ビタミンKは、怪我をした際などに自然に血が固まるよう、正常な血液凝固作用に必要なビタミンとして発見されました。
また、この他に骨の形成に関してたんぱく質の活性化を助ける働きも担っており、そのために成長期の子供の発育においては欠かすことができない栄養と言えます。
ビタミンKはブロッコリー、ピーマン、ほうれん草などの緑色の食材に特に多く含まれますが、こういったものは味や匂いが独特であるため、子供はあまり好きでは無い傾向にあります。工夫をしてあげると食べやすくなるので、紹介していきましょう。
どのような食品にビタミンKは多く含まれるのか?
ビタミンKは、ピーマンやブロッコリー、ほうれん草、わかめなどに含まれています。緑黄色野菜に多く含まれている栄養ですが、特に緑色の野菜や海藻に含まれていると考えるとわかりやすいでしょう。
ビタミンKは脂溶性のビタミンのため油に溶けやすく、水には溶けにくいという性質を持っています。そのため、油で炒めるよりも煮こんだりボイルをした方が栄養を逃さずしっかり摂ることができるので、この料理の仕方についてはよく心得ておきましょう。
またビタミンKは茶葉にも多く含まれており、特に緑茶や紅茶の茶葉には100gあたり1400μg以上の栄養が含まれています。
ビタミンKは骨の形成に欠かせない栄養素
ビタミンKは、出血などをした際、正常に血液が凝固するために大切な働きをしてくれる栄養です。
また成長期の子供においては、骨芽細胞が骨の主要なたんぱく質であるコラーゲンの合成を促進させる働きがあるので、この役割においても欠かすことができない栄養です。
子供の発育においてはカルシウムやたんぱく質を積極的に与える家庭は多いものの、ビタミンKまで考えて毎日の料理を考えているということはあまり多くないのです。
肉や魚、牛乳などしっかり栄養を摂らせているのになかなか背が伸びないという場合には、成長を促進させるビタミンKが足りていないということも考えられますから、この点についてはよく心得ておきましょう。
偏食気味や野菜嫌いといった子供はどうしてもこれらの食品を口にしようとはせず、そのせいで栄養が不足してしまうといったことになってきますから、そういったことが無いよう家庭で工夫をしてあげることが大切です。
料理の仕方や少しでも口にしてくれる食品を探し、コンスタントに決まった量を摂取できるよう努めていってください。
乳児・新生児のビタミンK欠乏症に注意
子供の成長に不可欠なビタミンKですが、これは食品から摂取するビタミンK1の他に、腸内細菌によって合成されるビタミンK2の2種類があるため、よほど極端な食生活を送っていない限りは欠乏症になることはありません。
しかし乳児・新生児においては、まだまだ腸内細菌の発達が未熟であり、乳汁中のビタミンKというのも量が少ないことから、ビタミンK欠乏症になりやすいといった問題が出てきます。
人工乳の場合には様々な栄養バランスを考慮してあるためビタミンK欠乏症になることはありませんが、母乳で育てていく場合には発病の頻度がぐっと高くなるので、この点についてはよく理解をしておきましょう。
特に出生直後においては多くの子供においてこの予防投与が行われますから、欠かすことなく受けられるようにしてください。
乳児・新生児を過ぎれば基本的に欠乏症になることは滅多にありませんが、それでも普段からできるだけ配慮をし、充分な量の栄養を摂取できる料理を心がけてあげましょう。
心配なく健やかな成長を見守っていけるよう、食事に配慮してあげることが必要です。
ビタミンKを多く含んだ食品一覧
ビタミンKは緑黄色野菜をはじめ、海藻、豆類、植物油などに多く含まれています。これらの食品に含まれるのはビタミンK1であり、量を摂取したぶん、ビタミンKを補っていくことができます。
また納豆などの発酵食品にもビタミンKが多く含まれています。納豆に含まれるのはビタミンK2で、これを摂ることでそれだけのビタミンKを補うことができます。
さらに、この栄養の摂り方はさらに腸内細菌の働きを活発にさせ、ビタミンK2の合成を促進させることができるので、より一層効率良く栄養を摂取することが可能になります。
日々の食生活においてビタミンKを上手に摂取していくためには、それぞれにどれくらいの栄養が含まれているのかを知っておくことも大切ですから、それらについてもあらかじめよくチェックしておいてください。
緑茶
緑茶に含まれるビタミンKの含有量は、100gあたり1400μgです。他の食品と比較しても茶葉に含まれるビタミンKの量というのは非常に多く、中でも緑茶はより高い含有量を誇っています。
ただ緑茶に含まれるこの量のビタミンKを摂るためには、茶葉そのものを食べる必要があるので、摂取についてはかなり大変といった問題があります。料理の方法としては茶葉の天ぷらなどがありますが、成長期の子供が好む食べ物とは言い難いでしょう。
また緑茶でも抽出液であるお茶については含まれるビタミンKの量はごくごく微量ですから、お茶を飲んでもビタミンKを摂ることができないという点についてはよく理解しておきましょう。
わかめ
わかめは100gあたり、生なら140μg、素干しの乾燥わかめなら660μgのビタミンKが含まれています。その他にはナトリウムやカリウム、カルシウムにマグネシウムなどが含まれており、ミネラルを豊富に摂取することができます。
家庭での料理で利用をする場合には、より含有量の多い乾燥わかめが利用しやすいです。味噌汁の具としてはもちろん、わかめごはんなどにすれば、成長期の子供の口にも合い、パクパクと食べてくれるでしょう。
また料理の具材として利用する他、おやつ用のパリパリわかめなどといった食品もあるので、こういったものを与えてあげるのもおすすめです。料理をせずとも様々な方法で摂ることができます。
ブロッコリー
ブロッコリーは、生の状態で100gあたり160μgのビタミンKが含まれています。その他には、カリウムやビタミンCが含まれています。
基本的にブロッコリーは茹でて食すことが多いため、さっと湯通しするだけで食べることができ、料理の手間がかからないのが魅力と言えます。
ビタミンKの1日の摂取上限目安量は12歳以上で150μgですから、他の食品から摂る栄養を考えればブロッコリーの量は食卓の添え物として食べる程度で充分です。
マヨネーズやドレッシングなどをかけてあげれば、成長期の子供も喜んで口にしてくれるでしょう。
ピーマン
生ピーマンには、100gあたり20μgのビタミンKが含まれています。その他、カロテンやビタミンCが豊富です。
緑黄色野菜の中でもビタミンKを多く含む食品ですが、子供の嫌いな食べ物のトップに君臨し続ける野菜でもあるため、これを利用してビタミンKを摂らせるというのはあまり現実的では無いでしょう。
最近では苦くないピーマンなどもありますが、香りや食感が苦手といった子供も少なくないので、料理の仕方を工夫して食べさせるというのも意外と難しいです。
ほうれん草
生のほうれん草には、100gあたり270μgのビタミンKが含まれています。鉄分やβカロテンも豊富な食品で、料理次第で子供も喜んで食べてくれるので、より良いビタミンKの供給源となってくれます。
ソテーからカレーまで、バリエーション豊かに様々な料理に用いることができるので、普段からほうれん草を食卓に取り入れていれば、成長期の子供においてもビタミンKが不足するような心配はありません。
火を通すことでかさも減り量を食べやすくなりますから、上手くメニューに取り入れてたくさん食べさせてあげられるようにしてください。好き嫌いをされることが少ない食材なので、偏食気味の子供にも食べさせやすいです。
ビタミンKを多く含んだおすすめ料理一覧
食品ごとのビタミンKの含有量などを知っても、やはり具体的な例が無いと食卓にどのように取り入れていったら良いか悩んでしまうものです。しかし逆に料理のバリエーションをいくつか知っていれば、より気軽に栄養対策をしていけるでしょう。
ビタミンKを豊富に含むほうれん草をはじめとした緑黄色野菜やわかめは、料理のパターンを覚えておくと応用を利かせやすく、メニューの幅も広がります。
カレーやロールキャベツ、ごま味噌かけやスープなどは成長期の子供も喜んで食べてくれるメニューで取り入れていきやすいものが多いですから、我が子により喜んで食べてくれるメニューを考えてみてください。
厚揚げとほうれん草のカレー風
厚揚げ、ほうれん草、たまねぎ、豚ひき肉、カレールーを使った厚揚げとほうれん草のカレー風なら、1人前あたりでおおよそ302μgのビタミンKを摂ることができます。
料理の手間がかからないとても簡単なメニューですし、カレー味なので成長期の子供も喜んで食べてくれます。厚揚げにボリュームがあるのでお腹も満腹になりやすく、食卓の定番メニューとして活躍してくれるでしょう。
偏食気味の子供については、ごはんと一緒にワンプレートによそってあげると普通のカレーと同じように箸をつけてくれやすいでしょう。
ビタミンKは厚揚げとほうれん草から多く摂取できるので、この食品の量を減らさないようにし、上手く具材のバランスを調整してみてください。子供の好きなカレールーを利用してあげると、より一層喜んで食べてくれます。
小松菜のごまみそかけ
小松菜のごま味噌かけは、茹でた小松菜100gに大さじ半分の練り白ごまをかけるだけと、料理の手間がかからないのに子供も喜んで食べてくれやすい、とてもお手軽なメニューです。
小松菜自体は成長期の子供がそれほど好む食品ではありませんが、ごまみそは味も香りも良いため、茹でた小松菜に掛けてあげるとパクパク口に運んでくれます。
小松菜自体には独特な食感も味もそれほどありませんし、子供は口に運んだ時の味で好き嫌いを決めることが多いですから、その点このメニューは非常に食べさせやすいものだと言えるでしょう。
ごまみそは市販の食品を利用しても良いですし、すりごまと味噌、だし汁もしくはめんつゆなどを利用して自作するのもおすすめです。より子供好みの味に仕上げて、美味しく食べられるようにしてください。
たらのロールキャベツ
キャベツとたら、たまねぎ、牛乳、とろけるタイプのチーズを使用して作るたらのロールキャベツなら、1人前でビタミンKを158μg摂ることができます。
みんな大好きロールキャベツなら成長期の子供も喜んで食べてくれますから、定番メニューの1つとして大活躍してくれるでしょう。
作り方は肉を利用するロールキャベツと同じで、キャベツの中に包む具材をたらに置き換えるだけです。たらと一緒にとろけるタイプのチーズを包むことで、より子供好みの濃厚な味わいを楽しむことができます。
具材を買いそろえて作っても良いですし、たらのロールキャベツは出来合いの食品が冷凍で売られていたり、またロールキャベツ用のスープなども販売されているので、こういったものを利用すると、料理の手間はぐっと省けます。
わかめを使った料理
わかめを使った料理では、じゃこと長いもとわかめのしょうが酢醤油かけなどがおすすめです。じゃこ、刻んだわかめ、すった長いもに、すった生姜と酢と醤油をかけるだけなので、とても簡単です。
小鉢としてはもちろん、わかめを細かく刻むのであれば、ごはんにかけて食べることもできます。和食好きの子供であれば、喜んで食べてくれ、ごはんがスルスルと進むでしょう。
わかめは味噌汁の具やサラダなど色々な方法で楽しむことができますが、それぞれでかなり食感や口当たり、味が変わってくるため、より子供の好みのメニューを選んであげることが大切です。
何パターンかの料理を作ってみて、反応を見てより積極的に食べてくれるものをチェックしてみましょう。
ピーマンを使った料理
ビタミンKを豊富に含みつつも、その独特の匂いと苦みから成長期の子供に毛嫌いされてしまうピーマンは、料理のメニューというよりも、どのように取り入れていくかの工夫が大切になってきます。
ピーマンは横方向に切ると独特の苦みが一層強くなってしまうので、料理をする際は縦に細く切るようにしてください。また油でコーティングすることで味や匂いを封じ込められるため、炒め物に利用するのがおすすめです。
具体的な料理としては、ささみとピーマンの炒め物などがおすすめです。塩こしょうや味付きタレなどを利用すると成長期の子供でも美味しく食べやすくなります。
特にメニューごとに専用のソースとして販売されている味付け食品などは旨みもたっぷり含まれており、子供好みのものが多いです。ピーマンに関してはこういったものも上手に利用して食卓に並べていきましょう。
食事で栄養バランスを考えるのは難しい
成長期の子供のことを考えれば、すくすくと身体が大きくなれるよう、少しでも栄養バランスを考えた料理を日々与えてあげたいと考えるのが親心でしょう。
しかし現実的に考えてみると、毎日毎食栄養満点な料理を作るというのは非常に難しいことであり、ほぼ不可能とも言えます。
子供の栄養のことだけ考えて食品を調達したり、栄養バランスを完璧に計算するというのは困難なもので、3日と続くものではありません。
しかし子供の成長においては、できる限り栄養バランスの良い食事を提供してあげなければならないことに変わりはありません。骨の成長に欠かせないたんぱく質やカルシウム、そしてビタミンKもしっかり摂っていく必要があります。
そういった場合には、やはりすべて食事で完璧な栄養を摂ろうとするのでは無く、子供用のサプリメントを利用するのもおすすめです。
子供用のマルチビタミンがおすすめ
特に成長期の子供においては肉や魚、牛乳などのたんぱく質やカルシウムなどは積極的に摂っても、野菜などのビタミン類は進んで食べてくれないといったことがよくあります。
サプリメントであれば偏食で不足してしまうこれらの栄養もしっかり補うことが可能です。
マルチビタミンサプリメントを日常的に利用すれば、料理に関する手間やストレスもグッと省け、効率良く栄養を摂取していけるようになるので、賢く活用してみてください。
まとめ
ビタミンKは成長期の子供の発育において、欠かすことができない栄養です。骨の形成そのものに大きく関わり、たんぱく質の生成にも関与してきますから、これが不足することは成長そのものに大きな問題を引き起こすと言って良いでしょう。
緑黄色野菜や海藻など、成長期の子供が敬遠しがちな食品に多く含まれている栄養ですが、料理の仕方次第でいくらでも食べさせていくことは可能ですから、できる限りの工夫をしていけるよう努めていってください。
子供が好むメニューを上手く見つけられ、それを上手に献立のルーティーンに組んでいくことができるのがベストです。
食事が難しい方はサプリメントの利用がおすすめ
毎日栄養満点の料理を作るというのはなかなかできるものではありませんので、サプリメントを上手に活用していくことも忘れないようにしましょう。
サプリメントを活用することは料理の負担やストレス、また子供の食事のストレスを減らすためにも役に立つものなので、効率良く上手く栄養を摂っていくためにも役立てていくことが大切です。
ビタミンサプリメントについては子供向けのものも充実していますから、こういったものを食事と併用して成長に必要な栄養を補っていくようにしていきましょう。