葉酸という栄養をきいたことがあるお母さん方がほとんどではないかと思いますが、葉酸はビタミンB群の仲間で、私たちの身近な食品料理などに含まれています。
しかしながら、実際にはどんなものに含まれているのか、どんな料理を作ったら葉酸がしっかりと摂れるようになるのかまで知っている方も少ないのも事実。できる限り、子供には万遍なくいろいろなものを食べて栄養を補っていきたいところです。
補えないような時は「サプリメント」という方法もありますが、子供のうちはサプリメントではなく食品から補っていくことを基本に考え、料理に活用するなどしていくことが大切です。
どのような食品に葉酸は多く含まれるのか?
葉酸と聞くと、妊娠しているお母さんが積極的に取り入れたい栄養として知られています。
妊娠前から妊娠初期にかけて摂取する葉酸の重要性は、厚生労働省などの行政機関が具体的に明記しています。
実は子供の成長にも葉酸はとても重要な役割を担っていることを知っている方は少ないのではないでしょうか。
葉酸をたくさん含んでいる食品の中で最も多いのがレバー、枝豆やモロヘイヤ、ホウレンソウにブロッコリーなどです。緑黄色野菜に多く含まれていることがわかります。
また、果物の中ではいちごに最も多く含まれています。季節がらいちごは冬場から春先が旬ですが、一年を通してスーパーなどでも置いているところもあります。
ただ、特に葉酸が多い食品の中でレバーは子供が苦手とする食品の一つとなっていて、好んで食べることが少ない傾向にあるため、ホウレンソウやブロッコリーなど緑黄色野菜を上手に料理に活用するといいでしょう。
成長期の鉄欠乏性貧血の対策に葉酸が効果的
鉄欠乏症貧血というのは、鉄が不足することでヘモグロビンの生成がうまくいかなくなってしまう貧血のタイプです。
原因は様々で、偏食などが原因になって栄養が不足していることや、妊娠や授乳気に母乳や胎児に必要となる鉄分が増え不足してしまう、月経などの出血などによって起こる貧血があります。
鉄分を多く含んでいる食材を積極的に取り入れることはもちろんですが、葉酸やビタミンB12というのは赤血球を作るのに必要な栄養素であることから、子供にも「葉酸」を摂ることが推奨されています。
葉酸はビタミンB群の仲間でビタミンCも含め造血効果があります。レバーは鉄分も葉酸も両方を豊富に含んでいる食品であることから、料理の中にぜひ積極的に取り入れて頂きたい食材です。
クセがあって食べにくい、食感や味が苦手という子供も実際には多い食品ですので、レバーを使っても食べやすい料理などを工夫して作ってあげるといいでしょう。
子どもの学習能力の向上
子供が健やかに成長するには、様々な栄養をしっかりと補っていくことが基本ではありますが、近年の子供は葉酸が不足しています。
葉酸というのは、タンパク質や核酸を合成する役割を担っている酵素が、しっかりとその仕事ができるように働きかけてくれる物質です。
DNAやRNAといったものの総称であるのが核酸で、この核酸の一つであるDNAの合成がきちんと行われていることで、新陳代謝や子供の成長が促されます。実際に海外の調査で結果がでているようです。
米国やスウェーデンの調査では、こどもが葉酸をたくさん取るほど、読み取りの学習効果が向上することがわかりました。また、インドの調査では葉酸が不足すると脳のはたらき(認知能力)に成長発達遅滞が生じる可能性が示され、発達脳と葉酸の関係性が少しずつ明らかになっています。
子供のうちから口内炎ができたり、口の中のヘルペスなどができる頻度が高くなっていたりする時は、葉酸が不足しているともいわれています。
葉酸は粘膜を強くして健康を保つ役割もあるので、子供が普段できない口内炎ができたときなどは葉酸不足を疑った方がいいかもしれません。
野菜はしっかりと摂れているでしょうか。野菜にも多くの葉酸が含まれています。
骨の質を高めるから成長にも最適
子供がしっかりと成長していくには、骨を丈夫にしていくということも大切です。骨を丈夫に強くしていくための栄養としてカルシウムがあげられますが、実はカルシウムというのは摂取しても体の中に吸収されにくい栄養としても知られています。
カルシウムを多く含む食品の中に子供が普段から飲む機会が多い牛乳がありますが、中でも牛乳はカルシウムの吸収率が高い食品なので、学校の給食でも毎日出てきているのです。
その吸収されにくいカルシウムをさらに吸収させるために同時に取り入れたいのがビタミン類と一緒に摂るということです。
骨の質を高める葉酸、骨を丈夫にしてくれるカルシウム、どちらも子供の成長に欠かすことができない栄養素です。
バランスよく食事から補っていくことが原則ですから、料理の中で葉酸やカルシウムを多く含む食品を上手に使っていきましょう。
葉酸を多く含んだ食品一覧
葉酸というとどんな食品に含まれているのか答えられないという方も多いのではないでしょうか。
実は葉酸は身近な食品にたくさん含まれています。たとえばスーパーで一年を通して売られているホウレンソウ、ブロッコリー、アスパラガス、枝豆、サラダ菜など緑色をしている野菜に多く含まれています。
また、緑の野菜以外にも納豆や焼きのり、きな粉や甘栗にも含まれているのです。葉酸を多く含む食材でネット検索してみると、どんな食品に多く含まれているのかが一覧で表示されているので、見てみるといいでしょう。
意識をしていないと不足してしまう栄養素の一つとなっているので、意識をして取り入れるようにしましょう。
また、その食品ばかりではなく、バランスよくいろいろな食材を組み合わせて食べていくということが、子供の成長をさらに促すことにつながります。
アスパラガス
葉酸を多く含む食品の一つにアスパラガスがあります。アスパラガス3本あたり114μg(0.11㎎)の葉酸が含まれていますが、その他にもたくさんの栄養が含まれる野菜です。
ビタミンAやビタミンB1、B2、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維とビタミン類が豊富で、子供が不足しがちな鉄分やカルシウムも含まれている万能野菜とも言えるでしょう。
また、アスパラガスといえばアスパラギン酸が有名ですが、アンチエイジング効果があることでも知られています。体調を整えてくれる効果や疲れを取ってくれる疲労回復の効果もあるので、子供も大人も積極的に摂っていきたい食品です。
枝豆
緑色の野菜の中でも最も葉酸を多く含んでいるのが枝豆です。枝豆80gあたり141μg(0.14㎎)の葉酸が含まれています。
枝豆にはビタミンB1やメチオニンという成分も豊富に含まれていて、メチオニンという成分は肝機能の働きを助けてくれる役割があります。ですので、お酒を飲むときに枝豆をおつまみにして食べるといいと言われているのです。
また、シジミの数倍と言われるくらいオルニチンを豊富に含んでいます。このオルニチンは疲労回復にとても適している栄養です。
オクラ
オクラにも葉酸が含まれていてオクラ100gあたり葉酸は110μg含まれています。アスパラガスや枝豆に比べるとやや少なく感じますが、子供が食べやすい緑黄色野菜の一つですし、一年を通してスーパーでも手に取ることができるでしょう。
その他にも、βカロテンが豊富で免疫を活性させてくれる効果があり、視力の維持や粘膜、皮膚を健やかに守ってくれる効果もあります。呼吸器系統を守ってくれる働きがあるのもβカロテンの役割の一つです。
また、カリウムやカルシウムも豊富に含んでいて、大人であれば高血圧の予防に効果があります。カルシウムが豊富なので骨の生成にも一役買ってくれますから、子供も積極的に取り入れたい野菜の一つです。
ブロッコリー
食卓に登場する頻度も高いブロッコリーですが、ブロッコリー100g当たり葉酸は210μg含まれています。
DNAの合成などにかなり重要な役割を担っている葉酸、ブロッコリーは子供も好きな野菜でもありますのでぜひ積極的に取り入れましょう。また、ビタミンKやビタミンEもかなり豊富に含まれています。
さらに近年はカイワレ大根に似ているブロッコリースプラウトという野菜が出回りつつあり、これはブロッコリーの新芽のことです。
ほうれん草
緑色の野菜といえばホウレンソウといってもいいくらい、馴染みの多い野菜の一つで、ホウレンソウには100gあたり110μgの葉酸が含まれています。
食べやすい、またアレンジしやすい野菜でもあるので、料理のレパートリーの中に積極的に登場させてあげたいところでしょう。
また、ホウレンソウはとても多くのβカロテンを含んでいます。免疫を活性化させる効果、抗がん作用でも有名ですが、髪の毛の健康や視力の維持、さらには粘膜を丈夫にしてくれる効果もあります。
葉酸を多く含んだおすすめ料理一覧
栄養を摂取する基本は食事です。サプリメントや栄養補助食品を活用するという方法がいけないわけではありませんが、食事から栄養を摂るのが望ましいと厚生労働省もうたっています。
では、葉酸を含んだ食品を使った料理にはどんなものがあるのでしょうか。
緑色の濃い野菜には葉酸が豊富に含まれています。それらをどのように活用すれば子供も積極的に食べてくれるようになるのでしょうか。
せっかく栄養満点の料理を作っても、食べてくれなければ元も子もありません。いくつか栄養たっぷりの葉酸を含んだレシピをご紹介します。
大根葉のじゃこいためどんぶり
大根葉も実は葉酸を100g当たり140μg含んでいます。大根葉とカルシウムたっぷりのじゃこを使って、簡単で美味しいどんぶりを作ってみましょう。用意するものは大根葉100g、ちりめんじゃこ10g、いりごま2分の1(各一人前)です。
大根葉は洗って細かく刻んでおきます。フライパンにごま油をしいて、大根葉がしんなりするまで炒めましょう。しんなりしたところでじゃこを入れ、炒めます。
できたらご飯の上に乗せていりごまをかけて出来上がりです。温かくてもおいしいですが、冷めてもおいしいのでお弁当のご飯の上にかけるのもいいですね。
魚があまり得意ではない子供も多いですが、じゃこは小さく骨の心配もないですし、カルシウムも豊富に含まれているので、成長期のお子様におススメの食材の一つです。
ごま油が食欲をそそり、食欲があまりでない朝でもパクパク食べてくれます。
オクラ納豆
オクラ50gあたり55μgの葉酸が、ひきわり納豆1パックには5μgの葉酸が含まれています。用意するものはオクラ2.5本、ひきわり納豆1パック、すりごま小さじ4分の1、焼きのり12分の1枚(各一人前)です。
まずオクラのひげを取るために塩を振り、オクラを撫でます。その後茹で輪切りにしましょう。ひきわり納豆を使うと細かく刻む必要がないので手間がかかりませんが、普通の納豆でも構いません。
オクラと納豆、付属しているたれ、すりごまを混ぜ合わせて器に盛り、上にのりをパラパラと散ればできあがりです。
箸休め的なおかずですが、栄養満点でツルツル食べられるのでおススメです。納豆はスーパーなどで安価で売られていますし、オクラも一年を通してスーパーで販売されていて、どちらも手に取りやすい食材です。
ホタテ貝柱とレタス・アスパラガスのオイスターソース炒め
ホタテの貝柱80gに65μg、レタス80gに58μg、アスパラガス100gに190μgの葉酸が含まれているので、この料理は葉酸がしっかりと補えます。用意するものはホタテの貝柱(生)1.5個、レタス75g、アスパラガス50g(各一人前)です。
ホタテの貝柱は半分に切り、レタスも一口大、アスパラガスも3ミリ幅くらいで斜め切りにしておきます。フライパンに油を敷いて貝柱を入れ、表面に焦げ目を入れていったん取り出しましょう。
アスパラガスを入れて火が通るまで炒めたら、貝柱を戻します。そこにオイスターソースとお酒を少々、塩コショウを少々振って味を調えます。
オイスターソース自体すでにおいしい味がついているので、本格中華ながら簡単にできるのでおススメです。貝柱ではなくタラやイカを使ってもおいしくできます。
アスパラガスを使った料理
まずアスパラは砂地で栽培されているので、流水でしっかりと割れ目まで洗います。そして根元は硬いので、白い部分は切り落とします。
鍋でお湯をわかし塩を少々加え、沸騰したらアスパラガスを入れて2から3分ほど茹でましょう。また、電子レンジを使ってアスパラガスに火を通す方法もありますし、生のまま火が通りやすい大きさにしたのちに炒めるという調理方法もあります。
アスパラガスはクセがなくて子供も食べやすい野菜の一つとなっています。サラダに、ほかの野菜などと一緒に炒めたり、お肉を巻いて揚げたりすれば、同じアスパラガスでも食べ方が変わることで、飽きずにまたおいしく食べられるでしょう。
ちなみに、アスパラガスは白いものではなく、緑色の一般的にスーパーで販売されているものを使ってください。
枝豆を使った料理
なかなか生の枝豆が手に入ることが少ない傾向にはあるものの、枝豆の旬は夏です。この時期に生の枝豆がスーパーで売られることも多くなりますので、ぜひ利用してみましょう。
生の枝豆はよく洗い、塩をふって、塩で枝豆のさやの毛を取ります。沸騰させたお湯に枝豆を入れて3~5分ほど茹でてください。
好みの固さになるまで茹でますが、余熱で火が通りますので、気持ち早めにゆで終わるといいでしょう。ゆであがったものは色が変わってしまうので、素早く冷やしましょう。
また、枝豆はそのまま食べるのが一番おいしい食べ方なのですが、たくさんもらったときなどはずんだにしてもいいでしょう。
ゆであがった枝豆をつぶして砂糖や塩を加え、味を調えたものをご飯の上にかけたりお餅につけて食べます。子供も甘みがあるのでパクパクと食べてくれますよ。
栄養満点な料理・料理が苦手な方は子供用サプリの活用を
栄養はできるだけ食品から摂れるに越したことはありません。
手間と時間をかければいろいろな料理が作れますが、今は共働き、お母さんも働く時代です。となれば、時間もなくパパっと作れるものを作る毎日ではないでしょうか。そんな中でも、栄養のことを考えて作られている方もきっとたくさんいることでしょう。
また栄養を考えて作ったのに子供が食べてくれないなんてことも少なくはありません。せっかく作ったのに食べてくれないとなれば、作っているこちら側としてもなんとも言えない気持ちになりますよね。
栄養は食事から摂るというのは基本中の基本ですが、それが難しい時はサプリメントを活用するといいでしょう。サプリメントを活用するのは、いけないことではありません。栄養が確実に足りず、食事から補えない時は活用してもいいのです。
食事から摂れているのにプラスしてサプリメントを活用することはありませんが、補えていないのであれば補えるもの、代用できるものを活用していきましょう。
まとめ
子供の健やかな成長には様々な栄養が必要です。とくに葉酸は、子供が不足しがちな栄養素の一つとなっています。
葉酸を含む食品、またそれらを使った料理をいくつかご紹介してきましたが、葉酸を含んでいる食品は実は身近で手に取りやすいものが多いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
一年を通してスーパーに売られていたり手に取りやすい価格のものも多かったりしますので、上手に活用して時短レシピなどを覚えておくと、毎日時間がない中でもご飯づくりで活用することができます。
葉酸の摂取は子供だけでなく家族全員で
子供はもちろんのこと、大人ももちろん葉酸が不足している傾向にありますので、家族みんなで食べられる工夫をしていくといいでしょう。
調理方法も様々で茹でたり炒めるだけではなく、揚げたり焼くといった方法もあります。食材は同じでも、調理方法が変わると食感も変わって食べやすくなることも少なくありません。
もちろん、毎日しっかり作れるわけではありませんし、作ること、食べることがストレスにならないようサプリメントも上手に活用しながら、しっかりと栄養を補っていければ問題はないのです。