子供が健やかに成長するにはたくさんの栄養素が必要とされますが、ビタミンB1もそのうちの一つです。成長期にしっかり食事をして必要な栄養を摂取することは、その後の一生を左右するといっても言い過ぎではありません。
また、体の成長の中でも特に重要なのは身長なのではないでしょうか。身長が高ければ良い仕事に就くといわれるほど、人生においてどのくらい身長があるかは重要なポイントということができます。
それには、ビタミンB1をたっぷりと含む食品を覚えるとともに、効果的に栄養素を取り込めるような料理も知っておくことが大切です。
[mokuji]どのような食品にビタミンB1は多く含まれるのか?
ビタミンB1は、糖質からエネルギーを生み出す酵素の働きを補酵素となってサポートするというのが主な役割です。また、皮膚や粘膜の健康をキープする働きもあるので、不足すると口内炎などを引き起こすことが知られています。
また、糖質といえば脳の唯一のエネルギー源であるため、ビタミンB1は脳神経がスムーズに働くのに不可欠な栄養素でもあります。
食べものを食べるのは元気に生活することが目的の一つであるわけですが、せっかく食べてもビタミンB1が足りなければ意味がなく、だるい、疲れやすいといった症状が現れてきます。
ビタミンB1が不足すると、ブドウ糖から十分にエネルギーを産生できなくなり、食欲不振、疲労、だるさなどの症状が現れます。また、脳はブドウ糖をエネルギー源としているため、ビタミンB1が不足するとエネルギーが不足し、脳や神経に障害を起こします。
この状態が深刻になるとかっけになることも珍しくはありません。また、ビタミンB群は水に溶けやすい性質を持つため、余分に摂取した分は体外に排出されてしまいます。
脂溶性ビタミンのように体内に留め置くことができないので、毎日コツコツと摂取し続ける必要があります。
ビタミンB1を多く含む食品を覚えておけば、さまざまな食品から効率よく摂取することができます。また、せっかく摂取したビタミンB1を体内で無駄に消費しないように気を付けることも大切なことです。
ビタミンB1は子供の精神ビタミン
ニュースなどで、非常に切れやすい子供が犯行に走るなどして取り上げられるのは珍しい話ではありません。その原因は、環境などさまざまな要因が背景にあると推測されますが、食事も要因の一つとして考えられることがあります。
子供たちの食事の極端な例では、朝食を食べる習慣がなく、お昼は給食を食べますが、おやつに菓子パンやスナック菓子、清涼飲料水などを取り、夜は一人でコンビニのお弁当やハンバーガーを食べるといったことが挙げられます。
これは極端な例ともいえるわけですが、このような食事内容では給食でしかまともな栄養を摂取していないことになります。
ビタミンB1などのこれらの栄養素は精神を穏やかにする作用もあるので、子供の精神ビタミンと言うこともできます。
しかし、日々の食事から適切に摂取できないことから、心をコントロールできずにちょっとしたことにイライラして切れやすい子供になってしまうのです。
また、ビタミンB1は糖質を代謝するのに必要な栄養素です。しかし、菓子パンやスナック菓子、清涼飲料水などを毎日取ると、ビタミンB1が不足してしまいます。
スポーツドリンクをよく飲むアスリートキッズは糖質注意
運動部に入っていなくとも、夏場は水分補給のためにスポーツドリンクを子供に飲ませる機会が多いのではないでしょうか。
確かに、水やお茶よりもスポーツドリンクを飲ませた方が熱中症や脱水を効果的に防ぐことができますが、そこには注意すべき点もあります。
スポーツドリンクには糖分もたくさん含まれているので、体内で代謝するためには多量のビタミンB1を消費してしまいます。すると、気付かない間にビタミンB1欠乏症に陥り、かっけになってしまうことも珍しくないのです。
飲み物といえば年中スポーツドリンクを与えるお母さんも多く、離乳期の子供の調子が悪くなり、医療機関を受診してかっけと診断されることも少なくありません。
スポーツドリンクには糖分がたくさん含まれているということを認識し、過剰に与えるのは避けるようにしたいものです。
幼児のビタミンB1不足には要注意
朝食を食べる習慣がない、外食が多い、といった家庭の場合、ビタミンB1は特に不足する可能性が高くなります。
ビタミンB1がなければ糖質をエネルギーに変えることができなくなってしまうので、乳酸がたまって疲れやすい、食欲がわかないといった症状が出やすくなります。
また、糖質といえば、脳や神経が必要としている栄養素でもあります。そのため、ビタミンB1不足はキレやすい性格となって問題行動を起こす原因にもなることがあります。
甘いお菓子や清涼飲料水は子供が大好きな食べものですが、これらには糖分はたくさん含まれているもののビタミンB1は含まれていないので、摂り過ぎないように気を付けたいものです。
ビタミンB1を多く含んだ食品一覧
ビタミンB1は、ぬかや胚芽に多く含まれるため、玄米を食べるようにすると効果的です。精米してしまうとぬかや胚芽が除かれてしまうので、白米は玄米のようにビタミンB1は含まれていないことになります。
ビタミンB1を効率的に吸収するには、ニンニクやタマネギと一緒にとることがポイントです。これらの食品にはアリシンと呼ばれる成分が多く、ビタミンB1と結合することで吸収率がアップさせることができるからです。
ビタミンB1の1日に必要な食事摂取基準値は年齢によって異なります。
年齢 | 男の子 | 女の子 |
---|---|---|
8~9歳 | 1.0mg | 0.9mg |
10~11歳 | 1.2mg | 1.1mg |
12~14歳 | 1.4mg | 1.3mg |
ビタミンB1は熱に弱く調理中に損失する割合が比較的高いので、その分を加味してやや多めにとると良いでしょう。
「玄米」
玄米は非常に栄養が豊富で完全栄養食と呼ばれることもあります。よく1日に30品目は取るようにといわれることがありますが、これは主食が白米の場合です。
主食を玄米にすればそれほどたくさんの品目を取る必要はなく、一汁一菜程度でも十分に健康状態を維持することができます。ビタミンB1は、玄米100gあたり0.41mgも含まれており、これは白米の5倍に相当する数値です。
そのほかの栄養素も軒並み高い数値を示していますが、白米と比べてひときわ高いのは食物繊維で白米の6倍も含まれています。また、玄米で注目したい栄養素の一つがフィチン酸です。
「白米」
より健康的な食事をと考えると白米よりも玄米のほうが優秀といわれてしまいますが、だからといって白米の栄養がほとんどないということはありません。
白米に含まれるビタミンB1は、ごはん茶碗に1杯(150g)で0.03mgです。これは、キャベツの葉であれば1~2枚分に相当する量です。
たんぱく質は牛乳130ccに相当する量が含まれていますし、ビタミンEはゴマ小さじ8杯、マグネシウムならアスパラ5本に相当するなど、意外と多くの栄養を補給できます。
美味しいごはんを主食として、バラエティー豊かなおかずをいただけば健康的な食生活が送れるはずです。
「えんどう」
鮮やかな黄緑色をしているえんどう豆は見るからに栄養がありそうですが、100gあたりのビタミンB1含有量は非常に多く、ゆでたもので0.27mg、乾燥したものなら0.72mgも含まれています。
黄緑色の正体はカロテンが含まれているからで、動脈硬化などを防ぐのに一役買ってくれます。えんどうには余分な塩分を排出してくれるカリウムや、ビタミンB2、必須アミノ酸のリジンなども含まれます。
また、たんぱく質も含んでいる上に意外と糖質も多いので、えんどうはパワーの源にもなってくれる頼もしい食材といって良いでしょう。もちろん、豆ということで食物繊維も豊富に含まれており、野菜類の中ではトップクラスといえるほどです。
「いんげんまめ」
いんげんまめというと付け合わせにしか使われていないイメージもありますが、実は非常に栄養豊かな食べものです。
100gあたりのビタミンB1は、ゆでたもので0.18mg、乾燥したものなら0.5mgも含まれています。また、ビタミンB2やビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどもたっぷりと含まれています。
しかし、より注目したいのはアミノ酸でしょう。アミノ酸には体内で生成されるものとされないものとがあります。
「大豆」
国産大豆100gあたりには、ゆでたもので0.17mg、乾燥したものなら0.71mgものビタミンB1が含まれています。
たんぱく質は筋肉や臓器などをつくる重要な栄養素なので、成長期には欠かすことができません。しかも、肉でたんぱく質を摂ろうと思うと同時に脂質も摂取してしまうことになりますが、大豆ならカロリーを抑えられます。
また、体内で女性ホルモンと似た働きをすることで知られる大豆イソフラボンや、体をサビから守ってくれる大豆サポニン、腸内環境を整えることにつながるオリゴ糖など、他にも多くの健康成分が含まれています。
ビタミンB1を多く含んだおすすめ料理一覧
ビタミンB1は、加工する途中で少なくなる傾向があるので、手早く調理することも大切です。しかし、何よりも出来合いのお弁当やファーストフードではほとんど期待できない栄養素ということができるでしょう。
毎日栄養たっぷりの料理を用意するのはとても大変なことではありますが、ビタミンB1は成長期にとても大切な栄養素の一つです。
できる限り手作りの料理で子供の成長を後押ししてあげるようにしましょう。ビタミンB1をたっぷり含んだおすすめ料理をご紹介します。
「玄米を使った料理」
玄米が健康に良いとはわかっていても、どうも白米から切り替えられないという方は多いのではないでしょうか。白米に比べると殻が残っていることからどうしても固さがあり、甘味もあまり感じられないといった理由が多いようです。
しかし、その栄養価の高さはやはり見逃せないものがあるので、美味しくできる調理法を覚えてしまうのがおすすめです。
調理方法
まずは、基本の炊き方を覚えましょう。米を研いだらたっぷりの水に浸けますが、できれば発芽するまで漬けておくと口当たりが良くなります。だいたい24時間浸けておくと発芽します。
炊く際は新たな水を入れるのですが、玄米3合につき700cc程度の水加減で塩を一つまみ入れます。炊飯器ではなく圧力鍋で炊くともっちりと炊き上がるのでおすすめです。加圧されたら20分程度弱火にかけてから火を止めます。
もっちりとして口あたりが良いとそれだけで子供も食べられますが、カレーやドリア、チャーハンなどにすると白米と変わりなく喜んで食べてくれるはずです。
「えんどうを使った料理」
えんどうは水に溶けだしやすいビタミンも豊富に含んでいるので、スープなどにして汁ごといただくと豊かな栄養を余すことなく摂取できておすすめです。
また、旬の時期には豆ごはんにすると、彩も良く美味しいご飯がいただけるのではないでしょうか。
調理方法
えんどうを使った豆ごはんを作る時には、莢を煮出して取った出汁を使うととても美味しく炊き上がります。莢は良く洗ってから煮出しましょう。
香りも非常に良いので食欲も増すはずです。炊く時に莢を一緒に入れてしまっても同じような効果が得られます。
えんどうは色身が非常にきれいなので、子供も大好きな肉じゃがに入れるなどしても良いでしょう。オレンジ色のニンジンとともに、食卓に並べられただけで食欲が増してくるはずです。
「いんげんまめを使った料理」
いんげんまめは、ゆでたものを油で炒めてハンバーグの付け合わせにするのも良いですが、他にもいろいろな食べ方があります。
例えば、しょうゆとマヨネーズを混ぜたものを添えるだけという簡単レシピでも、いんげんまめの美味しさをじっくりと味わうことができるでしょう。
マヨネーズは子供も大好きなので、栄養豊かないんげんまめをどんどん食べてくれるはずです。仕上げにすりごまをかければさらに栄養価をアップすることができるでしょう。
調理方法
いんげんまめをゆでる際には、沸かしたお湯に入れてザルにあげるだけでもOKなのですが、ひと手間かけることでより鮮やかなグリーンを際立たせることができます。
まずはきれいに洗い、一つまみの塩をすりこんでから沸かしたお湯に入れてゆでます。この時、ゆで過ぎるとせっかくのシャキシャキした歯ごたえが消えてしまうので注意しましょう。その後、氷を入れた水に取ると色止めすることができます。
「大豆を使った料理」
大豆を使った料理で身近なものといえばお味噌汁が挙げられます。洋風な食事の場合にはなかなか大豆の摂取量は多くならないので、日本の伝統的な食事を取り入れるのがおすすめです。
お味噌汁は野菜や海藻など具材を多めに用意すれば、より多くの栄養素を摂取することにつながります。しかし、洋風な食事が好きという子供も多いので、洋風の大豆料理も覚えておくと良いでしょう。
調理方法
例えば、缶詰のミートソースやあり合わせの野菜などと一緒にコンソメスープの素で10分ほど煮込めば、子供も喜んで食べてくれる美味しいポークビーンズが出来上がります。
また、大豆を使った手作りお菓子というのもあります。水煮の大豆の水分をふき取り、片栗粉をまぶしてから170度に熱した油で3分ほど揚げます。
みりんや砂糖、しょうゆをフライパンで煮立たせてカラメルソースを作り、揚げた大豆に絡めれば出来上がりです。くるみなどのナッツ類も一緒に絡めても美味しく仕上がります。
「ごまを使った料理」
ごまを摂取するなら、子供が大好きなアイスクリームを、ごまを混ぜて手作りしてみるのも良い方法です。用意する材料は、生クリーム200mlに黒練りごま50g、砂糖40g、牛乳35cc、卵黄1個です。作り方もそれほど難しくはありません。
調理方法
練りごまと砂糖を泡立て器でよく混ぜ合わせたら、卵黄も加えてさらによく混ぜ、牛乳も加えて味見をし、塩気が足りないようなら塩を一つまみ加えます。
湯煎にかけてさらに混ぜ合わせ、できれば濾してから冷蔵庫にいったんいれます。その後、冷えた生クリームを加えてよく混ぜ、タッパーなどに入れて一晩冷凍庫に置いたら出来上がりです。
また、ごまは、ごま擦り器に入れておいてしょうゆなどと一緒に調味料として食卓に用意しておくのがおすすめです。少量でも良いのでいろいろな料理に一擦り加えるだけで、栄養価をさりげなくアップさせることができるでしょう。
栄養満点な料理が作れない方は子供用サプリの活用を
前述のように、栄養たっぷりの料理を毎日作るのはとても大変なことです。また、お母さんだからといって料理が得意な方ばかりではないはずです。そして、そんな時に利用したいのが子供用サプリメントです。
特にビタミンB群は水溶性なので、体内に溜めておくことができずこまめに摂取しておかなくてはならないことを考えれば、サプリメントを利用するのはとても賢い方法といってよいのではないでしょうか。
また、調理中に損失する分を考えたりすると、お母さんの方が神経質になってしまって良い結果にならないということもあるでしょう。
ビタミンB群が含まれたマルチビタミンの子供用サプリがおすすめ
毎日の食事から十分に栄養を摂れるのであれば、サプリメントを利用する必要は特にありません。しかし、最近では、特に女の子などは低い年齢のうちからダイエットに興味を持つ傾向にあります。
大切な成長期にもしも過度なダイエットをしてしまえば、十分に身長が伸びることに期待ができなくなってしまいます。
ダイエットなどで栄養バランスを乱している子供には、サプリメントは非常に重要な意味を持ってくるはずです。そのように過度なダイエットをしてビタミンが欠乏する状態は子供だけではなく大人も同様だといわれています。
サプリメントを利用するのならビタミンB群が含まれたマルチビタミンがおすすめです。ビタミンB群はすべてがそろって初めてそれぞれが作用するという性質を持つので、一つだけを頑張って摂取してもあまり意味がありません。
また、ビタミンは助け合って働くものが多いので、マルチビタミンを利用するのが効率的です。さらに、消化器官などが未発達の子供には、子供用のサプリメントを選んでおくと安心です。
まとめ
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える他、脳や神経の働きにも深く関与しているとても重要な栄養素の一つです。いずれも成長期にはとても大切な働きということになります。
不足するとかっけになることは広く知られていますが、その前段階としては肩こりや強い疲労感、記憶力や集中力の低下といったことが挙げられています。
このような症状はちょっとしたことでも起こりやすいのですが、あまり長く続くような時には注意が必要です。
ビタミンB1不足を感じたら子供用サプリがおすすめ
お子さんがなんとなく元気がない、だるいとたびたび口にするなどといった時には、単なる気のせいとやり過ごしてしまうのではなく、ビタミンB1が足りていないか疑ってみることも必要といえるでしょう。
成長期にしっかりと栄養を摂らせてあげれば、子供のその後の人生は素晴らしいものとなるに違いありません。そして、子供用サプリメントを利用することは大きなサポートとなるのです。