スーパーフードという言葉が一般にも広まったのはここ数年のことです。最初は一部の美容や健康マニアの間だけでもてはやされていましたが、今では健康に関心のある方なら誰でも知っている言葉と言ってよいでしょう。
そんなスーパーフードのなかで、子どもの成長にも良い効果をもたらすとして最近注目されているのが「スピルリナ」です。メディアで取り上げられることも増えたおかげでどんな食べ物か知りたい方も多いことでしょう。
そこで、スピルリナとは何なのか、どんな栄養があるのか、子どもの成長に効果があるというのは本当なのか、また、子どもに食べさせてもリスクはないのかなど、気になることをじっくり見ていきましょう。
「スピルリナ」って何?
スピルリナという名前は、最近いろんなメディアに取り上げられるようになって、多くの人に知られるようになりました。
では、スピルリナとはそもそも何なのでしょうか。ユーグレナと同じ文脈で扱われることも多いですが、スピルリナとユーグレナはどう違うのか、またどんな栄養素なのかなどについて説明していきます。
また、副作用など体への危険性についても子どもを持つ親御さんなら気になるはずです。
それも踏まえつつ、スピルリナが人間の体にもたらしてくれる驚きの効能と、スピルリナを配合する身長サプリなどについても詳しく見ていきましょう。
スピルリナとは?どんな成分?
スピルリナとは、中南米やアフリカの湖に生息する藻の一種です。藻といってもその大きさは0.3mm×0.005mmととても小さいため、肉眼で確認することはできません。
単細胞微細藻類に分類される生物で、実に30億年も前から地球に生存しています。人間の誕生するはるか昔から地球の生命力を糧に生存する微生物で、現地の人たちにも太古の時代から貴重な栄養源として食されていました。
それが20世紀になって欧米でも栄養効果が注目されるようになり、1967年にエチオピアで開かれた国際応用微生物会議で「たんぱく質が豊富で将来の食糧源になりうる」存在として報告されるまでになったのです。
スピルリナにはさまざまな栄養素が含まれていますが、代表的なものを挙げると、たんぱく質、ミネラル、ビタミンB群です。たんぱく質の含有量は60~70%と、大豆をはるかに凌駕しています。
また、カルシウム、鉄分、マグネシウム、カリウム、亜鉛なども豊富です。鉄分は牛レバーの約4倍という高い含有量です。
このように、スピルリナは動物性と植物性の栄養素が同時に摂取できるということから、スーパーフードとして注目されているのです。
スピルリナとユーグレナの違い
スピルリナとユーグレナはともに豊富な栄養素を含む藻類です。いくつもの共通点を持っていますが、異なるところもあります。
スピルリナとユーグレナは大きさ、形、色ともに違っています。微細な藻類なので、人間にとってそれらは大差ないかもしれませんが、人間にとって決定的に異なるのは食糧として利用されてきた歴史です。
栄養素は両者互角と言ってよいですが、片方にあってもう片方にない栄養素もいくつかあります。スピルリナには血中の脂質を取り除くフィコシアニンという色素があります。
ユーグレナにはコレステロールなどの有害物質を吸着するパラミロンを持っています。ほかにも違いはありますが、栄養バランスはどちらも互角と言えるでしょう。
スピルリナは国連機関やWHO・日本サプリメント協会も推奨
スピルリナは国連機関やWHOも貴重な食糧源として推奨しています。
日本ではまだなじみが薄い存在ですが、現在は一般社団法人日本サプリメント協会も、たくさんの栄養素をバランスよく含有しているとして総合的な栄養補給に適した食品と認めています。
日本サプリメント協会では、スピルリナの抗酸化作用やコレステロール値の低下作用に注目しています。
また、一般食品に比べてスピルリナの栄養素が消化吸収の良いところも推奨理由です。糖尿病や肝臓病で、効率の良い栄養摂取が必要な人にも適していると言っています。
また、必須アミノ酸を全9種類含んでいる点も、体の機能維持のために最適な食品とされる理由です。
スピルリナは子供の成長にどう?
スピルリナが栄養素を豊富に含む素晴らしいものだということはわかりました。では、子どもの成長にはどう役立つのでしょうか。
子ども用のサプリメントにも配合されているため、体に害があるものではないことは察せられますが、子どもの成長に具体的にどう作用するのかがわかった方が、確信を持ってサプリの購入もできることでしょう。
そこで、子どもこそスピルリナのサプリを利用するべき理由を紹介します。以下を読めば、スピルリナの効果や効能が、子どもの丈夫な体作り欠かせないことがわかるでしょう。サプリ購入の前のご参考になれば幸いです。
栄養成分が豊富
スピルリナは、マヤ文明の昔から現地の人たちの貴重な栄養補給源として利用されてきました。
子どもの成長に欠かせないビタミン、ミネラル、たんぱく質を豊富に含み、食物繊維や抗酸化作用のある色素など60種類以上の成分をバランスよく含有するスーパーフードの王様です。
そんなスピルリナですが、含有量の60%以上はたんぱく質です。たんぱく質を豊富に含むと言われる大豆でさえその含有量は35%程度と言われていますから、スピルリナが持つたんぱく質がいかに豊富なのかがわかるでしょう。
緑黄色野菜に多く含まれるカロチンもスピルリナには豊富に含まれています。その含有量はホウレンソウの約40倍と言われるほどです。
カロチンは免疫力を高めるのに大切な栄養素ですから、免疫力がまだ低い小さな子どもは積極的に摂取すべき成分です。骨の強化にも良い影響を与えます。
さらに、カルシウムを豊富に含むのもスピルリナが子どもの成長に役立つ理由です。その含有量はヨーグルトと同等とされています。
コレステロールの調節
コレステロールと聞くと悪いイメージがありますが、実はホルモンや細胞の原料になる欠かせない物質です。
コレステロールにはLDLコレステロール(悪玉)とHDLコレステロール(善玉)の2種類があって、悪玉コレステロールが増えると生活習慣病のリスクが高まります。
ただ、悪玉コレステロールが多少増えても、善玉コレステロールがしっかりあれば健康には問題がないとも言われています。
スピルリナにはたんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、それに食物繊維などさまざまな栄養素を含んでいますが、このうちβカロテンという抗酸化作用のある成分が悪玉コレステロールを減少させるのです。
また、スピルリナの食物繊維やγ-リノレン酸の働きによって、コレステロール値の改善のほか、血液がサラサラになり、食べ過ぎを防止する効果も期待できます。
アレルギーに対する効果
花粉症や気管支炎などアレルギーの症状はさまざまですが、原因であるアレルゲンの働きを抑えれば症状を抑えることができます。その効果が期待できるのがスピルリナです。
スピルリナを定期的に摂取すると、くしゃみや鼻づまりなどが改善するという研究もあります。スピルリナによって免疫力がアップして、アレルゲンの働きを抑制するからです。
酸性に傾くと体はアルカリ性に戻そうと骨や細胞のミネラルでバランスを取ろうとしますが、その結果、ミネラルが不足して病気になりやすい体になってしまうのです。
それを防ぐためにも、アルカリ性のスピルリナを継続して摂取することが大切です。アトピー体質の改善も期待できます。
病気予防
スピルリナにはさまざまな栄養素が含まれていますが、豊富なミネラルと抗炎症作用のあるフィコシアニンによって体の免疫力を高めます。そのため、病気になりにくい体作りに最適なのです。
人間の体はアルカリ性に傾いていて、このためにウイルスや病気に強い体を保つことができます。しかし、食生活の乱れなどで栄養が偏ると、体は酸性に傾き病気になりやすくなってしまいます。
また、病気の原因の一つに、腸内環境の悪化によって免疫力が低下することがありますが、スピルリナには腸内環境を改善させる作用のある栄養素が豊富に含まれています。
腸内環境が改善すると、その結果、アレルゲンやウイルスに強い体になります。つまり、スピルリナを継続して摂取することで、病気予防にもなるということです。
スピルリナの副作用や危険性は?
スピルリナがなぜスーパーフードとして注目されているのかが、これまでの説明でおわかりいただけたかと思います。
豊富な栄養素を持ち、子どもの成長に良い影響を与えるだけでなく、アレルギーの抑制や病気の予防にも効果が期待できるとなると、うちの子にもぜひ摂取させたいと考える親御さんが大半でしょう。
しかし、スピルリナについてはまだわかっていないこともたくさんあります。子どもが摂取しても本当に安全なのか、副作用のリスクはないのか、ちゃんと納得できないと試せないという方も多いでしょう。
1日の摂取上限は2000mg~6000mg
スピルリナは、原産地では天日干しやスープなどの食材にも利用されていますが、日本で手に入るものはほとんどがサプリメントです。
乾燥スピルリナを粒状に加工したものが多いですが、顆粒やエキスなどもあります。いずれにせよ、サプリであれば摂取量はサプリに記載の用量を守っていれば問題ありません。
上限の目安は2000mg~6000mgとされています。もっともサプリの用量を守っている限り、これを超えることはないので危険視する必要はありません。
スピルリナの有効性は不十分
太古から食用に供され、近年はスーパーフードとして注目を集めるスピルリナは、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富な植物プランクトンです。
似たようなユーグレナが食用に利用されるようになったのがここ最近なのに対して、スピルリナは古来より貴重な栄養源とされてきた伝統的な食材ですから、安全性は問題ないとされます。
ミクロシスチンという肝毒性のある物質を含むものは避けるようにという注意もあります。
スピルリナを摂取させたい成長期の子どもは、感受性が大人より高いため、ちゃんと検査された製品のみを摂取させるべきでしょう。
適切に管理された経路の製品を推奨
2017年、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、スピルリナのサプリメントについて、適切に管理された経路をたどった製品を優先するように、との推奨コメントを発表しました。
スピルリナは、昔から原産国を中心にさまざまな国で食用に利用されてきました。フランスでも日用食品やサプリメントとしてスピルリナの製品がいくつも販売されています。
その有害作用とは、アレルギー、消化器障害、肝障害、筋肉の損傷などです。ただし、こうした有害作用の報告は、どのぐらいのスピルリナを摂取してこれらの有害作用が見られたか、という肝心の詳細が明らかにされていません。
有害作用の表れる摂取量が不明ではありますが、大人なら1日数グラムの摂取で健康リスクが表れることはない、とされています。
さらに、スピルリナ製品は、細菌、重金属類、シアノトキシンなどに汚染される可能性も指摘されています。
このように、健康リスクについてスピルリナには不明なことがあります。フランスが、行政当局で管理される適切な経路を辿った製品を優先するようにとのお達しを出したのも、そうした理由です。
妊娠中・50代女性が過剰摂取の健康被害を報告
スピルリナのサプリメントの過剰摂取による健康被害がいくつか報告されています。
一つは、フランスの妊婦が妊娠4カ月からスピルリナのサプリメントを過剰摂取したために、生まれてきた赤ちゃんが生後1日目に全身発作を起こしたというものです。
もう一つは、日本の50代女性によるものです。この人はスピルリナだけでなく、いろんな健康食品を10年間使用していたとのことですが、ある時、発熱と倦怠感が表れ、それが6か月間も続きました。
検査で肝機能マーカーの上昇が認められたので、スピルリナ製品を含む2つの製品の摂取量を通常の6~7倍にして5カ月間経過を観察したところ、肝機能がさらに悪化し、胆汁うっ滞も確認されました。
以上、スピルリナのサプリメントによる健康被害の報告ですが、これらは過剰摂取を長期間続けた例であり、具体的な摂取量は不明です。
子どもの健康被害は報告されていません。用法用量を守って摂取し、ちょっとでも異常を感じたらすぐに中止するなど、注意して摂取する限り危険は少ないと思われます。
スピルリナが将来の未来食になる?
スピルリナは未来の宇宙食としてNASAにも検討されています。同じ藻の仲間であるクロレラも宇宙食として注目されていますが、スピルリナには豊富なたんぱく質や全必須アミノ酸が含まれており、アミノ酸組成はクロレラ以上です。
ほかにもビタミン、ミネラル、食物繊維などもバランスよく含まれていることから、世界一完璧な食品とも言われています。
日本でもJAXAによってスピルリナの研究が進んでいます。スピルリナは光合成の能力が高く、スピルリナ培養液で人間が1日に必要な酸素と食糧が取り出せるそうです。
JAXAでは、スピルリナと魚による閉鎖系生命維持装置を開発し、将来の宇宙生活での酸素と食糧の供給源としてスピルリナの利用を本格的に検討しています。
子供にスピルリナ配合サプリはどう?
スーパーフードと言われるだけあって、スピルリナがどれだけ栄養素とその吸収率に優れた健康維持に効果が期待できる食品かということが、これまでの説明でおわかりいただけたと思います。
ただ、詳細は不明な部分があるものの、スピルリナのサプリメントについて健康被害のリスクも報告されているため、子どもに摂取させてよいものかとお悩みの方もおられることでしょう。
結論を先に述べると、子どもこそスピルリナのサプリメントで栄養補給するべきです。好き嫌いの激しい子どもでもサプリなら簡単に摂取できます。
品質管理・過剰摂取を守れば子供の偏食を補える優れたサプリメント
野菜嫌いの子どもでも、野菜に含まれる大切な栄養素を簡単に摂取できるため、スピルリナのサプリメントはおすすめです。
スピルリナのサプリメントによる健康被害が報告されているといっても、その数はごく少数であり、しかも、長期間にわたって過剰摂取したケースです。
そのため、サプリの用法用量を守って摂取している限り、健康を脅かすようなリスクはないと考えられます。
スピルリナがいくら健康に良くても、品質の悪いサプリでは本来の効果を期待できないばかりか、健康被害のリスクの可能性も高くなります。
スピルリナのサプリメントを選ぶ時は、品質管理が行き届いた安全性の高い製品かどうかを十分に確かめてください。
スピルリナは子供の体内で合成されない必須アミノ酸9種類を含む
スピルリナには成長期の子どもに大切なたんぱく質が非常に多く含まれています。たんぱく質の豊富な商品といえば大豆がありますが、大豆のたんぱく質含有量は20~30%です。
スピルリナはたんぱく質の含有量が60%以上もあり、畑のお肉とも呼ばれる大豆を凌駕するほど豊富にたんぱく質を含む食品なのです。
アミノ酸には、筋肉を作ったり、内臓の機能を高めたりなどの作用がありますが、これらアミノ酸のなかには、必須アミノ酸といって子どもの体内で生成されない成分があります。
必須アミノ酸は食事によってしっかり摂取することが重要です。スピルリナにはその必須アミノ酸全9種類含まれています。つまり、子どもの体の機能を維持するのに必要不可欠な栄養素が、スピルリナだけで補えるというわけです。
まとめ
スーパーフードとして最近注目を集めているスピルリナとは、太古から地球に生存する藻の一種です。日本ではなじみが薄いですが、スピルリナが生息する地域では昔から貴重な栄養源として利用されてきました。
スピルリナには、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、炭水化物、脂質、食物繊維など、人間に必要不可欠な栄養素が豊富に含まれています。
現代人が不足しがちな栄養素もたっぷり詰まっており、それらが一気に摂取できるということで将来の食糧源としても注目されているのです。
スピルリナは子供の成長サポートにおすすめ
スピルリナは子どもの成長に良い影響を及ぼすと考えられます。スピルリナにはコレステロール値を低下させ、腸内環境を改善する作用があると言われていますが、これは生活習慣病や肥満の予防に最適です。
また、アレルゲンの働きを抑制することで、アトピーや鼻炎などアレルギーの症状を改善する効果も期待できます。さらに、抗ウイルス効果があるため、病気の予防にも最適です。
ただ、一部に過剰摂取などの健康被害の報告もあるので、スピルリナのサプリメントは、品質管理の行き届いた安全性の高いものを選び、過剰摂取にならないようサプリの用法用量を守って摂取することに気を付けてください。