす為には成長期に骨の縦方向に対する刺激が良いといわれているからです。
これは、身長が伸びるスポーツの代表格であるバスケットボールやバレーボールの動きを考えるとわかります。
バスケットボールやバレーボールはジャンプをする動きが非常に多いスポーツなので、常に骨に対して縦の刺激が加わるからです。
なぜサッカーは負荷が大きいのか
サッカーも走ったりヘディングをするのにジャンプしたりと骨の縦方向に対する刺激は多く加わるスポーツだといえます。特に足への刺激が強いので、足から身長が伸びていくのでは、とも考えられなくありません。
ですが、サッカーの場合は同じ縦方向への刺激であっても、足にばかり過度に負荷がかかる可能性が高いのです。サッカーはボールを常に足で思いきり蹴ります。この刺激は成長期の子供の骨に対して負荷がかかりすぎる可能性があるのです。
このように、骨に対して程よい刺激であればよいですが、過度な刺激が加わってしまうと、子供の身長は伸びない可能性が出てくるでしょう。
ハードすぎるトレーニングは骨の成長に逆効果
子供の身長が伸びない原因はいろいろありますが、サッカーに限らず健康的にスポーツをしている子供の身長が伸びない事は、通常は考えにくいです。
ですが、スポーツをしていることが原因となって、身長が伸びなくなるというケースもない訳ではありません。
ではどういった場合にスポーツやトレーニングが身長に対して悪影響を及ぼすかというと、負荷のかかりすぎるスポーツやトレーニングを継続した場合です。
スポーツをしているのに、伸びない場合にはスポーツやトレーニングの内容がハードすぎるという可能性が考えられます。
ハードすぎる運動を行った場合、骨の成長に対しても良くないのですが、同時にエネルギーや栄養面についても注意が必要です。
ハードな運動をしていると疲れて食事をきちんととれなかったり、食事からだけでは成長に必要な栄養を十分に補うことができなくなってしまい、それが原因で身長や成長が不十分となってしまう可能性があるからです。
Jリーガーの平均身長と日本人男性の平均身長を比較
サッカーといえばプロとして活躍しているJリーガー選手がいます。もし、サッカーが子供の身長が伸びない原因のスポーツという事であれば、当然子供の頃からサッカーばかりやってきたJリーガー選手たちの身長は低いはずです。
そこで、Jリーガー選手の身長に注目してみます。すると、驚くことにJリーガー選手の平均身長は178cmもあるのです。
日本人男性の25歳の平均身長は170.9cmということを考えると、Jリーガー選手たちは平均身長を8cm近くも上回る事になりますので、サッカーをやっているからと言って身長が伸びないという根拠にはならないことがわかります。
2017年JFA日本代表メンバーの代表メンバーの身長は?
サッカーをしていると身長が伸びないという医学的根拠もなく、プロスポーツ選手として活躍しているJリーガーの選手たちの平均身長も決して小さくないどころか、日本人男性の平均身長よりも大きいことがわかりました。
では、さらに具体的にサッカー選手の身長を見て、子供の身長の伸びとの関係を見ていきたいと思います。そこでJリーガーの次に注目してみたいのが2017年のJFA日本代表メンバーの選手たちの身長です。
2017年のJFA日本代表メンバーといえば、ごく最近一線で活躍していたプロサッカー選手なので、当然ですが子供の頃からサッカーばかりやってきたに違いありません。もしサッカーが身長に悪影響を与えるなら、この選手たちの身長は低いはずです。
U16代表選手(男子)
はじめにU16代表選手の身長から見ていきます。まずゴールキーパーに選ばれている選手は4人いて、平均身長は185cmです。ゴールキーパーは基本的に身長の高い選手が選ばれる傾向がある為、当然といえば当然の結果になります。
次にディフェンダーは、平均身長が175cmでした。170cmを切っているのはわずかに2人だけで、あとは全員が170cm以上、中には190cmもある選手もいました。
ミッドフィルダーは平均身長が173cmです。ディフェンダーとはわずか2cm差となっています。そしてフォワードですが平均身長は179cmです。代表の中で最も大きい選手は190cm、最も小さい選手は164cmでした。
U16代表選手(女子)
U16代表選手の女子選手の身長を見てみます。近年女子サッカーもなでしこジャパンの影響で非常に人気がありますので、子供の頃からサッカーに取り組むスポーツ女子は増えています。ということはサッカーで身長が伸びないのなら平均身長も低いはずです。
まず始めにU16代表選手の女子選手の中で最も身長が高いのは、ゴールキーパーを務める石田子菜選手で、171cmとなっています。次に最も身長が低い選手はミッドフィルダーの青木柚香選手で148cmでした。
日本の女性の平均身長は158cm前後となっていますので、石田選手はそれをかなり上回っています。青木選手は平均身長より10cmほど小さいですが、まだこの時点では伸びる可能性が十分あります。
日本代表・世界で活躍するサッカー選手の身長は?
子供があこがれるスポーツのでもトップの人気を誇るサッカーですが、やはり身長が伸びないとなると不安が残ります。そこで、ここからはさらにサッカー選手として活躍するプロの身長をみていきたいと思います。
サッカー選手の中でも日本代表選手や世界で活躍している選手の身長を見れば、サッカーと子供の身長の関係が明確になってくるはずです。
なぜなら、日本代表になったり世界でサッカー選手として活躍する為には、子供のころからサッカーに明け暮れてきたことは明白です。もしサッカーが身長に悪影響を及ぼすのであれば、当然活躍している選手たちの身長も低いという結果が出るでしょう。
日本代表の平均身長
サッカー日本代表選手の身長を参考にしてみると、子供がサッカーをする事で身長が伸びないのかどうかがわかってきます。
まず始めは本田圭介選手です。本田圭介は日本代表以外にも海外のクラブチームでも活躍している一流サッカー選手で、身長は182cmとなっています。180cmを超えているということは普通に考えてかなり大きいです。
次に同じく日本代表と海外での活躍を見せている長友 佑都選手です。長友 佑都選手は女優の平愛梨さんと結婚したことでも話題となりましたが、その身長は170cmです。
日本代表とブンデスリーガで活躍中の香川 真司選手はというと、175cmで長友選手よりも大きいです。香川 真司選手もやはり海外では小柄に見えてしまいますが、十分身長がある選手といえます。
さらに日本代表とプレミアリーグで活躍している岡崎 慎司選手ですが、香川選手より少し小さい174cmです。こちらも決して大きい方ではないものの、日本人男性の平均身長以上はありますので小さくはありません。
最後に日本の守護神としてゴールを守っているゴールキーパーの川島 永嗣選手です。川島 永嗣選手は185cmもありますので、日本人サッカー選手の中でもかなり身長が高い方になります。
日本代表として活躍しているサッカー選手の身長を見ると、身長が伸びなかったということは考えられません。こうしたことから、サッカーは他のスポーツに比べて子供の頃に身長が伸びないということはないのです。
海外の有名選手の平均身長
今度は海外の有名サッカー選手の身長を見てみたいと思います。海外で活躍しているサッカー選手の中でも、特に有名なスター選手の身長をピックアップしてみます。
このクラスの選手になると、当たり前ですが子供の頃からサッカーばかりやっていたに違いありません。ですから、サッカーが身長の伸びないスポーツなのであれば、当然身長にも影響しているはずです。
まずはアルゼンチン代表のメッシ選手です。メッシ選手の身長は170cmです。実はメッシ選手は子供の頃にホルモンの異常による低身長でした。
低身長というハンデを持っていながら投薬治療をしたとは言え、170cmまで伸びたというのはサッカーにマイナス要因があったとは考えにくいでしょう。
他に活躍する海外選手
次にブラジルのネイマール選手です。ネイマール選手の身長は175cmあります。海外のサッカー選手としては決して大柄なほうではありませんが、ブラジル代表以外にもバルセロナなど世界の一流チームで大活躍しています。
人気実力ともにナンバーワンのクリスティアーノノナウド選手は、身長が187cmあります。かなり大柄な選手なのですが、海外の選手たちは大きい選手が多いので、クリスティアーノノナウドが特別大きくは見えないかもしれません。
スペイン代表のシャビ選手は身長170cmと、海外のサッカー選手の中では小柄なほうです。ちょうどメッシ選手と同じ身長ということになり、大柄ではないものの特別低身長ということではありません。
日本代表女性選手の平均身長
今度は日本人女性のプロサッカー選手の身長を見てみます。なでしこジャパン人気のおかげでサッカー女子も増えてきて、子供の頃から他のスポーツではなくあえてサッカーをする女子も増えていますが、身長が伸びないということはあるのでしょうか。
女子サッカー選手といえば外せないのが澤穂希選手です。ワールドカップでは得点王やMVPを獲得し、日本代表をオリンピックへも導いた選手の一人です。そんな澤穂希選手の身長は165cmでした。
次に岩渕 真奈選手です。岩渕 真奈選手は神戸レオネッサ所属の選手でお兄さんもサッカー選手という家族構成です。そんな岩渕 真奈選手の身長は156cm、日本女性の平均身長よりわずかに小さいくらいです。
田中 美南選手は日テレベレーザの選手で、母親がタイ人なのでタイ出身になります。国籍は日本なので日本人としてワールドカップにも出場して活躍している選手ですが、身長は164cmあります。女性としてはやや大きい方といえるでしょう。
そして最後に猶本 光選手です。猶本 光選手は福岡県出身でワールドカップに日本代表として出場していますが、クラブチームはドイツのブンデスリーガにあるフライブルクに所属しています。身長は158cmなので一般女性の平均身長といったところです。
女子サッカー選手は平均身長が高め
ここまで女子サッカー選手日本代表の4選手の身長をみてきましたが、岩渕 真奈選手以外はみなさん女性の平均身長以上の身長があります。澤穂希選手や田中 美南選手は平均身長よりも6~7cm高いことになります。
このようなデータを見る限りでは、女子サッカー選手もサッカーによって身長が伸びなかったということはないようなので、女子も子供がスポーツの中でサッカーをすると身長に悪影響があるとは言えないでしょう。
平均身長の高い順にポジションが違う
身長が伸びないといわれているサッカーも、実は身長によってポジションが違ったりすることはあります。
サッカーには防御のかなめであるゴールキーパーやディフェンダー、ミッドフィルダー、そして攻撃のかなめであるフォワードという風に大きく分けて4つのポジションがあります。
この時に実は身長もある程度考慮した上でポジション分けされる傾向があるのです。もちろんそれは身長が高い方が有利なポジションと、それほど関係のないポジションがあるからです。
GKとCBには身長が高い選手が求められる
まずディフェンスのかなめであるゴールキーパー、そしてディフェンダーの中でもセンターバックのポジションは、身長の高い選手が選ばれる傾向があります。
サッカーというスポーツは足だけで攻撃したり防御するわけではありません。ヘディングをしたり空中でボールをキープしたり、いわゆる空中戦というものがあります。
もし相手が空中戦でゴール前の戦いを挑んできた場合に、ディフェンスの選手の身長が低いと競り負けてしまって、失点するリスクが高くなるでしょう。
MFとFWは背が低い選手でも活躍できる
サッカーでは中盤を固めるミッドフィルダーというポジションがとても重要です。スポーツは攻撃と防御がありますが、サッカーではそのどちらも対応しなくてはならないのがミッドフィルダーです。
そして攻撃のかなめとなるのがフォワードで、主に得点を取る事が仕事のポジションです。
ゴールキーパーとセンターバックのところでご紹介した通り、ゴール前では空中戦になることがあります。そこで競り勝つかどうかで得点につながるかどうかが決まるので当然高身長がいいです。
DFの中でもSBは身長が低い選手が多い
ディフェンダーの中でもセンターバックは身長が高い方が良いというお話をしましたが、ディフェンダーの中でもサイドバックの選手は、センターバックと違って身長がそれほど高くなくても務まるポジションです。
なぜかというと、サイドバックの選手はセンターバックの選手のようにヘディングなどで競り合うことが少ないからです。
サッカーというスポーツはいろいろな戦略がありますので、必ずしもすべてこのパターンが当てはまるという訳ではありませんが、世界で活躍する選手も日本代表選手もサイドバックは身長がそれほど高くない事が多いのです。
サッカー選手は身長が高い方が有利なのか?
サッカー選手を目指している子供の中には、なかなか身長が伸びないことを悩んでいる子供もいるかもしれません。しかし、実はサッカーというスポーツにおいて、身長の高さと世界で活躍している選手の身長には特に関連性がないことがわかっています。
実際に例を挙げてみると、まず世界一の選手ともいわれているアルゼンチン代表でバルセロナ所属のリオネルメッシ選手は、身長が170cmしかありません。これは日本代表に入っても割と低い方といえる身長です。
しかも、メッシは幼い頃ホルモン異常による低身長でした。その為、150cmもなかったとても小さな子供でしたが、それでもサッカーの才能を見出されてバルセロナからスカウトされ、その後も大活躍を見せています。
歴代の有名サッカー選手も身長が小さい
サッカー界の伝説の選手ディエゴマラドーナ選手の場合は、そんなメッシ選手よりもさらに小さい165cmしかありません。それでもサッカー界になお残す有名選手になることができています。
そしてもう一人、サッカーの神様と言われるペレも、171cmと海外選手にしては小柄でした。同じブラジルのロベルトカルロス選手も168cmで左サイドバックを守っていました。
こうしてみると、超が付くほどの有名サッカー選手で身長が高くない選手はたくさんいるのです。
サッカーに必ずしも身長の高さは必要ではない
サッカーをする上で、身長はあって困ることはありませんが、どうしてもないと不利かというと、そうではないことが実際に世界で活躍しているサッカー選手たちの身長からわかります。
スポーツによっては身長の高さがとても重要である場合もありますが、サッカーの場合はそうではないのです。メッシのように子供の頃に身長が伸びない病気を持った選手でも、世界で活躍するスター選手になっているのが何よりの証拠でしょう。
もちろんポジションによっては身長があった方が望ましいといわれるところもありますが、それを補う技術やセンスがあれば問題にはなりません。
練習後の補給は成長にも最適な子供用サプリの活用を
子供の頃にサッカーをすると身長が伸びないというのは、正しい情報ではありません。それはここまでにご紹介した日本、そして世界のサッカー選手の身長を見てみれば明らかです。
ではなぜサッカーで身長が伸びないといわれたのかというと、サッカーは広いグランドを長時間走り回る競技なので消費エネルギーが多い事が一つの要因です。
消費した分のエネルギーをしっかり補給できればいいですが、疲れて食事をとらなかったり栄養不足になると、伸びるはずの身長も伸びません。
まとめ
数あるスポーツの中でも、子供がやると身長が伸びないといわれているサッカーですが、明確な医学的根拠はありません。ですから、サッカーをしたからと言って身長が伸びなくなるということはないのです。
子供の頃から人一倍サッカーばかりしてきた日本代表選手や、世界で活躍しているスター選手の身長を見ると、決してサッカーをした事で身長が伸びなかったとは考えられません。
個人差はありますが、多くの選手が同年代の平均身長と同じか、それ以上の身長になっているからです。
サッカーは過度なトレーニングと栄養補給が大切
ただし、気を付けなくてはならないのが過度なトレーニングや運動です。子供の身長を伸ばすのは骨への刺激が必要ですが、必要以上の刺激は良くありません。
サッカーはたくさんのエネルギーを消費するスポーツの一つでもあります。よって、練習や試合をした後には消費した分のエネルギーをしっかりと補給しないとならないのです。
特に子供の時期は、身体を成長させる為に必要な栄養素が不足すると身長が伸びません。食事だけでは足りないと感じたら、子供用サプリメントも使って栄養不足にならないようにしましょう。