身長を伸ばすためには成長ホルモンの分泌が大切です。成長ホルモンを分泌させるためには運動や睡眠、特定の栄養素の摂取などさまざまな方法があります。
今回はその特定の栄養素の中でもっとも有名な『アルギニン』について解説していきます。アルギニンは「量が少ないから摂取しても身長は伸びない」「成長ホルモンを分泌させるから身長は伸びる」とさまざまな意見が飛び交っています。
正直、これでは良いのか悪いのかわかりませんよね。そこで、まずはアルギニンとは何なのか知ってもらい、その後本当に身長は伸びるのか専門家の意見などを参考にして解説していきます。

※JNFは日本ニュートリション協会のことです。
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アルギニンとは?
アルギニンとは自然にも存在するアミノ酸の一種です。食事からの摂取だけではなく、体内からもアルギニンを生成することができます。そのため、食事から摂る必要がある「必須アミノ酸」ではありません。
アルギニンは分解される速度が速いため、必要としている量を生成できない子供もいます。とくに子供は分泌できる量が少ないため、子供に関しては必須アミノ酸です。
アルギニンは豚のゼラチンや大豆、スイカ、鶏卵に多く含まれています。このなかで大豆はとくにおすすめです。
大豆はアルギニン以外にも、身長を伸ばすためには欠かせない「たんぱく質」が豊富に含まれています。
また、カロリーも控えめになっているので肥満になる心配もありません。大豆は栄養価豊富で安全性が高いのでぜひ食べさせてあげてください。
アルギニンの働き
アルギニンの主な働きは以下になります。
- 成長ホルモンの分泌
- 免疫力を高める
- 脂肪代謝の促進
- 血流の改善
アルギニンは「成長ホルモンを分泌させる」という働きが有名ですが、上記のようにそれ以外にもたくさんの働きをもっています。
免疫力
Arginine supplementation enhances peritoneal macrophage phagocytic activity in rats with gut-derived sepsis.によると、ラットにアルギニンを投与する実験で免疫力が高まることが報告されています。
アルギニンによってマクロファージという白血球の一種を活発化させ、細菌やウイルス、死んだ細胞などを処理することができるのです。
処理を行うことによって免疫力が活発化し、風邪などの病気から身を守ることができます。実際に病院でも手術が終わった後に回復と、感染症の発症を防ぐためにアルギニンを主成分とした輸液が使われたりもします。
脂肪代謝の促進
アルギニンによって分泌された成長ホルモンは脂肪の代謝を促進させる効果があります。代謝が促進させられることによって筋肉を強くする効果にも期待ができます。
お子さんが肥満の場合は身長の伸びが早く止まってしまいますし、将来的にも健康によくないので成長ホルモンを分泌させてダイエットするようにしましょう。
血流の改善
アルギニンは内皮細胞と呼ばれる、血管や心臓などの内皮を構成する細胞では一酸化窒素、シトルリンに変化します。一酸化窒素は血管を広げる効果があり、血流を改善します。
血流が良くなることで動脈硬化や心筋梗塞といった、血流の悪さから起こる病気を予防することにも繋がるので小さいときから摂っておくと安心です。
アルギニンに副作用はある?
アルギニンは分解されるのが早いため子供は体内で生成する速度が間に合わず、不足しがちです。そのため、摂取する必要があるのですがアルギニンを摂取して副作用があるのか心配ですよね。
アルギニンは食事から摂取する場合、基本的に安全だと考えられています。危険な副作用があったとは報告されていません。
一部の人はアルギニンを摂取してはいけません
アルギニンを摂取するとアレルギー症状が出るときがあります。気道の炎症や喘息もちの子供なら、さらに悪化するかもしれません。
治療などで注射から摂取した場合は顔や手が赤くなったり、腫れたりすることがあります。また、汗が異常に出たり、目が充血するなどの症状がでます。
アレルギーを発症する以外にも2人目以降の妊娠中の方、もしくは授乳中の方は注意してください。子供と一緒に飲み始めるのはとてもいいことですが、妊娠中、授乳中にアルギニンを摂取しても安全だというデータは出ていません。
アルギニンを摂っても身長は伸びない?
アルギニンは「摂っても身長は伸びない」という意見や「摂ると身長は伸びる」と意見が真っ二つに分かれています。
アルギニンは成長するには欠かすことのできない成長ホルモンを分泌させるのに、なぜ否定派の意見があるのかというと日本小児内分泌学会が否定しているからです。
日本小児内分泌学会は以下のようにコメントしています。
現在サプリメントとして販売されているアルギニン製剤は、多くの場合に200mg~2gの錠剤で、内服薬です。その全部が吸収されて血中に移行したとしても分泌刺激試験の10分の1ぐらいの量となり、全部がそのまま吸収されないことや代謝などを考えると、血中のアルギニン濃度はわずかな上昇に留まるのではないかと考えられます。従って、サプリメントの服用で成長ホルモンの分泌が促進するとは考えられません
「治療で使うアルギニンは量が多めになっているため効果に期待できるが、サプリメントに含まれる量は少量のため効果があるとは考えられない」とコメントをしています。
本当に効果はなかったのか、調べてみるとコペンハーゲンの大学が「7歳から13歳の子供を対象としたアルギニンによる成長速度の影響」を研究していました。
Dietary arginine and linear growth: the Copenhagen School Child Intervention Study.によると結果は「アルギニンは成長速度と大きく関連している」と報告しています。
Oral arginine improves linear growth of long bones and the neuroendocrine mechanism.という別の実験ではラットに経口投与でアルギニンを摂取させると「脛骨と大腿骨の成長幅が増加」したとも報告されています。
日本では、サプリメントによるアルギニンの摂取の効果を認めていませんが、海外の研究では良い効果がでています。
海外の研究結果もあるので「一切効果はない」とは言えませんが、日本小児内分泌学会の意見もあるので、アルギニンに対して効果は過度に期待はしないほうがいいでしょう。
まとめ
アルギニンは成長ホルモンを分泌させる効果がありますが、日本の研究では食事での摂取は効果がないとされています。
海外の研究では効果がでていますが、都合よく日本の意見を無視することはできません。そのため、アルギニンに関しては含まれていても、含まれていなくても気にしないでいいでしょう。
健康的な生活習慣を送れば、アルギニンを意識しなくても成長していくはずです。
アルギニンを摂取するのもいいと思いますが、まずは生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。その上でアルギニンを摂取するかどうか考えましょう。