子供たちの健やかな成長は親の願いでもあります。子供たちが健康でしかも大きく育つためには、栄養管理が必要不可欠です。中でも子供たちが摂取する必要がある栄養素があります。それはアミノ酸とタンパク質です。
タンパク質は身体を形成する細胞を作り出すのにどうしても必要な栄養素です。体には何十兆個もの細胞があり、毎日それぞれが入れ替わっています。細胞分裂が促進されると子供の成長は急速に進みます。ですからタンパク質はどうしても必要なのです。
もう一つ、どうしても必要な栄養素がアミノ酸です。アミノ酸はタンパク質を作り出すのに欠かせません。アミノ酸には非必須アミノ酸と必須アミノ酸があり、両方とも子供の成長と身長の伸びに必要不可欠です。
[mokuji]非必須アミノ酸とは?
子供の成長に欠かせないのがアミノ酸ですが、アミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸とに分かれます。それぞれの違いについては後述しますが、それぞれどのような成分なのかを知っておくことが大切です。
非必須アミノ酸は必須アミノ酸同様、子供の成長に寄与する栄養素です。アミノ酸が複合体となり、タンパク質が形成されるとやがて細胞が作り出されます。細胞分裂が活発化することで、子供たちはぐんぐん成長します。
人間にはもともと自力向心力という機能が備わっています。自力向心力とは言い換えれば、古くなった細胞と新しい細胞とが入れ替わることを指します。
さて非必須アミノ酸という言葉が幾度も出てきますが、このアミノ酸は他のアミノ酸とどのように異なるのでしょうか。簡単に言うと、非必須アミノ酸とは体内で形成されるアミノ酸のことを指します。
ただし非必須アミノ酸のうち、子供の時にだけ生成できないものが存在します。それがアルギニンです。また、非必須アミノ酸の成分は多種多様です。
非必須アミノ酸と必須アミノ酸の違い
非必須アミノ酸と子供の成長には密接な関係があります。非必須アミノ酸が体内で生成されることで、細胞分裂が促進されます。
成長ホルモンが脳から分泌されると、新たな細胞が作り出され、筋肉や骨を作り出します。ですから非必須アミノ酸は子供の成長になくてはならないものです。
非必須アミノ酸と必須アミノ酸の違いは、体内で生成されるかどうかということです。非必須という意味は、特に摂取をしなくても体内で作り出されるので、わざわざ摂取する必要がないという意味で非必須アミノ酸と呼ばれています。
非必須アミノ酸と子供の成長(身長)との関係性
非必須アミノ酸は子供の成長を促します。非必須アミノ酸は基本的に11種類あります。それは次の通りです。
非必須アミノ酸 |
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アラニン |
グルタミン |
アルギニン |
アスパラギン |
システイン |
プロリン |
セリン |
チロシン |
グリシン |
アスパラギン酸 |
グルタミン酸 |
これらの非必須アミノ酸は、大人の体内ではすべて自動的に作り出されるようになっていますが、子供については作り出されないものもあります。
そのため大別する段階で非必須アミノ酸に分類されるものの、子供に関して言えば必須アミノ酸に含まれるものがあります。その一つがアルギニンです。アルギニンは、子供の成長や身長を伸ばすのに必要な、成長ホルモンの分泌に作用するアミノ酸です。
アルギニンは速やかに分解されるため、特に必要量を合成できない子供では必須アミノ酸になっている。代謝産物である一酸化窒素 (NO) を介して、成長ホルモンの分泌促進、免疫機能の向上、脂肪代謝の促進など、生体内で種々の機能に関与している。
成長ホルモンが多く分泌されると、身体は大きく成長します。成長ホルモンの分泌量は人によって異なりますが、多くなればなるほど子供は大きくなるのです。
身長差が生まれる理由は遺伝的な要素があるとはいえ、成長ホルモンの分泌量も深く関係しています。そのため非必須アミノ酸のうち、子供が体内で生成できないものについては、意識的に摂取しなければならないのです。
子供が積極的に摂取したい11の非必須アミノ酸
子供の成長にどうしても欠かせないのが非必須アミノ酸です。非必須アミノ酸とは、体内で作り出されるアミノ酸のことです。反対に体内で作ることができないアミノ酸のことを必須アミノ酸と呼んでいます。
アミノ酸は全部で20種類ありますが、このうち必須アミノ酸は9種類、非必須アミノ酸は全部で11種類あります。この非必須アミノ酸についての特徴と、子供の身体に与える影響をご紹介していきましょう。
アラニン
アラニンは体内で作り出されるアミノ酸ですが、健康な体を作り上げるにはより多くのアミノ酸が求められます。成長期になると体内で生成されるアミノ酸では足りなくなることから、外部からの摂取も必要になるわけです。
アラニンの特徴は、糖質の代謝をサポートすることです。体は幾十兆もの細胞から成り立っていて、細胞内に含まれるアミノ酸で最も多いのがアラニンです。しかもアラニンはエネルギー源ですから、不足すると体力が低下します。
アラニンは免疫力の向上をサポートします。病気になりにくい身体を作り出すのに、アラニンはなくてはならないアミノ酸です。また、グリコーゲンの産出に欠かせない肝機能を高める役割もあります。主にシジミやホタテなどの貝類に多く含まれます。
グルタミン
グルタミンは非必須アミノ酸の一つで、子供の成長を助ける栄養素の一つです。グルタミンの役割は主に筋肉を作り出すことです。グルタミンが不足すると筋肉が生成されなくなるため、虚弱体質の原因になることがあります。
身体の成長に、筋肉の生成は欠かせない要素です。筋肉は骨格を支えるだけでなく、運動能力を高め、身体を安定させるのに役立つ組織です。トレーニングで筋肉を鍛えることができますが、その際にグルタミンが多く作り出されています。
グルタミンは胃粘膜の形成にもかかわっています。胃粘膜を強化し、消化吸収を助ける役割があります。身長を伸ばすのに必要な栄養素を効果的に吸収するためにも、グルタミンは欠かせません。
グルタミン酸
グルタミン酸は非必須アミノ酸の一つですが、グルタミンとは異なるアミノ酸に当たるので間違えないようにしてください。グルタミン酸は子供の成長にある程度の役割を果たしますが、過剰摂取が問題になっています。
グルタミン酸というのはいわゆる化学調味料のもとになる原料です。うまみ成分はこのグルタミン酸に由来しています。化学調味料はカップラーメンやスナック食品などに多量に添加されているため、過剰摂取に陥る傾向がみられます。
グルタミン酸を摂取することで疲労回復にある程度の効果を発揮しますが、摂取し過ぎると興奮状態になり、身体のしびれなどを起こすようになります。化学調味料が体に及ぼす影響は計り知れません。
アスパラギン酸
アスパラギン酸も非必須アミノ酸の一つで、このアミノ酸は子供の成長に欠かせないアミノ酸です。アスパラギン酸とアスパラギンは言葉上は似ていますが、それぞれ違う働きをする物質なので混同しないようにしましょう。
アスパラギン酸はアスパラガスに含まれるアミノ酸の一つです。アスパラギン酸の役割はカリウムやマグネシウムの吸収を助けることにあります。これらの物質は身体を形成するのに必要不可欠です。
アスパラギン酸は栄養ドリンクの成分にもなっています。疲労を取り除くだけでなく、老廃物の処理にもかかわる物質です。
アスパラギン酸の摂取により新陳代謝が促進されることで身長が伸び、健康な体を作り出すのです。主にアスパラガスやサトウキビなどに多く含まれています。
アスパラギン
非必須アミノ酸の中でも子供の成長に必要不可欠なのがアスパラギンです。アスパラギンとアスパラギン酸とは分子構造が異なるため、それぞれ別のアミノ酸に分類されます。アスパラギンは研究過程の中で最初に発見されたアミノ酸です。
アスパラギンは、身体の育成に必要不可欠なエネルギーの生産を助ける役割があります。エネルギーを作り出す過程でアスパラギンが細胞内で増加しているのです。アスパラギンはエネルギーを生産するだけでなく、持久力を向上させるのにも役立ちます。
強い身体を作りなおかつ、ストレスに打ち勝つよう助けてくれるのです。子供にとって持久力の向上は課題の一つです。虚弱体質からの脱却を図るためにはアスパラギンはどうしても必要になります。
システイン
全部で11ある非必須アミノ酸の一つを構成するのがシステインです。システインは子供が成長する過程で体内で生成されていきます。大人になるとシステインが減少するため、システイン不足によるシミなどが発生する原因になります。
システインは肌のターンオーバーを促進する働きに加えて、体内から生成されるメラニンを抑制する効果があります。メラニンはシミなどを作り出す原因ですが、システインを投与することで、メラニンが減少しシミが抑制されることが分かっています。
システインは毛髪の育成にも関与します。大人になるにつれてつややかな髪の毛が生え出てきますが、毛髪の育成にかかわっているのもシステインです。身長の伸びとは関連はないものの、大人らしい身体を作り上げる効果があるのです。
プロリン
非必須アミノ酸は子供の成長に必要不可欠です。大人になっても非必須アミノ酸は分泌され続けますが、年齢とともに非必須アミノ酸の分泌量は低下します。子供が健やかに成長できるのは、非必須アミノ酸が豊富に分泌されるからです。
非必須アミノ酸の一つがプロリンです。プロリンは体内のコラーゲンを生成したり修復したりする働きがあります。女性であればコラーゲンがどのような働きをするかがよくお分かりだと思います。コラーゲンは皮膚をつややかにする作用がある物質です。
子供にとってコラーゲンはなくてはならないアミノ酸です。なぜならコラーゲンは脂肪の燃焼に深くかかわっているからです。代謝を上げ、新陳代謝を促すことにより、身体はどんどん大きくなっていきます。
グリシン
グリシンは非必須アミノ酸の一つで、アミノ酸の中でも最も古いものであることが分かっています。研究によれば、地球に生命が誕生するよりもはるか前からグリシンが存在していたことが明らかになっています。
グリシンは子供の成長をサポートする非必須アミノ酸です。その理由として、グリシンは睡眠を促す効果があるからです。例えばグリシンの分泌が減少すると、睡眠周期が不安定になったり、深い眠りに相当するレム睡眠の回数が減少したりします。
年齢が進むにつれて眠りが浅くなるのは、このグリシンが不足するためだといわれています。グリシンの分泌が多い若者は睡眠をよくとることができます。若い時は何時間でも寝ることができたというのは、この非必須アミノ酸が関係しているからです。
セリン
セリン(正式名称はL-セリン)は非必須アミノ酸の一つです。子供の成長過程においてセリンは記憶力や学習能力の向上に寄与しています。セリンは細胞一つ一つに働きかけますが、特に脳細胞の働きと関係があります。
セリンが分泌されると、脳細胞が活性化されます。子供のうちは脳がどんどん成長し大きくなっていきます。成長の過程で脳細胞が活性化されると、記憶力が向上し、新しい物事をどんどん吸収していくのです。
子供が言語だけでなく、さまざまな知識を習得できるのは、セリンが脳細胞内で活発に分泌されているからです。特に学習をしなくても自然に言葉を覚えられるというのは実は驚くべき能力と言えます。なぜなら人間以外の動物は会話できないからです。
チロシン
チロシンは非必須アミノ酸の一つで、セリン同様子供が成長する過程で特に脳の活動を促進させる役割を果たします。子供の学習能力は大人のそれをしのぎます。なぜなら脳の中でチロシンがより多く分泌され、より多くのことを吸収できるからです。
チロシンは非必須アミノ酸ですが、チロシンを生成するもとになるのが必須アミノ酸です。チロシンを作り出すアミノ酸はフェニルアラニンという物質です。この物質が細胞内でチロシンに変化し、脳の発達に強力な影響を及ぼします。
チロシンが脳内で分泌されると、記憶力が向上するだけでなく、脳の思考回路をより活発化させます。思考力を強化し、考える力を生み出すのがチロシンですから、子供の思考力向上を願うなら、積極的に分泌されるようにする必要があります。
アルギニン
非必須アミノ酸の中でも特殊なアミノ酸がアルギニンです。アルギニンは非必須アミノ酸に分類されますが、実は子供の時は自動的には生産されません。成長の過程でアルギニンを外部から取り入れる必要があります。
アルギニンは子供の成長に欠かせない物質です。アルギニンが作用することで、身体が大きくなるだけでなく、骨格や筋肉が生成されていきます。アルギニンの分泌量が減少すると骨格は弱々しくなってしまうのです。
子供のうちにアルギニンが活発に分泌されると、大きな体へと成長していきます。これは細胞にアルギニンが働きかけるためです。活発に細胞分裂が進み、やがて大人らしい体つきになっていきます。
アルギニンは血管を強化したり、免疫力を高めたりする役割もあります。子供のうちに血管が強化されることで、健康で強い体が作り出されていきます。
また、病気になりにくい体を作り出すこともできます。体の成長にトータルにかかわるのがアルギニンということを覚えておきましょう。
アルギニンは体内で作り出せない非必須アミノ酸
非必須アミノ酸の中でも、アルギニンは子供の成長になくてはならない物質です。しかもアルギニンは体内では生成されないアミノ酸なので、子供のうちは必須アミノ酸に分類されます。大人になるにつれて、体内で作り出されるようになるのです。
アルギニンは20種類のアミノ酸の一つで、前述の通り子供のうちは体内では作り出されません。ですから子供が成長するためには、アルギニンを定期的に摂取する必要があります。このことを知らないでいると、子供の成長に影響が及ぶ可能性が有ります。
アルギニンを子供が効果的に摂取するために、アルギニンを含む食品を積極的に食べさせることが必要です。また、すべての食品にアルギニンが含まれているわけではないため、アルギニンを含む食品類を意識的に食べさせる必要があります。
先ほどアルギニンは子供が作り出せないアミノ酸という話をしましたが、全く生産されないという意味ではありません。大人の時ほど分泌量が多くはないため、どうしても補わないといけなくなることだけは覚えておくことをお勧めします。
ちなみにアルギニンを多く含む食品は次の通りです:
牛肉や鶏肉、牛乳にごま、そしてレーズンや玄米、またチョコレートやオートミール、そしてナッツなどです。これらの食品を食事に取り込むことでアルギニン不足を補うことができます。
アルギニンは成長ホルモン分泌に重要成分
アルギニンがなぜ子供の成長に必要なのかというと、子供の成長にとって最も大切な成長ホルモンの分泌を助ける効果があるだけでなく、成長ホルモンをより多く分泌するためにアルギニンが作用するからです。
成長ホルモンというのは脳下垂体と呼ばれる場所から分泌される物質です。成長ホルモンは大人になっても分泌され続けますが、分泌量は成長期を過ぎると極端に減少してしまいます。つまり成長期には成長ホルモンが大量に放出されるのです。
成長ホルモンが分泌されることでどのような利点があるのかというと、まずは身体の形成を助ける効果があるという点です。骨や筋肉など、成長に欠かせない体の各部は成長ホルモンの分泌により、細胞が活発に動くことで形成されていきます。
成長ホルモンは脂肪の代謝を助けるだけでなく、代謝を上げる効果もあります。大人になると中性脂肪が増えていきますが、これは成長ホルモンの分泌が減少し、代謝が低下するためです。代謝が進むことで、脂肪は筋肉に変換されます。
アルギニンがなければ、このような成長は決して起きません。また、アルギニンが活発に分泌されることで、免疫力が向上し、病気になりにくい体が作り上げられていきます。つまり子供が成長するためにはアルギニンは欠かすことができないのです。
まずは食事から!不安な場合は子供用サプリで補給
アルギニンは非必須アミノ酸の一つですが、子供のうちは生成される量が少ないため、成長を助けるために、アルギニンを多く含む食品を積極的に摂取する必要があります。
アルギニンがどれくらいの量必要になるのかということや、どのような食事をとればよいかを知っておく必要があるでしょう。
子供が成長に必要な一日当たりのアルギニンの量は1000~8000mgです。これだけの量のアルギニンをとるためにどのような食事を採ればよいのでしょうか。
アルギニンを摂るための食事
例えば鶏肉や豚肉には、100グラム当たり1.5グラムのアルギニンが含まれます。ゴマや大豆のアルギニンは100グラム当たり2.7グラムです。
鳥の照り焼きとみそ汁、大豆の煮つけ、胡麻和えなどを食べるなら、ほぼ一回で一日分のアルギニンを摂取できる計算になるでしょう。そのほかにも鰹節や落花生などの食品にアルギニンが含まれています。
バランスの取れた食事を採ることで、アルギニンを効果的に摂取できます。もし食事が偏りがちになりそうであれば、サプリメントで補うことができるでしょう。ただしサプリメントは控えめにして、できるだけ食品で摂取することをお勧めします。
まとめ
非必須アミノ酸と必須アミノ酸の違いを学びましたが、それぞれ子供の成長に必要不可欠です。アミノ酸を取らなければ細胞は作り出されないので、成長は事実上止まってしまいます。子供が大きく育つためにもアミノ酸はなくてはならないものです。
非必須アミノ酸は体内で作り出されるとはいえ、常に十分な量のアミノ酸が分泌されるとは限りません。そのため、非必須アミノ酸についての正しい知識を取り入れて、積極的に摂取していきましょう。
非必須アミノ酸のうち、アルギニンがとても重要な物質であるということに気づかれたことでしょう。アルギニンは成長ホルモンの分泌を助け、健やかで大きな身体を作り出す役割を果たしていくからです。
アルギニンの摂取は食事もしくはサプリから
アルギニンは、子供のうちは身体のなかでわずかしか作り出されません。このことは子供がより積極的にアルギニンをとる必要があることを示しています。そのためにもバランスの取れた食事を心がけることが大切です。
肉や乳製品、ゴマなどの趣旨類にはアルギニンが多く含まれています。それに加えてサプリメントを摂取することで、効果的にアルギニンを取り入れることができるでしょう。