近年、子供の身長の伸びが思わしくないことから、子供向けの身長サプリメント市場がにぎわっています。子供向けの身長サプリメントとは、身長を伸ばす為に必要な栄養素などが入っていて、子供に飲ませる事で身長が伸びるとされているアイテムです。
こうした身長サプリメントはたくさんの商品が出回っているので、消費者はどの身長サプリメントが本当に効果的なのかを見極める必要があります。
そこでよく参考にされるのは評判や口コミですが、この評判や口コミがステマだらけともいわれています。
口コミというのは本来その商品を利用した方の生の声を反映させるものですが、それがステマだと本来の口コミの意味を成していません。
ステマ(ステルスマーケティング)ってなに?
子供向けの身長サプリメント業界の口コミや評判において最近問題視されているのが、ステマ(ステルスマーケティング)です。このステマ(ステルスマーケティング)とは何かというと、偽物の口コミやレビューを投稿する手法などの事を言います。
これがどういう意味を持つかというと、本当ならば商品を実際に購入した方の良い口コミや、悪い口コミなどリアルな声を反映できるので、その商品の本当の評判を知る事ができます。
いわゆるステルスマーケティングとは,「消費者に宣伝と気づかれないようにされる宣伝行為」を指す。グルメの口コミサイトで,飲食店から依頼を受けた業者が顧客になりすまして当該飲食店を推奨する書き込みをした事件や,ペニーオークションの運営者が,芸能人に報酬を支払って,実際には落札していないのに落札できたかのようなコメントをさせた事件が有名である。
ステルスマーケティングによって偽物の口コミやレビューが投稿されてしまうと、あたかもその商品が良いものだと思わせられてしまい、その偽物の口コミを参考にして商品を購入する消費者が生まれてしまうのです。
このようなステルスマーケティングは一見本物の口コミやレビューのように見えてしまうことから、なかなか見破ることができませんので、ついつい騙されてしまう消費者も少なくありません。
インターネット上の口コミやレビューは、手軽にその商品の使い勝手や効果、使用感などに関する情報を得る事ができるとても便利なツールです。しかし、それがステルスマーケティングによって全く意味のないものに変わってしまうのです。
ステマが問題視されている理由
子供の身長サプリに関するステマが世間で問題視されているのには理由があります。企業がステマを行ってしまうと、その商品に関する本当の情報が埋もれてしまうのです。
企業はステマを利用してでも自社の商品をたくさん売りたいと考え、売り上げさえ伸びればよいかもしれません。
しかし、消費者によってはステマの口コミや評判は全く無意味な情報となり、参考にもならないのです。ですから、ステマは企業が行うべき行為ではなく、消費者を欺く行為といえます。
消費者を騙す行為
子供の身長サプリにおける口コミや評判を意図的に操作する行為、ステマが許されない理由としては、まず第一に消費者を騙す行為であるという点が挙げられます。
バレなければ良いと企業は考えてステマを行っているのかもしれませんが、これまでも多くのステマが発覚しています。ステマを行うとどういうことになるかというと、消費者は企業が発信した嘘の口コミ、評判を信用して商品を購入する事になります。
そもそも消費者がなぜ口コミや評判を調べるのかというと、実際にその商品を使ってみた人の率直な意見を聞きたいからです。消費者はその商品の良い口コミも悪い口コミも全部見たうえで、総合的に判断してその商品を購入するかどうか決めます。
場合によっては他の商品と口コミを見比べて判断したりします。このように、真剣に商品を検討している消費者に対して、企業がステマを行うということは、明確に消費者を裏切っている、騙している行為といえるでしょう。
業界全体の信用性に関わる
企業がステマを行って偽物の口コミや評判を拡散するということは、単に消費者を騙して裏切るだけにとどまりません。
たった一つの企業がステマを行っただけであったとしても、その他の同業他社が誠実にマーケティングを行っていたとしても、消費者からするとその業界全体がステマをやっているのではないか、という風に疑心暗鬼になるのです。
そうなってしまうと、ステマを行っている企業はもちろんですが、ステマを行っていない企業までも不信感を持たれてしまいます。
さらには企業だけではなくインターネットにおける商品の販売自体にも不信感が募り、消費者が離れていってしまうという可能性もあるのです。
実際過去には日本国内でも大規模なステマが行われていたことが発覚し、大きな問題となりました。
日本と海外のステマ規制の違い
企業が作り出した偽物の口コミや評判をマーケティングに利用して商品を販売するステルスマーケティングは、以前から問題視されていました。そして、現在はステマを規制する法律もできています。
また、ステマの問題は日本国内だけのものではなく、海外でも同様の問題を抱えており、ステマを規制する法律などが作られています。
日本のステマに関する規制や法律はどうなっているのかというと、現時点では法律で明確に禁止などはされていません。
ステルスマーケティングに該当する行為
子供の身長サプリをはじめ、最近ステルスマーケティングが問題となっています。では、ステルスマーケティングとは具体的にどういった行為が該当するのでしょうか。
ステルスマーケティングは消費者を騙す行為であり、企業の信頼を貶める行為です。さらには、ステルスマーケティングを行っていない企業やその業界全体にも影響します。
口コミや評判に細工をするステマの具体的な行為や事例についてみていきましょう。
未経験なのに経験したかのような体験談を書く
もっともよくあるステルスマーケティングの行為の一つが、嘘の体験談です。インターネットショッピングサイトなどでは、その商品を購入して使った方が口コミを投稿できます。そして、そうした口コミが広まって企業や商品の評判となります。
この体験談や口コミが本当に商品を購入した方や、体験をした方のものであれば問題ありません。しかし、ステマを行っている場合には実際には商品を購入していないにも関わらず、購入したかのように装って体験談を書くのです。
これが例えば子供用の身長サプリメントの場合だと、身長サプリメントを購入していない人が、購入したていで口コミや体験談を書きます。
業者からお金を貰っているのにそのことを公表せずに商品レビューを書く
ステルスマーケティングには、商品を購入してもいないし体験してもいないのに体験談を書きこむという方法があります。しかし、中には一応商品を購入したり体験した上で行うステルスマーケティングもあるのです。
それは、その商品やサービスを提供している企業からお金をもらって口コミや評判を投稿する方法です。
企業からお金をもらうとはどういうことかというと、企業側から謝礼のような形で金銭を受け取った消費者が、あえて良い内容の口コミを投稿するというステマの手法です。
これでは、例えば子供の身長サプリを購入していたとしても、実際の体験談とは異なり、消費者は参考にすることができません。
社員が身分を隠して自社商品の口コミを書く
ステルスマーケティングを行っている企業の中には、その商品やサービスを提供している企業の社員が身分を隠したまま、口コミや評判を投稿するという方法を用いている場合もあります。
その企業の社員が自社の商品を本当に購入して体験した上でその内容を投稿しているのであれば、もしかしたらステマではなく本当の口コミとなるのかもしれません。
しかし、消費者目線で見た場合には、その企業の社員がわざわざ自分の会社の商品を悪く書くことはないので参考になるとは言えないでしょう。
子供の身長サプリを購入するか迷っている消費者は、損得抜きでリアルに商品を利用してみた方の声を知りたいと思って口コミを見ているのです。
日本で起こった有名なステマ事例
これまでに日本国内では、いくつかの大規模なステルスマーケティングが行われていたことが発覚し、大きな問題になったりニュースとして取り上げられてきました。こうしたステマ行為は決して許されることではありません。
もちろんステルスマーケティングを行っていたことが明るみになった企業や業界はそれなりに影響を受けていますので絶対に行うべきではありません。
これは子供の身長サプリ業界にも言える事です。では国内で実際に起こった口コミや評判を偽るステマ事例を見てみましょう。
食べログ高評価事件
国内で飲食店のレビューや評価、口コミの投稿を行うことができる大手サイトの食べログでも、ステルスマーケティングが行われていました。食べログを運営しているのはカカクコムで、実際にステマを行っていたのはカカクコムではなく別の業者です。
どういった行為が行われていたかというと、食べログは本来、そのお店を利用した消費者がお店に対する評価をつけていき、それを他の消費者が参考にするというシステムでした。
しかし食べログの評判や口コミを代理で行うという業者が現れて、飲食店からお金を受け取って、その代わりに高評価を店舗へ与えていたというものです。
この食べログにおけるステルスマーケティングがなぜ発覚したかというと、同じようにステマで店舗の評価を上げないかという営業をされた別の店舗がカカクコムへ連絡をした為です。
ペニーオークション事件
日本国内で発覚したステルスマーケティング事件の中でも、かなりインパクトがあったのがペニーオークション事件です。当時は大変大きなニュースとなり、テレビや雑誌、ネットなどで取り上げられていたのでご存知の方も多いかもしれません。
まずペニーオークションはどういうものかというと、商品をオークション形式で落札するオークションサイトです。
では、そこでどのようなステルスマーケティングが行われたかというと、芸能人が自らのブログやSNSを利用して商品を紹介していたのです。
ペニーオークションサイトに誘導するブログといえば、芸能人が実際に参加していないペニーオークションサイトで商品を安価で落札したという記事を書き、報酬をもらっていたという問題が発生している。
芸能人が自分が使っている商品を紹介するということは特におかしなところはありません。しかし、これがペニーオークションだと違うのです。
ペニーオークションは商品を落札する事ができないようなシステムになっていて、そこで芸能人が落札したことを装って商品を紹介していました。
これによって多くの消費者がペニーオークションに騙されてしまい、この件については後日運営していた方が警察に逮捕されています。
子供の身長サプリに関する口コミや評判を操作するステマはもちろんよくありませんが、ペニーオークションの場合は購入できない商品を宣伝していたということで金銭的被害も大きく、多くの芸能人が批判される結果となりました。
ソニー ゲートキーパー事件
ソニーのゲートキーパー事件は、企業が組織的に大規模に行ったステルスマーケティングの一つです。しかし、他のステルスマーケティングとソニーが行ったゲートキーパー事件は少々質が違います。
国内で行われている多くのステルスマーケティングは、自社の商品やサービスに対してよい口コミや評判を付けて価値を高める事で、購入者を集めたり来店者を集めるといった行為を行っています。
しかし、ソニーのゲートキーパー事件の場合はその反対で、他社の製品に対してマイナスの口コミや評判をたてて自社の商品やサービスを良く見せるという手法でした。
このゲートキーパー事件は、インターネット上の掲示板において第三者が不信感を抱いて投稿者のIPを晒したところ、「gatekeeper」と「sony.co.jp」が含まれている多くのIPがあったことから名づけられました。
海外で起こった有名なステマ事例
ステルスマーケティングは日本国内にとどまらず、世界中で行われています。また、企業の裏切り行為ともいえるステルスマーケィングは、行った企業だけでなく業界全体の信頼も貶めることから、法律で取り締まっている国もあります。
日本国内では子供の身長サプリに関する偽の口コミや評判をたてるステマが話題となっていますが、ここからは海外で起きた有名なステマ事件についての事例を見ていきたいと思います。
【謝罪で済んだ事件】ウォルマート事件
ウォルマートは消費者の会社に対するイメージを良くしたいということから、エデルマンという広報会社へ依頼を行いました。そこでエデルマンが行ったのがステルスマーケティング行為に当たったのです。
具体的にエデルマンが行った内容は、あたかも一般消費者が作ったように見えるブログを作りました。そのブログの中で、ウォルマートに都合の良い口コミや評判に関する記事をアップし続けたのです。
これに対し、ある消費者団体がこのブログはエデルマンが行っているステマであり、本当の口コミではないということを公表したのです。
結果的にこのブログの作者2名のうち1名は実在しておらず、もう1名は新聞社のカメラマンだったということがわかりました。この事実が明るみになり批判を受けたエデルマンは公式に謝罪を行いました。
【謝罪で済まなかった事件】デビッド・マニング事件
デビッド・マニング事件とはどんな内容かというと、アメリカのソニーピクチャーズエンタテインメントが公開している映画の偽の評論を宣伝に利用したというものです。
通常、映画の評論というのは映画評論家の意見だったり、実際にその映画を見た方の口コミや評判が元となります。
しかしこのデビッド・マニング事件では、デビッド・マニングという名前の映画評論家がソニーピクチャーズエンタテインメントの映画ばかり評価しており、しかも、実際にはデビッド・マニングは存在していない人物だったということが発覚しています。
そしてこれが後日、ソニーピクチャーズエンタテインメントが行ったステマということが発覚したのです。これに対しソニーは社内の2名を停職にするなどの対応をしましたが、消費者からの損害賠償の訴えによって多額の賠償金を支払うことになりました。
ステマの規制の進展!景品表示法や軽犯罪法に抵触する可能性も…
日本国内でも海外でも問題視されており、その企業だけではなく同業他社や業界全体の信頼も揺るがしかねないステルスマーケティングについては、近年規制が厳しくなりつつあります。
今のところ日本国内では、偽の口コミを投稿したり評判を偽ったりするステマ行為自体を明確に取り締まる法律はありません。しかしながら、すでに存在している法律によって裁かれるという可能性があるのです。
該当する法律としては軽犯罪法や景品表示法があります。
例えば偽の口コミなどを投稿した場合には軽犯罪法が、もし商品を高評価する記事などをねつ造して消費者の判断を誤らせるほどの事態になった場合には、景品表示法違反に該当する可能性があるのです。
ステマはなくならない…消費者が口コミの信憑性を見分けるしかない
日本は海外に比べて、ステルスマーケティングに関する法律の整備が遅れています。しかし、それでも年々ステルスマーケティングに対する監視の目は厳しくなってきており、場合によっては法律で裁かれる場合もあります。
しかし、そういった状況になってきているにもかかわらず、子供の身長サプリメントなどで偽の口コミや評判を作り上げるステマが行われているのはなぜなのでしょうか。それは、やはりそれだけステマが企業にもたらす影響が大きいからです。
商品やサービスに関する口コミが本物なのか、それともステマなのか、消費者がその信憑性を見分けて判断するほかないのです。そうしなければ、いつまでも消費者は企業に騙されて商品を購入する事になってしまいます。
まとめ
ステルスマーケティングは、実際には購入したり体験していないサービスに対して、偽の口コミや評価をつける行為です。
近年子供の身長サプリ業界でもステマが話題となっていますが、ステマは行っている企業に対する信用性だけではなく、その業界全体に対する消費者の信頼を裏切ることになりますので決して行うべきではありません。
ステマは企業が自社の商品やサービスを宣伝する目的で行われることが多く、企業にとって都合の良い口コミを投稿してもらう代わりに金銭の受け渡しを行ったり、場合によっては自社の社員がその身分を隠してレビューを作成するといった事もあります。
企業がステマを行ってる事が発覚すると、企業の信頼を落ちてしまいますし、場合によっては損害賠償金を支払わなくてはならない事もあります。
しかし、そうしたリスクがあっても企業はステマによって多くの恩恵を受ける事ができるので、なかなかステマはなくなりません。
ですから消費者は口コミや評判が本物かどうかを自分で見分けていき、自己防衛していかなければならないのです。