ビタミンでもっとも知られているのは「ビタミンC」ではないでしょうか。ビタミンCと聞くと肌によいというイメージがおそらく多いと思います。
実は、そんなビタミンCは成長にも必要な栄養素だということを知っていましたか。有名な栄養素ではありますが、働きなどを知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで、今回はビタミンCとは何か、どのような働きをするのか、必要摂取量はどれぐらいなのか解説していきます。
ビタミンCとは?
ビタミンCとはアスコルビン酸とも呼ばれる、水溶性ビタミンの1種です。ミカンやホウレンソウなどの自然の食品に含まれるほか、食品に添加されたり、サプリからの摂取など、色々な食品から摂取することができます。
ほとんどの動物は体内でビタミンCを生成することができるのですが、私たちヒトは体内で生成するために必要な酵素を持っていないため、食事からビタミンCを摂取しなければいけません。
食事から摂取しなければいけない必須栄養素のビタミンCですが、熱や水に弱い性質をもっているので調理の段階で多くのビタミンCが失ってしまいます。
そのため、調理をするときはできるかぎり加熱を加えないようにしたり、水洗いの長さを短くするなどの工夫が必要です。
また、ビタミンCはタバコの煙でも多く失ってしまいます。タバコの煙を吸うことによって、体内でビタミンCがたくさん失っていきます。
ビタミンCの働き
ビタミンCは簡単に失ってしまいますが、身体を健康に保つために大切な働きをしてくれる栄養素です。
ビタミンCの働きは以下の4つになります。
- コラーゲンを生成する
- 抗酸化作用
- 免疫力の向上
- 鉄の吸収を高める
1.コラーゲンを生成する
コラーゲンとは一つ一つの細胞を繋げて、体の骨組み作りや組織や器官を正しい位置に留める成分です。コラーゲンは重要な成分で、人体を構成するたんぱく質のうち30%を占めています。
ビタミンCは皮膚や細胞など身体を構成するのに欠かすことのできないコラーゲンを生成してくれます。コラーゲンは身体を構成する以外にも身体の組織を丈夫にしたり、若干の弾力性を与える役割があるのです。
コラーゲンと聞くと美肌になるイメージがありますよね。まさにその通りでコラーゲンが生成されることによって肌に弾力性が生まれ、ハリが出てきます。
また、コラーゲンは骨や軟骨、靭帯を構成するためには欠かすことができません。不足してしまうと骨や軟骨から弾力性がなくなってしまい、骨折をしやすくなってしまいます。
2.抗酸化作用
ストレスや激しい運動、紫外線などを受けると身体の中に「活性酵素」が発生します。活性酵素は侵入してきた細菌を攻撃する免役機能のような働きをしてくれる大切な成分です。
しかし、活性酵素が過剰に発生すると身体を酸化させていきます。酸化していくと身体は老化し、シミやシワの原因になったりします。リンゴが茶色くなってくるのも酸化です。
さらに、活性酵素が過剰になると動脈硬化や糖尿病など生活習慣病を発症させる可能性もあります。ビタミンCには抗酸化作用があるので、ビタミンEと協力をして活性酵素による酸化を防いでくれます。
現在このビタミンCの抗酸化作用に注目した研究が行われており、特定のがんや心臓や血管の病気に対して、発症を予防したり進行を遅らせることはできるのではないかと考えられているすごい栄養素なんです。
3.免疫力の向上
ビタミンCを摂取することによって免疫力を向上させることができます。働きの一つである抗酸化作用と似ているのですが、活性酵素は増えすぎると反対に病気を引き起こす原因となってしまうので注意が必要です。
活性酵素が除去されることによって、バランスが保たれ病気になりにくく免疫力が向上します。免疫力が向上することによって風邪やインフルエンザなどの細菌やウイルスから守ってくれるのです。
4.鉄の吸収を高める
ビタミンCは鉄の吸収を高める働きがあります。ただ、鉄といってもどの食品でもいいわけではなく、植物性食品に含まれている鉄の吸収を高めます。
鉄は細胞の活性化や酸素を全身に運ぶなどの重要な役割をもった栄養素です。不足すると貧血や元気がなくなる、集中力の低下などを引き起こすので摂るようにしましょう。
身長を伸ばすためにビタミンCは必要?
ビタミンCの働きの一つに「コラーゲンを生成する」があります。コラーゲンは成長するにあたって大切な役割を持っているので、ビタミンCは必要です。
子供の必要摂取量はどれぐらい?
ビタミンCの働きを見てもらって、どれだけ大切かどうかわかってもらえたと思います。
ただ、大切さを知ってもらうだけでは意味はありません。しっかりと必要摂取量を摂ってこそ意味があるのです。
厚生労働省が推奨しているビタミンCの必要摂取量は以下になります。(参考元:日本人の食事摂取基準「2015年版」)
年齢 | 必要摂取量 |
---|---|
6歳~7歳 | 55mg |
8歳~9歳 | 60mg |
10歳~11歳 | 75mg |
12歳~14歳 | 95mg |
15歳以降 | 100mg |
この必要量は男女ともに共通です。お子さんの年齢に合った必要量を覚えておいてください。次に現在摂取できている量について解説します。
子供のビタミンCの摂取状況
お子さんが現在ビタミンCをどれぐらい摂取できているか把握できていますか。恐らくほとんどの人は把握できていないはずです。
把握することは管理栄養士さんだって難しいことでしょう。そこで、厚生労働省が発表している「平成28年国民健康・栄養調査の結果」を参考に平均摂取量を確認していきます。
年齢 | 平均摂取量 |
---|---|
1歳~6歳 | 52mg |
7歳~14歳 | 67mg |
15歳~19歳 | 70mg |
年齢の分け方が必要量と違うのでわかりにくいのですが、15歳以降は必要量が100mgに対して平均摂取量は70mgと足りていないことが分かります。
突然15歳から不足することは考えにくいので他の年齢も恐らく足りていないでしょう。
また、7歳の必要摂取量は55mg、14歳の必要摂取量は95mgなので、あいだの必要摂取量は75mgだと考えると、7歳~14歳は平均摂取量は67mgなので足りていないと考えられます。
ただ、これはあくまで平均摂取量です。全員が足りていないわけではありません。足りていない量から考えると普段の食事で、栄養バランスを考えて作ってあげている方は問題ないでしょう。
反対に栄養バランスを考えていない方は少し注意したほうがいいかもしれません。
ビタミンCを不足するとどうなる?
平均摂取量から判断するとビタミンCをかなり不足しているわけではないので、症状が出ることはほとんどないでしょう、
ただ、さらに不足すると「壊血病」と呼ばれる出血性の障害が発生するかもしれません。壊血病の症状は以下になります。
- 骨や軟骨の境界部分で出血または出血による腫れ
- 骨組織の形成不全
- 骨折または骨の変形
- 出血や壊死(えし)
- 歯の発生に障害
- イライラしやすくなる
- 疲れが溜まりやすくなる
ビタミンCを不足することでコラーゲンが生成される量が減ってしまい、骨や軟骨、歯などに悪影響を及ぼしてしまいます。
また、ストレスなどで発生する活性酵素も除去できなくなるので、イライラや疲れが溜まりやすくなるなどの症状が出てきます。
かなり不足しないとこれらの症状は現れませんが、現状平均摂取量が必要量を満たせていないので、注意は払っておいたほうがいいでしょう。
過剰摂取するとどうなる?
不足しないためにもたくさん摂らなければなりませんが、過剰摂取にも気をつけなければいけません。
ただ、ビタミンCは水溶性ビタミンのためたくさん摂取したとしても、吸収する量を体内で調節してほとんどは尿と一緒に排泄されます。そのため、過剰摂取になる心配はありません。
食事では過剰摂取にならないが、サプリをたくさん食べると過剰摂取になる栄養素はたくさんあります。しかし、ビタミンCは例外で食事から摂取してもサプリから摂取しても吸収率はそこまで変わらないのです。
通常の食品を摂取している人で過剰摂取になったという報告はいまだ出ていません。食事から摂取する分には心配なく、摂っていいと思います。
まれにですがサプリでビタミンCを過剰摂取して症状が出ることがあります。症状は吐き気や下痢、腹痛といった胃腸への影響だけで、重大な病気を引き起こすわけではありませんので安心してください。
ビタミンCをサプリで摂る必要はある?
基本的には食事でも十分に必要量を満たすことができるので、ビタミンCの不足を補うためにサプリは飲まなくてもいいと思います。
ただ、好き嫌いが激しくて栄養バランスが偏っているお子さんは、ビタミンCを十分に摂取できていない可能性があるのでサプリを飲むことを考えたほうがいいでしょう。
とくに成長期の子供は栄養素によっては大人よりも必要になってくるので、今はビタミンCが足りていないだけで問題はありませんが、後々に大きく影響を及ぼすかもしれません。
普段の食事で栄養バランスを考えている家庭はサプリを飲まなくてもいいと思います。ただ、お子さんの好き嫌いや忙しくて惣菜や冷凍食品など出しているご家庭は栄養バランスを考えて、サプリを飲ませたほうがいいかもしれません。
まとめ
以上、ビタミンCについて解説をしました。ビタミンCは子供の成長には欠かすことができない栄養素です。
残念ながら平均摂取量を見てみると必要摂取量は満たせていませんが、少し食事を改善すれば摂取できる量ではありました。
好き嫌いが激しいお子さんや、忙しさなどから栄養バランスを考えることができない場合はサプリを飲むことを考えてみてもいいと思いますよ。
(参考元:総合医療情報発信サイト「ビタミンC」)