子供の成長豆知識

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とは?原因と症状、治療法まとめ

生まれてきた赤ちゃんには健康ですくすく育ってほしいのが親の願いです。しかし、赤ちゃんも病気になってしまう恐れがあります。

その一種が「先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)」です。恐らく、この病名を聞いてもピンときた方はほとんどいないでしょう。

この病気は先天的、つまり生まれつき赤ちゃんが発症する病気です。治療を行えば他のお子さんと同じように成長でき、何も問題ありません。だからこそ、

  • この病気はどのような症状が現れるのか
  • どのような治療法があるのか

以上のような知識を親として正確に理解する必要があります。そこでこの記事では、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の原因と症状、そして治療法を徹底解説します。

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先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とは?

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は生まれつきの先天性と、幼児期に発症する後天性の2つに分かれます。甲状腺の機能が低下するこの病気の多く(全体の80%)は先天性です。

さらに、発症する期間が永続性と一過性の2つに分かれ、そこから障害が起きている場所や原因によって細かく分類されます。

一般的にこの病気の検査には「新生児マススクリーニング検査」が用いられます。新生児マススクリーニング検査については後述しているのでチェックしてください。

日本小児内分泌学会」によると発症頻度は3000~5000人に1人程度です。今後、医学がさらに進歩すればもっと具体的な数値がわかるようになるでしょう。

そもそも甲状腺ホルモンとは、全身の新陳代謝を活発化させる役割や身体の成長、知能の発達など子供の成長には欠かせないものです。

甲状腺ホルモンが満足に分泌されないと、身体の成長や知能の発達の遅れなど成長発達障害にも繋がり、さらにそのまま放っておくと、回復が困難になります。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は早期発見、早期治療が大切になります。

ここまで読んで頂いた方は、この病気を“怖い病気”だと感じたかもしれません。以前までは先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)と診断されたら、成長にも障害をきたす難病だと考えられていました。

もちろん今でも難病には変わりありません。しかし、きちんと治療を行えば他の子と同じように育っていき、同じような生活を送ることが可能です。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の原因とは?

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)になる原因は2つあります。

  • 甲状腺が欠損している、または形成不全など甲状腺自体に原因がある「原発性」
  • 甲状腺に命令をだす役割がある脳の下垂体と視床下部に原因がある「中枢性」

広島市医師会だより第526号」によるとこの病気を発症している日本の子供のほとんどが前者の「原発性」で、後者の「中枢性」はほとんどいません。

なぜ、甲状腺に欠損や形成不全などの問題が発生し、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)を発症するのかは現在も詳しくは判明していません。

もっとも有力な原因としていわれているのが”ヨードの過剰摂取”です。

実際に大学病院医療情報センターによると、ヨード製剤の摂取によって赤ちゃんに先天性甲状腺機能低下症の症状が見られたと「医薬品等安全性情報147号」で報告されています。

そのため、妊娠中または授乳中の方は使用を避けるように注意が必要です。(※ヨードが多く含まれた食品は記事後半に後述しています)

親から子供に遺伝はする?

結婚している方や、結婚を考えている方がもっとも不安に感じるのが「遺伝するかどうか」だと思います。子供に遺伝してしまうと自分を責めてしまう親も少なくありません。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の遺伝性についてですが、明確なデータや根拠が存在しておらず、まだ発症の原因も特定できていないので、遺伝が関係しているかどうかはわかっていません。

ただ、一部の甲状腺ホルモン合成障害などの「原発性の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)」は遺伝が確認されています。

こども健康クラブ「甲状腺ホルモン障害」によると現在では、関係する遺伝子の構造の研究が進み、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の原因も少しずつ分かってきています。

親といっても一人ひとり状況が細かく違うので、遺伝性はないと言い切れません。もし不安が少しでもあれば、かかりつけの医師に自分の状況を説明し、相談するといいでしょう。

どのような検査方法?時期はいつごろ?

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の主な検査方法は「新生児マススクリーニング検査」によって行われます。この検査によって疑いがでた場合、血液検査やレントゲン検査などのさらに詳しい検査が行われます。

新生児マススクリーニング検査は、生後4~6日の赤ちゃんを対象とした検査です。

検査方法は足の裏から、ほんの少しだけ採血をするだけです。親としては心が痛むと思いますが、今後の健康を考えて見守ってあげてください。

北海道薬剤師会公衆衛生検査センター」によると、採血をした後の主な流れは以下のようになります。

  1. 採血(生後4~6日の赤ちゃん)
  2. 郵送(専門の検査機関へ)
  3. 検査
  4. 報告

「報告」のところは検査結果が正常であれば「採血から15日程度」で結果が郵送されてきます。それが過ぎても届かない場合は問い合わせましょう。

異常が疑われた場合は、ただちに採血した医療機関を通じてお知らせが届きます。このときに再検査が必要か、精密検査を行うかの具体的な指示があるので指示に従いましょう。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)だと診断された場合、次の検査で一時的に低下している一過性なのか、生涯にわたって低下し続ける永続性なのか調べられます。

もし、確定診断をするのが早いと判断された場合は、すぐに検査するのではなく、3歳以降まで経過観察しながら状況に応じて行われることもあります。

新生児マススクリーニング検査は、6種類の病気だけしか検査できませんでしたが、今ではタンデムマス法によって20種類以上の病気を検査できるようになりました。

タンデムマス法とは質量分析計と精密機器の2つ並べた分析機器「タンデム型質量分析計」を使った、非常に感度のよい測定機器のことで危険なことはありませんので安心してください。(参照:日本マスクリーニング学会「タンデムマスQ&A2012」より)

新生児マススクリーニング検査は無料で受けることができます。ただし、採血などの費用は自己負担になるので医療機関、またはかかりつけの医師に相談してみてください。

検査は病院や国からの強制ではなく、親が行うか選択できます。費用はかかるかもしれませんが、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)以外の病気の可能性もチェックできるので、不安な方は検査を受けてみてもいいかもしれません。

発症するとどのような症状が現れる?

上記の検査を受けることができなかった、または知らなかった方もたくさんいると思います。そこで、生後1ヶ月ごろに現れる先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の症状をこども健康倶楽部「クレチン症になると」を参考にチェックリストにしてまとめました。

  • 黄疸(おうだん)が長引く(3週間以上)
  • 便秘になっている(2日以上)
  • へそヘルニア(でべそ)
  • 体重が増加しない(体重増加不良)
  • 皮膚の乾燥
  • 気力が湧かない(不活発)、常に眠気がある(傾眠)
  • 舌が大きい(巨舌)
  • 声がかすれている(嗄声/させい)
  • 手足が冷たくなっている
  • むくんでいる(浮腫/ふしゅ)
  • 後頭部のへこみが大きい(小泉門開大/しょうせんもんかいだい)

上記のチェックリストの内、当てはまっている数が多くなるほど、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の疑いが高まります。

もし治療しないまま経過していくと、成長障害や神経発達障害などが起きる可能性があります。生後3ヶ月までに治療を開始することで知能低下を防げたとの報告もあるので、早期発見・早期治療が大切です。

チェック項目が多い場合はできるだけ早く検査を受けたほうがいいでしょう。

チェックリストの中にある黄疸(おうだん)とは眼や皮膚などの組織や汗、唾液などの体液が黄色に染まる病気です。

この病気は生後2日~2週間ほどで発症すると言われています。でも、黄疸はだいたい2週間以内には消えるといわれているので安心してください。

黄疸が2週間以上経っても消えない場合は病気の可能性があります。生後3週間以上経っても黄疸が消えない場合は、病気か先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が疑いがあるので一度医師に相談しましょう。

原発性の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の症状とは?

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)と診断される日本の子供のほとんどが「原発性」です。原発性は甲状腺が欠損している、または形成不全など甲状腺自体に原因があります。

そのなかでも原発性の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は、以下の症状が見られます。これは子供も成人も同様の症状で違いはありません。

  • やる気が湧かない(無気力)
  • 簡単に疲れる(易疲労)
  • まぶたが腫れている(眼瞼浮腫/がんけんふしゅ)
  • 寒さに敏感で1年中毛布をかけて寝ている
  • 体重が増加しやすい
  • 判断力の低下や動作が遅くなる(動作緩慢)
  • 眠気で意識が朦朧としている(嗜眠/しみん)
  • 記憶力が低下している

もし、子供がいずれかの症状に当てはまっているなら原発性の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の疑いがあります。念のため検査を一度受けてみてはいかがでしょうか。

上記の症状が当てはまり病気だと診断されたとしても、適切な治療を行えば健康に育っていきます。子供に心配をかけないためにも、親が焦らず前向きに取り組んでいくことが大切です。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の治療法について

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は「生まれつき甲状腺がない」「小さい」「あってもうまくホルモンを作れない」など、甲状腺ホルモンの産生が不足している病気です。

さまざまな検査を行い診断しますが、少しでも疑わしい場合は治療がすぐに始められます。

ただし、新生児マススクリーニング検査(集団検診)で陽性だと診断されたとしても、実際に先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)になっているのは約1/3程度だと言われています。

つまり、新生児マススクリーニング検査(集団検診)で陽性反応が出たからといって、すべて病気に結びつけるのは早いということです。

確定した診断まで数年かかる場合もあり、早期治療が理想なので、とりあえず「疑わしきは罰する(=未然に防ぐ)」といった意識で治療が始められます。

とくに生後数ヶ月間は甲状腺ホルモンが知能の発達に大きく関係しているため、この時期に早期発見・早期治療ができるのは理想的です。

かつて、この病気は知能への影響が出る病気として有名なものでしたが今はそうでありません。新生児マススクリーニング検査が行われるようになって、早期に治療を実施することができます。

しかしながら、稀に新生児マススクリーニング検査(集団検診)で発見できないケースもあります。もし、赤ちゃんの様子がおかしいと判断したときは、早めに小児科などの医療機関を受診するようにしましょう。

一般的な治療方法は甲状腺ホルモンの内服治療になります。残念ながら、診断が確定したあとはこの甲状腺ホルモンの内服治療をずっと行っていかなければなりません。

治療は1日1回甲状腺ホルモン薬のレボチロキシンナトリウム(チラージンS)を内服します。

レボチロキシンナトリウムとは「一般社団法人日本小児内分泌学会」が推奨している薬であって、各医療機関によって違う薬が処方される場合もありますので参考程度にしておいてください。

治療をするために入院は必要?

基本的な治療は通院になります。それも先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)だと確定してからは年に数回の通院で治療を続けることができます。

もちろん、毎日甲状腺ホルモン剤の内服を続けることが前提で、入院して治療する必要はありません。

とはいえ、具体的な原因を検査して詳しい病型の診断をするために、5~6歳の小学校入学前に2、3日の入院を要することが多いようです。

薬の種類と気になる副作用について

以前は、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の内服治療に「乾燥甲状腺末(チラージン)」が使用されていました。

しかし、現在は甲状腺ホルモン濃度が安定しないために使われていません。

その代わりに、レボチロキシンナトリウム(チラージンS)が一般的です。これで効果が見られない場合は「チロナミン」が使用されます。

チラーヂンS(T4製剤) チロナミン(T3製剤)
種類 サイロキシン トリヨードサイロニン
飲み方 1日1回 1日3回
吸収率 約40~70% 約90%
半減期 約7日 約1日
副作用 弱い 強い

チラーヂンSは半減期が約7日なっています。半減期は薬を服用して体内で成分が減るまでの日数です。

チラーヂンSなら1日1回の投与で甲状腺ホルモン濃度は安定し、内服を中断したとしても7日間と半減期が長いのでホルモン濃度が下がりません。

安定的に長期で治療していくなら半減期が長いチラーヂンSが最適だと言えます。また、チラーヂンSはサイロキシン(T4製剤)で、海外の研究「https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17201800」で副作用の可能性も低いと報告されています。

気になる副作用について

どのような治療をしようが薬の副作用は気になりますよね。薬の副作用には2種類あります。

  • 薬自体は無関係なアレルギー反応
  • 薬の作用が思ったより強く出たり、予想外の反応が出る

本来人間の体にないものが体の中に入った場合、それらが人の体に対してなんらかの作用をもたらします。それが治療に役立つときもあれば、体に合わず副作用として出ることもあります。

では、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の内服治療に用いられる「チラーヂンS」はどうなのか。

チラーヂンSは、人間の体にもともと存在している甲状腺ホルモンを補うことを目的としています。わかりやすくいうと、子供の成長期の栄養を補助するための身長サプリと同じです。その目的は”不足した分を補うこと“です。

理論上は、すでに私たちがもっているものを体の中に入れるだけなので、副作用は起きません。もちろん、目安を間違えて過剰に飲めばなんらかの副作用があるかもしれません。

しかし、お医者さんから指示された用量・用法を守っている内は副作用の心配はないでしょう。

ただし、副作用にも特例があります。それはアレルギー反応です。

主成分とは関係のない成分(部分アルファー化デンプン,トウモロコシデンプン、D‐マンニトール,その他3 成分)にアレルギーが出た事例がこども健康倶楽部「天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の薬」によると報告されているので注意が必要です。

通常の治療(チラーヂンSの内服治療)がうまくいかない場合

もし、チラーヂンSの内服治療がうまくいかない場合はより強力な「チロナミン」を使います。チロナミンはT3製剤なので、チラーヂンS(T4製剤)の約3倍の作用があります。

当然その分、副作用も強いので初期段階での治療では使用されません。チラーヂンSとは飲み方も変わり「各種甲状腺ホルモン製剤の換算量」によると、

  • チラーヂンS(T4製剤) ⇒ 1日に1回
  • チロナミン(T3製剤) ⇒ 1日に3回

このように決められています。また、チロナミン(T3製剤)は半減期が約1日と短く内服後の時間によって変化するため、ホルモン濃度が一定ではありません。

初期段階の治療はチラーヂンS(T4製剤)で症状が改善するか経過をみて、それでダメだったらチロナミン(T3製剤)に移行する流れが基本的な治療方針です。

甲状腺機能低下症にかかるのは子供だけじゃない!

先天的な病気ではありませんが、甲状腺機能低下症は成人もかかる病気です。医学的には橋本病の患者の約1割が甲状腺機能低下症になると言われています。その治療に使われる甲状腺ホルモン投与によって、2つの注意点が勧告されています。それが「狭心症・心筋梗塞」と「Adrenal Crisis」という病気です。そのため、甲状腺ホルモンを投与する前に副腎皮質ホルモンなどで様子をみて、T4製剤の投与することになります。(参照:甲状腺疾患「診断と治療の進歩」)

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の予防・治療法

具体的な原因がわかっていないことと、先天的なものであるため予防は難しいのが現状です。しかし、妊娠中の過剰なヨード摂取が胎児の甲状腺になんらかの影響を与えるのではないかと示唆されています。

世界各国ではヨード不足による先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が多く見られたとも報告されています。しかしながら、極端に不足したり、摂りすぎたりしない限りはそこまで問題ありません。

日本人は海藻類や魚類を好んで食べるのでヨード不足になることはほとんどありません。それよりも過剰摂取に注意が必要です。

ヨードが多く含まれているのは以下の食品になります。

ヨードを多く含む食品(食品100g中)

昆布 13,000mg
わかめ 7,800mg
味付けのり 6,100mg
いわし 270mg
さば 250mg
たい 36mg
鶏肉 50mg
牛肉 16mg
卵黄 48mg
黒ゴマ 58mg

普段から食べているものがたくさんあると思います。日常生活ならそこまで気にする必要もありませんが、妊娠中はヨードが多く含まれる食品を食べすぎないようにしましょう。

治療にかかる費用について

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は「小児慢性特定疾患」の対象疾患となります。そのため、各市町村の役所で認定を受けると医療費の助成を受けれます。

しかし、乳幼児医療費受給者証を使えば同様の助成を受けられるので、この枠内に収まる年齢なら一般的に申請はしません。

管理人の私も2児の母親で、子供がまだ小さいころは風邪をこじらせるたびに病院に連れて行っていました。その際に、乳幼児医療費受給者証を提示すれば医療費が無料になりました。

市町村によってはいったん仮払いをして後で返金してもらえるところもあります。

乳幼児医療費受給者証は先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)も対象になっているので、これを利用すれば各市町村が対応している助成が受けられます。

ちなみに乳幼児医療費受給者証の対象年齢は、各自自体によってさまざまです。東京23区は中学3年生までのところが多く、なかには高校3年生までいける地域もあります。乳幼児と聞くと「小学生くらいまで?」と思いがちですが、そうではありません。その負担額は各自自体によって違うので気になる方は各自自体に問い合わせてみましょう。

そして乳幼児医療費受給者証の助成が終わるまでに、次の助成を受けるために小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢事業)の申請をします。申請は小学校を卒業するまでに行うのが基本です。

これは継続申請で20歳未満まで助成が受けられ、各都道府県と自己負担分を折半します。「小児慢性特定疾病の医療費助成に係る自己負担上限額」によると、具体的な負担額は世帯の所得税課税年額によって自己負担額が変わります。

わかりやすいように流れを説明すると、

  1. 乳幼児医療費受給者証(最大で高校3年生まで※各市町村による)
  2. 小児慢性特定疾患を申請する(小学校卒業まで)
  3. 小児慢性特定疾患を継続申請(20歳未満が対象)
  4. 自己負担(20歳以上)

この乳幼児医療費受給者証と小児慢性特定疾患の申請期間が重なっているところがわかりにくいですね。「広島大学病院小児科外来」では、乳幼児医療費受給者証の対象中は申請しなくてもいいと書かれています。

ここは各市町村で変わってくる内容なので、直接問い合わせてみてどのような流れで申請するのか相談するのが一番だと思います。

自己負担になる20歳以上はどれだけ治療費がかかるの?

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は3歳以降の検査によって一過性のものなのか、それとも永続性なのかを判断します。もし、永続性だと判断された場合は生涯にわたった投薬が必要になります。

つまり、成人になったからといって治療を中止するわけではありません。

治療費は検査項目によってもさまざまです。一般的な治療に用いられる薬「チラーヂンS(T4製剤)」だけの処方なら概算で1000円~2000円程度です。

そこに検査費用が加算され、治療費は1万円前後だと言われています。(※個人差あり)

生まれつきの先天性疾患なのに、大人になると助成が受けられなくなるのは少し矛盾を感じますが、社会情勢や病気の重症度を判断して、しかるべきところに支援をまわすのは現在の医療制度において仕方のないことかもしれません。

小児慢性特定疾患は本来18歳までが対象となりますが、延長して20歳まで助成を受けることも可能です。受けられる助成は最大限に利用していくのが費用面の負担を減らす最善の策だと思われます。

まとめ

以上、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の原因や症状、そして治療方法や費用について解説しました。

この病名を聞くとなんだか難しい病気のように感じてしまい、不安に襲われる方も多いはずです。でもこの病気は早期発見・早期治療(内服治療)で子供の成長や発達への影響を抑えることができます。

とくに新生児マススクリーニング検査が開始されてからは、早期に治療ができるようになり子供の成長発達面がかなり改善されました。

たとえ、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)だと診断されたとしても、実際に発症した子供を見て病気だなんて誰も気づきません。甲状腺ホルモンの治療は生涯行う必要がありますが、見た目には何の特徴もないですし、生活していくうえで制限を受けることもありません。

そして、他の子供と同じように健康ですくすく成長することができます。

もちろん、普通に学校に行くこもできますし、勉強やスポーツなど周りの子供たちと一緒に行うことができます。

この病気がわかって親が自分自身のことを責める方も多いですが、ただ”甲状腺ホルモンの産生が苦手なだけ”です。

甲状腺ホルモンの内服治療も特別なことではなく「わが子には必要なサプリメント」だと思えるようになれば、親として少し気が楽になるかもしれません。

何度も早期発見という言葉を繰り返してきましたが、発見が遅れたとしても諦めてはいけません。きちんと治療法はあるので、何か異変を感じたらすぐに最寄りの小児科か医療機関に相談するようにしましょう。

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