外へ出かけたときに前から歩いてくる人の身長が高いなと思っていたら、意外に自分とあまり変わらなくて驚いたりしたことはありませんか。
そういった実際の身長よりも高く見える人がいますが、その人たちの共通点を知っているでしょうか。もうおわかりだと思いますが答えは『姿勢』です。
背筋をピンとした良い姿勢の人は見た目がきれいで身長が高く見えます。また、姿勢が悪い人よりも明るい印象をもちますよね。
しかし、近年では姿勢の悪い子供というのは段々増えてきているのです。そこで今回は姿勢が悪くなる原因や症状など【子供の姿勢】についてまとめていきます。
姿勢が悪くなる原因
姿勢を悪くする原因はたくさんありますが、子供の姿勢を悪くする主な原因は以下の5つになります。どれか1つでも当てはまっているなら要注意です。
- 長時間同じ姿勢
- 筋力の低下
- イスや机の高さがあっていない
- 重いカバンを片方の肩だけで持っている
- 靴のサイズがあっていない
長時間同じ姿勢
最近では公園でのボール遊びの禁止や、危険の理由から遊具が撤去されるといったことが増えています。これによって子供たちは遊ぶ場所が減り、必然と室内で遊びます。
また、それに伴ってネットやゲームが発達し、ますます外で遊ぶ子供は減っていってる一方です。
室内で遊ぶとなると必然とネットやゲームを長時間見続けることになり、同じ姿勢がずっと続きます。その結果、子供の背骨は徐々に歪んでいき、姿勢が悪くなっていくのです。
筋力の低下
こちらも長時間同じ姿勢でいるのと同じ理由で、外で遊ぶ機会が減ることによって子供の筋力は昔に比べて低下してきています。
姿勢を良くするには背筋と腹筋がある程度必要なんですが、筋力の低下によって正しい姿勢をとることができず、悪い姿勢となっていきます。
筋力の低下を防ぐためにも、筋トレをするなど運動をできるかぎり取り入れていきましょう。
イスや机の高さがあっていない
意外と見落としがちなのが、この『イスや机の高さ』です。学習机を購入したときに、お子さんにあった高さにしないと、自然と体で調節しようとします。
結果、前かがみになるなど、姿勢が悪い状態になってしまいます。適切な高さは足の裏がすべて下につき、太ももはイスからはみ出て浮かない状態です。
重いカバンを片方の肩だけで持っている
部活やクラブチームに所属しているお子さんだと、ユニフォームやクラブで使う道具が入った重いカバンをもつことがあるでしょう。
ついつい力が入る利き手で持ってしまいがちですが、重いカバンを片方の肩で長時間もつと、姿勢がドンドン重たいほうに歪んでいき、傾いていきます。
靴のサイズがあっていない
子供の成長とは早いもので、靴や服などすぐに着られなくなります。もったいないので少し大きめのサイズの靴や服を買っている方は結構いるでしょう。
服はまだ問題ありませんが、靴のサイズが違うと足元が不安定となり歩き方がおかしくなってしまいます。その結果、姿勢も悪くなっていきます。
買い換えるペースが早くなってしまいますが、お子さんの足のサイズにあった歩きやすい靴を選んであげましょう。
姿勢が悪いと起こる症状
姿勢が悪いと身長が小さく見えるだけではありません。さまざまな症状も起こります。姿勢と健康 第1回「悪い姿勢は、なぜいけないのか」によると姿勢が悪いと起こる症状は以下になります。
- 精神的に悪影響を及ぼす
- 呼吸が浅くなる
- 筋肉への負担
- 神経への負担
精神的に悪影響を及ぼす
精神的に悪影響と聞いても、正直「姿勢と精神面は関係ない」と思ってしまいますよね。実は姿勢とは『体の表情』とも呼ばれ、脳の働きに影響を及ぼします。
実際に想像してみてください。背筋をピンとした姿勢の良い人と、背中が丸くなった猫背の人、どちらのほうが明るい印象をもちますか。
もちろん姿勢の良い人ですよね。また、姿勢が良いとどこか自信があるようにも見えますよね。
このように姿勢は表情のように明るさや、自信など精神的にも影響を及ぼします。姿勢が悪いと性格が暗くなったり、人間性にも悪影響を及ぼすかもしれません。
呼吸が浅くなる
猫背のように前に丸くなると、胸が広がりにくく呼吸が浅くなってしまいます。呼吸が浅いということは、酸素の吸う量が少ないということで、運動をしてもすぐに息切れをしたり、さらに酷くなると何もしなくても息苦しくなってしまうのです。
酸素が少なくなると、脳に運ばれる酸素の量も少なくなってしまうので結果、脳の活動は低下していき、集中力を低下させます。
筋肉への負担
背中が丸くなっていたり左右のバランスを崩した姿勢でいると、体を倒れないようにするためにも筋肉を必要以上に使います。その結果、筋肉への負担は大きくなってしまうのです。
負担が大きくなると、肩こりや腰痛を引き起こし「だるさ、重さ、張り、痛み」となっていきます。
神経への負担
姿勢が悪いと背骨に対して負担が大きくかかります。背骨の中には脊髄や神経が通っており、それらにも影響を及ぼす可能性があります。
知覚神経だと感覚に異常を起こしたり、運動神経だと運動能力の低下、自律神経だと内臓機能の低下といった異常と低下を起こすかもしれません。
姿勢の改善方法
姿勢を改善するには、まず前述した姿勢を悪くする原因を取り除きましょう。いくら、姿勢を良くする運動をしたとしても原因を取り除けてなければ意味はありません。
姿勢を改善する方法は以下の3つです。これらを毎日意識して行うといいでしょう。
- 腹筋をする
- 背筋をする
- 良い姿勢を意識する
1.腹筋をする
姿勢を良くするために腹筋を鍛えましょう。筋肉をつけるためですが、そこまで負荷をかける必要はありません。
毎日5回から10回程度繰り返しましょう。腹筋が苦手な子であれば、肩を床から20cmほど離し、5秒間止めて、ゆっくり戻る。これを繰り返しましょう。
2.背筋を強化する
うつ伏せになり、両手を腰の後ろで組みます。そこからゆっくりと上体を上げていき、3秒ほど止まります。これも毎日20回ほど続けましょう。
あくまでも目安なので無理のない秒数、回数にしましょう。
あまり無理しすぎると長続きしないので、ゆっくり時間をかけて回数を増やしていくといいでしょう。
3.良い姿勢を意識する
姿勢を良くするためには何よりも意識することが大切です。意識しないと結局悪い姿勢に後戻りしてしまいます。
常に頭が糸で上に引っ張られていることをイメージしましょう。そうすることで自然と良い姿勢をとることができます。
この方法以外にも姿勢を良くするイメージができるならそちらでも構いません。もう一度言いますが、何よりも大切なのは「良い姿勢を意識する」ことです。最初は大変かもしれませんが、続けるうちに慣れてくるでしょう。
睡眠時の姿勢を改善
身長を伸ばすためには睡眠がとても大切です。睡眠中も成長ホルモンは分泌されるため、いかに『良質な睡眠』をとれるかが重要になってきます。
睡眠時も丸まっていたり、変な姿勢でいたりすると先ほど紹介した症状のように、呼吸が浅くなったり、筋肉に負担がかかったりししてしまうのです。
そうすると良質な睡眠をとることは難しくなり、成長ホルモンの分泌にも影響を及ぼします。また、成長ホルモンの分泌以外に疲労回復などにも影響があるかもしれません。
どのような姿勢で寝るのがいいのかというと『仰向け』です。仰向けで寝ると背筋をキレイに伸ばすことができ、呼吸も深くなります。
子供の姿勢をチェックする方法
姿勢について色々解説してきましたが、お子さんの姿勢は良いのか悪いのかわかりませんよね。そこで子供の姿勢をチェックする方法を紹介します。
まずは壁にカカトをつけて立ってもらいます。それから横から以下の順番を確認してみてください。
- 耳たぶ
- 肩峰(肩の少し突き出ている部分)
- 大転子(股関節の横、腰付近)
- 外果(くるぶし)
耳たぶからくるぶしまで一直線であれば、良い姿勢だといえます。また、まっすぐ壁にもたれかかった時に、頭と背中、腰がつけば良い姿勢だといえます。
しかし、腰の部分が大きく空いていれば「そり腰」と呼ばれ、姿勢が悪いです。理想は片方の手がかろうじて入る程度です。腰部分にまったく隙間がなければ、全身的に筋力不足の疑いがあります。
お子さんの姿勢が悪いのであれば、すぐに改善に取り組みましょう。
女の子は姿勢改善のためにする腹筋や背筋を嫌がるかもしれませんが、姿勢のことについてきちんと説明して納得させましょう。
上記のやり方ではわかりづらいと思うので以下の画像を参考にしてやってみてください。
(出典:財団法人 神奈川健康財団「姿勢チェック」)
まとめ
以上、姿勢のことについて解説しました。姿勢を良くすれば身長が大きく見えるだけではなく、集中力改善による勉強での成績アップや自信をもつことにも繋がります。
反対に悪い姿勢でいると身長が小さく見えるだけでなく、集中力低下による勉強での成績低下や睡眠の質の低下、精神面での悪影響などさまざまなことが考えられます。
姿勢の改善は子供だけにやらせるよりも親子でやると長続きしやすいです。親が頑張っていれば子供も自然と頑張ります。肩こりや腰痛で悩んでいる方は改善できるかもしれないので、なおさら大人にもおすすめです。
姿勢の改善にはある程度限界があります。重度に悪化した姿勢だと治らない場合もあるので、一向に改善される気配がなければ整形外科に相談をしましょう。
ちなみに改善するときにお子さんの横向きの写真を撮って、経過を観察するとよりわかりやすいですよ。お子さんのためにも姿勢の改善を頑張りましょう。