デパートやスーパーで加工食品を手に取ってみると、ブルーのラベルに金や銀の地球儀のデザインがしてあるラベルが付いていることがあるでしょう。これはモンドセレクションと言って、製品の品質を審査するベルギーの民間団体が授与している賞です。
皆さんは商品を購入する際、モンドセレクションを受賞しているモノは何となく良さそうだと選んでしまうことがありませんか?日本では昭和の中期あたりから、商品のアピールポイントとしてモンドセレクション受賞を謳う傾向がありました。
今回はこのモンドセレクションについて詳しくチェックしてみたいと思います。そして賞の権威や実際の審査方法を確認し、本当に良いものを勧めているのかを確かめていきます。
モンドセレクションってどんな機関?
モンドセレクションは1961年度にベルギーの首都ブリュッセルで発足された民間団体で、食品や消費生活製品の品質や製造技術を審査し、世界各地で販売されている商品の品質向上を目指した活動をしています。
第一回の授賞式はベルギー、それ以降は毎年6月にフランスやイギリス、オランダとヨーロッパを中心に受賞会場を設けています。
そこで世界中から応募された商品に対して、食品であれば味覚や香りなどの官能評価や成分分析などの品質評価、そしてパッケージや製造工程・品質管理の状態を評価するなどして、総合的に点数を付けていきます。
日本の第一号は、1966年に日清製菓のバターココナツが金賞を受賞し、それをテレビCMでも大々的に宣伝されたため、日本人にも馴染みのある賞になりました。
科学的かつ法規重視のアプローチで製品を評価
モンドセレクションでは、応募された商品について次のような審査を行っています。まず成分表から、商品の安全はどうか?健康面でリスクのある添加物の配合はどうか?商品の効能やラベル表示との整合性分析など、科学的な見地からチェックしているのです。
そして販売方法として、表現方法やコマーシャルクレームを調査し、商品としての在り方を評価し、使用上の注意への配慮、使用満足度のチェックや官能検査(テイスト、アロマ、外観、フレーバー、舌触りなど)などもしています。
審査では栄養学コンサルタントや各専門の大学講師、化学エンジニアといった権威を70名以上配して審査しています。
評価方法から受賞までの流れ
モンドセレクションにおける審査内容には、主に『規格に則って製造されているか』という点を科学的分析法などで確認します。そして『パッケージ表記と内容が一致しているか』も注目しています。
例えば「天然のサンゴから抽出したエッセンス配合」という化粧品があれば、その表示通りのサンゴエッセンスが入っているかどうかを厳しくチェックするのです。
こうして審査は進みますが、一点だけ理解しておくポイントがあります。モンドセレクションでは、その配合率がどういった効果を発揮するのかまでは調べません。
エントリー方法には商品のパッケージのテキストや栄養成分分析結果文書、出品企画や調理方法と食べ方、取り扱い説明などの明記を指定しています。こうして審査に入り、商品の品質を吟味し、審査結果に応じた賞が与えられるシステムです。
審査員は誰なの?
モンドセレクションで商品審査を行っているメンバーですが、基本的には専門性と能力、経験、誠実さなどを基準にして、外部機関の各権威を中心に選出されています。
外部機関の専門家を集めるのは、評価の公平性を担保する事、完全に独立した判断が下せる環境を維持することが優先されているためです。
具体的にモンドセレクションでは常時70名以上の専門家が所属し、各セクションごとに8名以上のグループ編成を組んでいます。そして対象となる商品のカテゴリーに合わせて評価チームが編成され、独自の尺度で審査を進めていくのです。
授賞式はどこで行われているの?
モンドセレクションは1961年6月にベルギーの首都ブリュッセルで第一回・第二回目の授賞式を行いました。その後も毎年6月を授賞式セレモニーとしています。
セレモニー会場はヨーロッパを中心にしつつ、毎回場所を移して認知度を高めるように運営されています。
ちなみに第三回目はフランスで、第四回目はルクセンブルクで行われました。その後もイギリスやオランダやスイスといったヨーロッパ諸国での開催が続きます。そして2000年あたりになりますと、スペインやポルトガル、スウェーデンへも足を延ばしています。
参加するメリットは?
モンドセレクションに応募するメリットには、具体的にどんなものがあるでしょうか?実は参加の際は16万円ほどの参加料が必要と言いますが、それでも日本メーカーがこれほど積極的に参加する理由はどこにあるのでしょうか?
スーパーやデパートで商品を手に取ると、いたるところでモンドセレクションの公認マークが輝いています。マイナーな商品でもメダルの表記がなされているのです。モンドセレクションを欲しがるメーカー側の理由をチェックしてみましょう。
受賞者は3年間優秀品質ラベルを表示できる
公式サイトの『モンドセレクションの受賞メダルロゴの使用について』をチェックしますと、優秀品質ラベル(金・銀・銅など)を受賞したメーカーは、基本として3年間、商品のパッケージ等にラベルの添付を認められています。
また、テレビやインターネット等のメディアで宣伝・広告に利用することについては期限を設けていません。その部分の利用は3年間の縛りがないということです。
そして受賞レベルと受賞した年度は消費者にはっきり分かるように明記することも原則としています。ただし、受賞メダルロゴにリボンや王冠などの装飾を施してパッケージ等に印刷することは禁じられています。
ラベルには最高金賞・金賞・銀賞・銅賞がある
モンドセレクションが授与している賞は4ラベルで、それぞれの賞は審査の得点によって分類されています。
まず優秀品質銅賞は平均得点が60点~69点で、合格ラインのクリアレベルの製品へ授与されます。優秀品質銀賞が平均得点70点~79点、優秀品質金賞は平均得点80点~89点になります。
そして優秀品質最高金賞の場合は平均得点が90点~100点の製品に与えられる賞で、過去の獲得率は参加者全体の16%程となっています。
プレステージ・トロフィーとは?
40 years Trophyのエメラルド・プレステージ・トロフィーは、いずれかの優秀品質賞を40年連続で受賞している企業へ与えられます。
他にも25周年記念トロフィー、10年連続のクリスタル・プレステージ・トロフィー、3年連続のインターナショナル・ハイクオリティ・トロフィーが用意されています。
モンドセレクションを取ると売り上げが伸びる?
モンドセレクションをお茶の間のコマーシャルから世間へ広めたキッカケは、1966年に日清製菓のバターココナツが『モンドセレクション金賞受賞』と大々的にテレビCMで流したからです。
それによってこの菓子の知名度も全国レベルとなり、大いに売り上げが伸びたという歴史があります。ちなみに、これが日本第一号の受賞でした。
日本社会では優れた研究機関等のお墨付きをもらった製品は、その品質や完成度を二の次にして販売率がアップする傾向があります。いわゆる権威主義というもので、ブランドブームは良い例でしょう。
「最高金賞」受賞商品を5つピックアップ
このところモンドセレクションの権威はうなぎ登りの様相を呈していて、それはサントリーのプレミアムモルツ〈香る〉エールが2016年・2017年・2018年と連続で最高金賞を受賞したからでもあります。
当ビールの公式サイトを見ると、いきなりこの受賞が大々的に取り上げられていて、モンドセレクションはあたかも食のオリンピックとでも言わんばかりの盛り上がりを見せています。この受賞によって売り上げが大きくアップしていることは確かです。
そしてプレミアムモルツに続けとばかり、この数年急上昇している国内メーカーの参加者の中には、最高金賞を受賞して成功している例が他にもあります。ここでは人気商品となった5銘柄を紹介しておきましょう。
元祖ビー玉ラムネ(木村飲料)
昭和の高度成長期の時代は炭酸飲料水と言えばラムネでした。清涼感あふれるガラス瓶にビー玉の栓で一世を風靡した日本のジュースです。
ノンアルコール系炭酸飲料の最高金賞第一号として、2006年・金賞受賞、2007年・最高金賞受賞、2008年・金賞受賞と3年連続受賞しています。
「日田天領水」
大分県日田市の名水で、2005年に初めて金賞を受賞しています。その後2012年まで7回連続最高金賞を受賞した人気のミネラルウォーターです。この栄誉を称えて、インターナショナル・ハイクオリティ・トロフィー2017年に授与してもいます。
ちなみに国産のミネラルウォーターメーカーの受賞者がたいへん多く、日本の水の高品質が世界に知られるキッカケにもなっています。
「ひいふうみそ汁」(かねさ)
わかめ・しじみ・とうふの3種類の具を美味しくフリーズドライにしたインスタントみそ汁です。日本人の味噌汁離れ状態にあって、気軽に本格的な味噌汁が味わえるとファンの多い食品です。
当商品は2002年から8年間金賞を受賞して、2004年にはインターナショナル・ハイクオリティ・トロフィーも受けています。
さんま蒲焼(平松食品)
国内で水揚げされたサンマを厳選し、蒲焼風味に仕立てたサンマの甘露煮です。できあがりまでに3日間を掛ける丁寧な仕事が高い評価を受けています。
モンドセレクションの受賞は2005年からで、その後2006年金賞、2007年には最高金賞に輝いています。
ちりめん山椒(三味洪庵)
こだわりの国産極上ちりめんじゃこだけを厳選し、同じく国産の上質の山椒と清酒で炊き上げた高級フリカケです。こちらも受賞で人気がアップした商品です。
モンドセレクションにまつわる噂や裏話を徹底調査
世界では取り立てて騒がれているアワードではないという話もありますし、最高金賞でさえもお金で買えるという噂が流れています。
確かにアワード・格付け査定全体に不公正な審査がささやかれるもので、エントリーで多額の金銭を集めたり、審査員が買収されたり、あるいは初めから参加者と結託して話題造りの受賞がなされる話は多いのです。
そこで、今注目度ナンバーワンのアワード・モンドセレクションの実態はどうなっているのか?この点について調査をしていきましょう。
そもそもモンドセレクションは世界で有名な賞ではない?
モンドセレクションはヨーロッパを中心に毎年6月に授与式を大々的に開催していますが、そこで受賞するメーカーの多くが日本企業や製造業者だと知っていましたか?
大雑把な話をすれば、インターナショナル・ハイクオリティ・トロフィーなどの連続金賞を受賞しているメーカーの80%が日本企業となっているとのことです。
またヨーロッパやアメリカといった欧米系企業の参加者がとても少ないという事実もあります。エントリーをするのは殆どアジア系企業や製造業者ばかりで、世界的ネームバリューがないとさえ言われているのです。
アジア企業ばかりが独占
具体的な例を挙げますと、2016年度のエントリーで受賞した製品は全部で2618点でした。そのうちの2117点がアジア系企業の出展だったのです。そして最高金賞を与えられた参加企業は、ほぼ日本企業の独占状態だというのですから驚きでしょう。
確かに日本の製品はクオリティの面や安全性の面やコスパの良さを考えれば、堂々の世界レベルなのは間違いがありません。
そうかと言って、大量生産によって作られている商品のすべてが世界トップの品質を保っているのかと言えば、それも全くあり得ない話でしょう。こういった噂がまことしやかに囁かれているのが現状です。
多くの商品が金賞を取っている
モンドセレクションにエントリーをして、それで受賞をしている商品はどれくらいあるのでしょうかアワードの世界では賞の権威を決める重要な部分です。つまり格付けの厳しさを明確にすることによって、受賞対象の価値が確定されるからです。
モンドセレクションのホームページをみますと、2017年度のエントリー数は2965点となっていました。しかもその参加者の内で2691点が受賞をしていると明記されています。つまり参加者の9割が、何らかの賞を与えられて終わったということです。
審査方法に原因がある
実はモンドセレクションの審査方法が絶対評価のため、基準をクリアしていれば全て受賞しても構わないシステムになっています。
審査ポイントは商品紹介内容と商品の品質の一致ですから、それが便利だとか効果があると、美味しいとかいったランク付けの評価はなされていません。
それにしても受賞数が多すぎて、アワードの価値が失われるのでは、と思う方もいるでしょう。しかし、その点は心配ありません。なぜなら、安心・安全を強く求める消費者にとって、品質保証は商品選択の重要な要素になっているからです。
モンドセレクションはお金で買える?
実際に食べた方の口コミをチェックしてみますと、往々にして『あまり美味しくない』とか『他のメーカーのと同レベル』などの厳しい評価が多々見られます。では、なぜそのレベルの製品や食品に最高金賞を与えているのでしょうか?
表だっては『審査基準は商品表示のない用途の整合性であり、加工技術の高さや商品の安全性などを総括して査定している』とのこと。
エントリー製品の90%前後が受賞をしていることを思えば、参加費を払えば表彰されるというのが正解かもしれません。
ちなみに参加費用は1製品につき約16万円となっていて、2017年度の参加者がほぼ3000品だったので、その年は5億円近いお金が入ってきた計算になります。
また日本ではモンドセレクション受賞で売り上げがアップする傾向があるため、宣伝効果を考えれば参加費はむしろ安すぎるとさえ言えるでしょう。これがお金で買えると噂されている理由です。
日本製品がほとんどってホント?
先ほど3年連続受賞企業(インターナショナル・ハイクオリティ・トロフィー受賞企業)の8割以上が日本企業や日本製造業者だと言いましたが、モンドセレクション受賞によって販売数アップが顕著な国はやはり日本です。
2017年度の表彰を元に地域別の受賞製品数をチェックしてみますと、アジアが2117メダルと圧倒的にトップで、2位にヨーロッパの267メダル、それ以降はアメリカの70メダル、アフリカの69メダルとなっています。
アジアの内で、その半分以上が日本企業の受賞だと言いますから、世界的にも突出していることがわかるでしょう。モンドセレクションは日本企業のためにあると言える状態かもしれません。
モンドセレクションを受賞した商品は購入してはいけない?
食品や化粧品、健康系の商品では、モンドセレクションの受賞を宣伝広告に利用する傾向があります。一般消費者がこの受賞を見つけた時に購入を決めるといった状況も見られます。この点について、ある雑誌のアンケート結果が良く説明しています。
このアンケートでは、『商品購入の決め手として、何らかのアワードで受賞しているものを意識的に選ぶという人が34%近くいる』とありました。これはキャッチコピーの影響や基本的な品質の良さを基準に選ぶという意見よりも多いのです。
自分で価値を判断しよう
日本人の価値判断としては、何らかの権威が評価したものを求める傾向になります。よく宮内庁御用達のメーカーが売れるとか、流行ブランドが売れやすいということと同じです。
確かに、良いものが人気になる事はよくあります。ですが、モンドセレクションのようにエントリーすれば90%受賞するようなアワードに、いったいどれ程の信ぴょう性があるのでしょうか?
はっきりと言えば、販売アップを期待してエントリーしている商品をわざわざ選んで購入する必要はないでしょう。モノの良し悪しは、自分の価値判断で決めるのがベストです。
誰でも金賞を受賞できるわけではない
さて、モンドセレクションの受賞が販売数アップの効果を持つのは、一般的に金賞か最高金賞の場合だと言います。つまり銀賞や銅賞ではインパクトに欠けるということです。
ではエントリーさえすれば90%以上の確率で受賞されるモンドセレクションでは、誰でも金賞以上が貰えるようになっているのでしょうか?この点を説明しているデータがあります。実はモンドセレクション申請代行者という会社がいくつかあります。
ご存知の通り、外国のアワードへの申請は言葉の事もあって、資料提供一つをとっても困難です。それを一手に引き受けてくれる会社があり、しかもモンドセレクション公認の代行業者が営業しています。
モンドセレクションの口コミや評判(SNS)
神戸土産。モンドセレクション受賞してるなら間違いないかなとw
クレパスは完全に缶目当てで買った。 pic.twitter.com/8wUbFOBmFx— 葉月リナ (@rinahazuki) 2018年11月5日
モンドセレクションの金賞は、お金を出せば誰でも貰える。 しかも日本以外の # #雑学 #トリビア #へぇ~→RT
— 究極の雑学BOT (@kyukyoku_tisiki) 2018年11月5日
モンドセレクションという表記につい手が伸びてしまいました。
スポドリにもあるのね。
BCAAと一緒に飲むから違いがわからない(๑˃̵ᴗ˂̵)。 pic.twitter.com/iaiSso2rnh— エイドST (@sub4milk) 2018年10月25日
受賞が全てではない!商品の原材料や成分を判断して買う
世界中には数えきれないほどの商品が溢れていて、しかも次から次へと新商品が登場してきます。そんな中で自分の必要なモノや欲しいものを選ぶのは実に大変です。
まず、情報が圧倒的に不足していることがあるでしょう。知らない商品を購入するのは怖いものです。例え人気がある商品でも、実際に買った事のないモノは疑心暗鬼になるものです。そういった不安感を弱めてくれるのが、商品の格付けやランキングといった評価でしょう。
モンドセレクションの始まりは、メーカーの嘘や不正から消費者を守るのが目的でした。少なくとも知名度が低かった時代は、真面目に安全・安心な製品を評価してきました。
権威のある評価が与える格付けばかりが良い選択をもたらすとは限りません。商品を売るためにわざとミスリードをするマスコミや専門家は多いのです。
そこでモンドセレクションが行ってきた審査をご自分がしてみる良いのです。ポイントは商品の素材の品質や加工技術の確からしさのチェックです。
健康食品やサプリメントならば成分表示と公式サイトを見て、分からない事はネットで調べながら、判断基準の目利きを養っていくようにおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?モンドセレクションという権威のあるアワードの持つ影響力は、時に私たちの選択をミスリードさせるように動きます。
確かに良い商品が正当な理由で受賞していることもありますから、一概に受賞を疑ってかかる必要はないかもしれません。ですが、今のモンドセレクションは手当たり次第に金賞をばら撒いている感があり、信ぴょう性には欠けるのです。
特に健康食品のサプリメントは、効果もさることながら、健康への影響が最も重要視されなければならないはずです。
添加物の多い食品が増えてきている
最近の食品は人工添加物まみれのモノが多く、安易に選ぶと健康的なリスクを被るかもしれません。もちろん、病気の原因をある食品に特定する事はできません。何故なら、いろいろな加工食品に少しずつ毒が紛れ込んでいる状態だからです。
こういった情報を提供してくれるアワードであれば利用価値はありますが、そうではないならむしろ疑ってかかるくらいが良いでしょう。そして失敗しながらでも自分の目利きを養っていくのが健康な生活への第一歩になるはずです。