子供の身長は、その他には食事や睡眠も大事ですがスポーツによる影響も大きいものです。バスケットボールやバレーボールなどは子供の頃にやっていると身長が伸びるというものですが、反対に水泳は子供の時にやってもあまり身長が伸びないという話です。
自分の子供の成長を考える親御さんにとっては、できるだけ子供には成長してほしいので、それなら水泳よりもバスケットボールなど身長が伸びる競技をと考える方も多い事でしょう。
しかし、本当に水泳は身長に影響のない運動なのでしょうか。そこで、水泳と子供の身長への影響に関して、その関係性などを詳しく解説していきたいと思います。
水泳は身長を伸ばす最適なスポーツ
水泳と言えば、全身運動なのでダイエットやトレーニングに効果的なスポーツとして知られています。しかし、子供の身長の伸びにも良い影響を与えるかどうかは意外と知られていません。実際のところ水泳は子供の身長に影響があるのでしょうか。
結論からいうと、水泳は子供の身長の伸びに対して影響があると言えます。なぜ水泳が身長に影響するかというと、子供の身長は骨の間にある骨端線が関係してきます。
骨端線への刺激というのは、いろいろなスポーツをする事で直接骨端線に加わる刺激なので、走ったりジャンプしたりしてその刺激が骨端線に伝わる事で、身長が伸びやすくなります。
では水泳はどうなのかというと、泳ぐという行為は走ったりジャンプしたりするときのような衝撃はないように思えます。
しかし、水泳は全身を使った運動なので、きちんと骨端線へ刺激が加わります。また、水泳は他の運動に比べて体への負担が少ない運動なので、子供の成長には良いと言われているのです。
身長が伸びる泳ぎとは?事前の軽いストレッチもポイント
バスケットボールやバレーボールなどは一般的に身長が伸びやすいと言われているスポーツですが、水泳も全身に刺激が加わるので、子供の身長を伸ばすのには効果的なスポーツです。
ただ、水泳の中でも身長を伸ばしたい時により効果を期待できる泳ぎはどれになるのでしょうか。
これは、ひとつの泳ぎ方に限定するのではなく、いろいろな泳ぎを組み合わせて行う事です。なぜかというと、泳ぎ方によって刺激が加わる部分に違いがあるからです。
水泳は「食事(食欲)・睡眠・運動」の3つに効果的
子供の身長を伸ばす為にはいろいろあるスポーツの中でも特に水泳がおすすめです。ここまでご紹介してきましたように、水泳は全身運動となりますので体全体に刺激を与える事ができ、成長を促すことができるからです。
しかし、水泳による効果はそれだけではありません。まず水泳をすると全身運動で体力を消耗しますので、当然お腹がすきます。
次に睡眠です。身長はもちろんですが子供の体の成長には睡眠は欠かせません。これも、水泳をすると体が疲れて自然に睡眠をとることになりますので、水泳の効果の一部と言えるでしょう。
そして最後に運動としての効果です。水泳で体中に刺激を与えて身長を伸ばす効果を得られるのはもちろんですが、それ以外にも運動によって筋肉が発達します。すると、成長ホルモンが活発に分泌しますから、当然身長の伸びにも影響があるのです。
このように、水泳を行うという事は単に身長が伸びやすいという事だけではなく、食事や睡眠という面でも良い影響を与えますので、総合的におすすめのスポーツと言えます。
実は脳にも良い効果がある
水泳は、スポーツの中でも特に子供の身長を伸ばしたり成長を促すという効果以外にも、脳にも良い影響があるという事をご存じでしょうか。
子供に水泳をさせることで体の成長を促進させてくれるという事であれば、もちろん多くの親御さんが水泳を習わせたいと考えると思います。
ただ、本当に水泳をすることで子供の脳にまで良い影響がでるのかどうか、信ぴょう性のあるデータがないとにわかに信じがたいという意見もあるはずです。
でもそこは安心してください。子供の水泳と脳に関する影響については、いくつかのデータがありますのでそちらをご紹介します。
東大生の65%が小さい頃にスイミングに通っていたという事実
水泳が脳にどれだけ良い影響を与えたかという事を証明するデータの一つとして、東大に通っている学生の約6割以上の方が子供の頃に水泳教室などで水泳を習っていた経験があるというデータがあります。
海外でも同様に子供の頃水泳をしていた場合、そうではなかった子に比べて学校などへ通い始めていた時点でのものの考え方や、理解の仕方に差があるという事が発表されています。
さらに、学校での成績についても水泳をやっていなかった子供よりやっていた子供の方が良い傾向があるという結果が出ているのです。
水泳は一歩間違うと伸びない可能性も…
水泳は他のスポーツに比べて体の成長を促す影響が大きい事から、子供の身長を伸ばすのにも最適なスポーツであると言えます。しかしその一方で実は水泳は身長が伸びにくくなる可能性もあるのです。
もし、水泳をすることによって子供の身長が伸びなくなる可能性があると言われてしまうと、自分の子供には水泳以外のスポーツをさせなければと考える方も増える事でしょう。
しかし水泳には身長を伸ばす効果が期待できるという説もあり、結局どちらが正しいのかわかりません。
カロリー消費が激しいスポーツ
なぜ水泳をすることによって逆に子供の身長が伸びなくなる可能性があると言われているのかという理由については、水泳というスポーツの性質に関係しています。
同じだけの時間他のスポーツを行った場合と水泳をした場合で比較すると、水泳の方が基本的にはたくさんのカロリー消費をしますので、当然ですが水泳の方が体が疲れます。
適度な運動量であれば問題ありませんが、あまり過剰に水泳でエネルギーを使いすぎてしまうと、疲れ切って食事をとらずに寝てしまう場合があるのです。
また、食事はきちんととっているのだけれど、消費したカロリーに対して食べる量が追い付いていないということも起こるでしょう。
練習後に良質なタンパク質の摂取が必要
子供の身長や体の成長にとってもっとも重要な栄養素の一つがタンパク質です。他にも必要な栄養素はたくさんありますのでそれらもバランスよく摂取する必要がありますが、特にタンパク質は欠かせないものとなっています。
よく、身長を伸ばすにはカルシウムが必要だからという理由で子供に牛乳を飲ませるという習慣があります。
確かにカルシウムは骨によって重要な栄養素ですが、あくまでカルシウムは骨を丈夫にする為の栄養素です。身長を伸ばすにはカルシウムよりもタンパク質が必要となります。
それなのに疲れて食事をとれなかったり、必要な量の栄養を摂取できなかったりしてしまうと、体が身長を伸ばしたくても栄養不足によって身長を伸ばすことができません。水泳の後はしっかりとバランスの取れた食事をとる必要があるのです。
トップ選手たちは1日5~6回も食事をする
水泳は数あるスポーツの中でももっとも消費カロリーが多い種目の一つです。ですから、子供の身長の事を考えて水泳をさせる場合には、しっかりと栄養を摂取させる事にも気を配らなくてはなりません。
水泳によるエネルギー消費がどれくらい多いかという事は、水泳選手の食生活を見れば一目瞭然です。オリンピックなどに出るような一流の水泳選手は、一般的な成人と比べて約2倍ほどのカロリーを食事から摂取すると言われています。
これは食事の回数にすると5回から6回ほどで、一日あたり4000キロカロリーほどとるのです。これくらいの食事をとらないと、水泳選手は消費カロリーが上回ってしまってどんどん痩せてしまうということなのでしょう。
水泳のジュニア国際大会の代表メンバーの身長は?
水泳は全身への刺激を与える事ができるので、子供の身長を伸ばす為にはおすすめのスポーツの一つです。
しかし、一方で非常に消費するエネルギーが多い為、水泳によって消費したエネルギーをきちんと食事から摂取しないと栄養不足によって痩せてしまったり、身長が伸びない原因にもなってしまいます。
では、実際に激しい運動である水泳を日ごろ行っている方の身長は、どれくらいになっているのでしょうか。例えば、水泳のジュニア国際大会に出場している代表メンバーの身長はどうでしょう。
2017年度オーストラリア遠征
公益財団法人日本水泳連盟が公開している2017年度オーストラリア遠征の派遣選手団名簿には、男女の各種目の代表選手の身長や体重などのデータがあります。
これによるとまず男子で最も身長が高い選手は伊東隼汰選手で、身長は188cmもあります。反対に最も身長が低い選手は宮本一平選手と阪本祐也選手で二人は170cmです。男子で170cmもあれば決して身長は低い方ではありません。
次に女子ですが、最も身長が高い選手は浅羽栞選手で169cmです。反対に最も身長が低い選手は入澤愛選手で154cmになります。女性の平均身長は151cmほどとなっていますので、入澤選手の身長も女性の中では決して低い方ではないでしょう。
これはやはり子供の頃からスポーツ(水泳)をしていた事の影響とも考えられるのではないでしょうか。
ジュニアブロックシンガポール遠征
2018年に日本水泳連盟から公開されているジュニアブロックシンガポール遠征に参加した水泳選手の身長データを見てみます。これも子供の身長に影響のあるスポーツのデータとして参考になります。
まず男子ですが、一番身長が高い選手は17歳の小島健太郎選手で184cmです。一方一番身長が低い選手は15歳の大川登也選手で162cmでした。
次に女子ですが、一番身長が高い選手は15歳のキングアリシアロザリンド選手と16歳の今牧まりあ選手の168cmでした。逆に身長がもっとも低い選手は13歳の松崎江里子選手と14歳の森川莉子選手の154cmでした。
こちらも男子同様に13歳や14歳とまだまだこれから身長が伸びる時期ですので、女性の一般的な平均身長を超える可能性は十分あります。
日本代表・歴代メダリスト(ロンドン大会)の身長は?
スポーツの中でも特に水泳に注目して、子供の身長への影響を考えた場合、やはり幼いことから水泳に取り組んでいる一流選手の身長を参考にするのが一番わかりやすいでしょう。
水泳の一流選手といえば、やはりオリンピック選手です。オリンピックに出るほどの水泳選手というのは、みなさん子供の頃から水泳に取り組んでいます。
個人差はあるとしても、水泳をしていなかった子供に比べて身長に対する影響は大きいと考えられます。では、ロンドン大会の選手の身長を見ていきましょう。
男性:水泳選手の身長
2012年に開催されたロンドンオリンピックに水泳の日本代表として参加した4名は、日本水泳界の中でもトップクラスの選手たちの集まりです。
ですから当然幼少期から水泳に取り組んでいたので、子供の頃に他のスポーツではなく水泳をしたことが身長にどれくらい影響したかを知るにはとても好材料といえます。
萩野 公介選手
まず始めは萩野 公介選手です。萩野 公介選手はロンドンオリンピックで400メートル個人メドレーに出場しました。結果は銅メダルで記録は4分08秒94の日本新記録を樹立しています。
さて、萩野 公介選手の身長ですが、177cmと公表されています。177cmは成人男性の中では特別大きくも小さくもありませんので、萩野 公介選手の場合は水泳で身長が大幅に伸びたとは言えないかもしれません。
入江 陵介選手
次に入江 陵介選手です。入江 陵介は100メートル背泳ぎと200メートル背泳ぎ、そして100メートルのメドレーリレーに参加しました。
100メートル背泳ぎでは52秒97のタイムで銅メダル、200メートル背泳ぎでは1分53秒78で銀メダルを獲得しています。
入江 陵介選手の身長はというと、178cmということで荻野選手とそれほど差はありません。つまり、入江 陵介選手も水泳が大きく身長に影響したかどうかというと微妙なところです。
北島 康介選手
日本水泳界といえば北島 康介選手が有名です。北島 康介はロンドンオリンピックでは個人種目には参加せず、100メートルメドレーリレーにのみ参加していました。
テレビなどで見ているととても大きな選手に見えるのですが、北島 康介の実際の身長は178cmで入江選手と同じ身長となっています。なので、北島 康介選手もそれほど水泳が身長に影響を及ぼしたとは考えにくいです。
他にロンドン大会に出た選手では松田 丈志選手や立石 諒選手がいますが、松田選手は184cm、立石選手は182cmとやや大柄です。全体的にみると身長の小さい選手はいないので、水泳の影響とも考えられますね。
女性:水泳選手の身長
ロンドンオリンピックに水泳選手として参加した女性の身長に注目してみたいと思います。もし皆さんの身長が平均身長以上であれば、子供の頃から水泳というスポーツに取り組んでいたことが身長に少なからず影響していると考えられるでしょう。
鈴木 聡美選手
はじめは100メートル背泳ぎや200メートル平泳ぎに参加した鈴木 聡美選手です。鈴木 聡美選手は100メートル背泳ぎでは銅メダル、200メートル平泳ぎでは銀メダルを獲得しています。
鈴木 聡美の身長はというと168cmとなっています。女性の平均身長は160cmを超えていませんので、168cmの身長は比較的高い方だといえます。
星 奈津美選手
次は200メートルバタフライでロンドンリンピックに参加した星 奈津美選手です。星 奈津美はこの大会では銅メダルを獲得しています。その身長は164cmなので、こちらも鈴木選手同様に女性の平均身長以上です。
ロンドンオリンピックでは個人種目には参加していませんが、100メートルメドレーリレーの選手として加藤 ゆか選手が参加していました。日本は3分55秒73の日本新記録でみごと銅メダルに輝いています。
加藤 ゆか選手
そんなメダル獲得の立役者である加藤 ゆか選手ですが、身長は159cmとなっています。160cm台には届いていないものの、女性の平均身長以上ですので決して身長が低くはありません。
最後は加藤選手と同様に個人種目への参加はなく、メドレーリレーにのみ参加していた上田 春佳選手です。
上田 春佳選手
上田 春佳選手はこのロンドンオリンピックに参加した女性水泳選手の中では比較的年齢が高い方の選手ではあるのですが、しかしその身長は177cmと今回ご紹介した選手の中でもっとも高身長の選手です。
鈴木選手でも168cmでしたから、それより9cmも身長が高いということになります。女性選手は全体的に平均身長を超えていますので、やはり水泳をしたことによって身長が伸びたと考えられるでしょう。
水泳選手は身長が高い方が有利なのか?
ここまで、水泳というスポーツが子供の身長に与える影響についてみてきましたが、そもそも水泳という競技はタイムなどに身長が影響するものなのでしょうか。
他のスポーツをいろいろ見てみると、やはり身長が大きい選手の方がいろんな面で有利だったりします。もし水泳も身長が高い方が競技的に有利という事であれば、日本の水泳選手は海外の水泳選手に比べてそれほど高身長とは言えません。
よってどちらかといえば体格的に不利ではありますが、それでも数々のメダルを獲得しているという実績がありますので、非常に優秀だとも言えます。
基本的に身長の高い方が有利なのが競泳という競技
身長があった方が良いタイムが出るかどうかという点について、水泳はやはり身長が高い方が有利になります。
なぜかというと、身長が高いということは手足も当然他の選手より長くなりますので、例えばクロールで考えると一回の手足の動きでより多くの水をかくことができるからです。
こうした現象は特に短距離の競技で発揮されます。ですから、子供の頃は身長が低かった選手が、水泳にスポーツとして取り組んで身長が伸びてくるとどんどんタイムが伸びていくということがあるのです。
水泳後のエネルギー不足解消に子供用サプリの活用を
水泳選手は個人差はありますが、全体的に見て低身長の選手はほとんどいません。つまり、子供の頃からスポーツの中でも特に水泳に取り組んでいた場合、身長が伸びやすくなるということがわかります。
水泳は全身運動となる為、成長期の子供の体に良い刺激を与えてくれます。これによって、スポーツや水泳をしていない子供に比べて身長が伸びる可能性が高まるのです。
特に水泳の中でもクロールや背泳ぎなど縦の動きが多い泳ぎは身長に良く影響します。
疲れること自体は決して悪いことではありません。ですが、疲れすぎてしまうと眠気が勝ってしまって食欲がなくなってしまい、しっかりと食事をとれなくなる子供がいます。
また、食事はとっているものの、水泳で消費している分をしっかり補うことができずに、結果的に栄養不足となってしまうことがあるのです。
このような原因により、水泳は身長が伸びなくなると時々言われます。水泳で消費したエネルギーを食事で補い切れていない為、身長の伸びや体の成長に必要な栄養が足りなくて身長が十分に伸びないのです。
まとめ
子供の身長は、成長期に骨へ十分な刺激を与える事が必要で、骨への刺激を与える方法はスポーツをすることです。
身長が伸びるスポーツとしてはバスケットなどが有名で、水泳は身長が伸びないスポーツと言われることもありますが、実はそんなことはありません。
水泳は子供の身長を伸ばすのにはとてもおすすめのスポーツの一つといえます。なぜなら水泳は全身運動になるので、身体にまんべんなく刺激を与える事ができるので、身長の伸びにとても良い影響を与えてくれるからです。
水泳をするならサプリの利用がおすすめ
実際、オリンピックに出場している水泳選手の身長を見てみると、男女ともに平均身長かそれ以上の身長となっています。水泳選手で特に身長が低い選手というのはほとんど見かけたことがありません。
オリンピック選手のように子供の頃から水泳をしている方々の身長が平均身長以上であるということは、水泳は子供の身長を伸ばしてくれるスポーツととらえてよいでしょう。
食事だけでは足りないという場合には子供用のサプリメントを併用するなどして、成長に必要な栄養を補うことが望ましいといえます。