卓球の選手を見ると、近年は高身長のプレーヤーが増えたように見えます。そのことは世界のトッププレイヤーの身長をチェックすると良く分かるでしょう。ランキング20位までの男性選手の内、9名までが身長190cm以上なのです。
ただし1990年代の世界大会を見る限りでは、特に大柄の選手が活躍していた様子は見られませんでした。特に女子選手には小柄で小回りの利くタイプのプレーヤーの活躍も目立っていたくらいです。
今回は卓球選手にとって身長はどう関係しているのか?本当に長身プレーヤーが有利なのかを徹底的にチェックしていきます。
卓球選手の適正身長は?身長との関係性
近年の卓球選手の傾向は、長身タイプで鋭いドライブを打ち込めるプレーヤーが活躍しています。世界のトップランカーはほぼ170cm以上で、バスケットボール選手のように190cm近い長身選手もタイトルを取っています。
長身選手がランキング上位を占めている理由には、やはり打ち込むボールの破壊力やスピードが関係しているでしょう。
2000年度の公式ボールのサイズが2mm大きくなり、反発速度も回転力も低下しています。また近年ではセルロイドからプラスチック製のボールへと主流が移って来ていて、試合内容に変化が出てきました。
ボールの変化事情から、現代の卓球界では長身プレーヤーの活躍が目立つ様になったとされています。ちなみに卓球では男女ともに175cm以上を長身プレーヤーとしていて、167cm以下の選手を小柄プレーヤーと呼ぶ傾向があります。
ただし、長身プレーヤーにもデメリットがあり、小柄なプレーヤーが機敏で素早い動きをすることで、身長差をカバーして勝利する場面も頻繁に見られています。一概に背が高いことが有利なスポーツと言えないのが実際のところでしょう。
卓球における身長が高いメリット・デメリット
身長が高い場合のメリットですが、手足が長いためにスイング半径が大きく、それで両ハンドの威力が高まります。
またネット前に落とされたボールにも手が届きますし、足を止めても球に届きますから、体がブレずに正確なショットが可能になります。
またドライブを振りぬきやすいこと、さらにドライブのパワーがあること、足を使えば両サイドの攻撃に対応できることもメリットです。
デメリット
デメリットとしては、視点が高いのでネットギリギリの低い軌道のスマッシュやドライブを拾い難いことがあります。
他にもミドルレンジの攻撃に対して小回りが利きにくいこと、相手が大きく揺さぶってきた場合にフットワークが追い付かないこともデメリットでしょう。
身長が低いメリット
一方、身長が低い場合ですが、低い球に強いのがメリットです。卓球はワンバウンドさせるのがルールですから、スピードを出すために軌道は低めになりがちです。このラリーに強いのです。
またフットワークが軽く、早いピッチを出しやすいなどもそうです。デメリットは、下がってのプレーに威力が出し難いこと、両サイドに振られると届き難いこと、ドライブ・スマッシュの威力が弱めになることでしょう。
卓球は身長が伸びるスポーツ?伸びないスポーツ?
卓球をしている選手には長身プレーヤーが目立って活躍していますが、では卓球をすると身長が伸びてくるのでしょうか?
バレーボールやバスケットボールでもよく言われていることですが、本当に卓球には身長を伸ばす要素があるのでしょうか?
ブログなどの体験談を読みますと、成長期の子供が卓球をしていてグングン背が伸びたと喜びを語っていることがよくあります。また実際に有名な卓球選手が、『卓球には身長を伸ばす効果がある』という意見を語ってもいます。
では、その真意についてちょっと考えてみましょう。具体的には骨の成長に役立つ運動であるかどうかについてチェックしてみます。
骨に縦方向に刺激が加わると身長促進に
卓球に身長アップの要素があるかどうか?この点を考えるにあたって、まず子どもの身長が伸びる原因をチェックしましょう。
成長期では骨の成長が肝心です。身長が高くなるということは骨が伸びることで、そのためには縦方向の刺激が有効とされています。
それは、この刺激によって成長ホルモンの分泌が活性化して、骨端線が開き、骨の増殖が促進するからです。ただし、過度の運動は成長を阻害するために、運動量も考えましょう。
背を伸ばすには骨に縦方向の刺激を適度に加え続けることになります。これは歩くよりも走る運動、時に跳ねたり、しゃがんだりする運動を指します。
鬼ごっこや縄跳びや石蹴りといった子供の遊びは、そのまま全て骨を育てる運動になっています。つまりリズミカルな動きなら有効ということでしょう。
そこで卓球ですが、こじんまりとした動きで見た目は地味ですが、足も手も腰も肩も、全身を使ってプレーをするために、ちゃんと縦方向の動きは入っています。特に継続的にステップを踏んでいますから、これが縦方向の刺激として有効です。
日本&世界代表チーム選手の身長は?
では、実際に卓球選手として有名なトッププレーヤーの身長を確認しておきましょう。日本選手からは水谷隼さん、松平健太さん、張本智和さん、木造勇人さん、松島翔空さんといった男性選手陣。
そして石川佳純さん、伊藤美誠さん、佐藤瞳さんの3人の女性選手を見ていきます。
海外選手からはオフチャロフ選手、馬龍選手、樊振東選手、許シン選手の身長を紹介して、それぞれの選手の特徴をチェックしていきます。
日本人男性「水谷隼・松平健太・張本智和・木造勇人・松島輝空」
これから紹介する選手は2018年デビューの松島輝空選手を除いて全て世界ランク上位の有名選手です。
選手名 | 世界ランク | 生年 | 出身 | 身長 | 体重 |
---|---|---|---|---|---|
水谷隼選手 | 世界ランク5位 | 1989年生まれ | 静岡県 | 172cm | 63kg |
松平健太選手 | 世界ランク19位 | 1991年生まれ | 石川県 | 169cm | 62kg |
張本智和選手 | 世界ランク61位 | 2003年生まれ | 宮城県 | 172cm | 61kg |
木造勇人選手 | 世界ランク65位 | 1999年生まれ | 愛知県 | 165cm | 未確認 |
松島輝空 | なし | 2007年生まれ | 京都府 | 127cm | 32kg |
それぞれが10代20代のトッププレーヤーです。この中で30才と最年長の水谷隼選手は平均的な身長ですが、若干15歳の張本智和選手は既に水谷隼選手と同じ身長まで育っています。今後を考えれば、かなりの長身プレーヤーとなるでしょう。
また松平健太選手は既に成長期を終えていて、現在169cmと平均的な身長の選手です。また木造勇人選手は165cmと小柄ですが、まだ成長期の途中ですので、今後に注目でしょう。そして11歳の松島輝空選手は今後も身長が伸びていくと思われます。
世界を舞台に活躍している選手でも、年齢によって身長の違いが見られます。大まかではありますが、若い世代の選手の方が長身だと言えるかもしれません。では次に海外のトップランカーも見てみましょう。
海外男性「オフチャロフ・馬龍・樊振東・許シン」
では、海外の有名選手のケースをチェックしてみます。世界ランキング上位の4名はほぼ中国人選手で網羅されています。ではひとりひとり見ていきましょう。
選手名 | 世界ランク | 生年 | 出身 | 身長 | 体重 |
---|---|---|---|---|---|
オフチャロフ選手 | 世界ランク4位 | 1988年生まれ | ウクライナ・キエフ出身 | 185cm | 79kg |
馬龍選手 | 世界ランク6位 | 1988年生まれ | 中国遼寧省出身 | 176cm | 未確認 |
樊振東選手 | 世界ランク1位 | 1997年生まれ | 広東省広州市出身 | 173cm | 未確認 |
許シン選手 | 世界ランク3位 | 1990年生まれ | 中国江蘇省徐州出身 | 181cm | 75kg |
この中では唯一のヨーロッパ系プレーヤーであるオフチャロフ選手は、卓球界の世界ランカーでも一際目立つ185cmもの長身選手です。彼の場合はドライブの威力もずば抜けていますが、体の割には機敏な動きでガードの固さも強さの秘密です。
これは中国選手の許シン選手も同様で、現代では長身に加えて優れた身体能力を兼ね備えた選手が活躍する時代だと言っても良いかもしれません。もちろん他の2人の中国選手は平均的な身長ながらも、世界トップランカーの座をキープしています。
この事実から見ますと、単に長身ということが卓球での条件にはなっていないことです。卓球は小さなスペースをフルに使って、しかもハイスピードの攻防を繰り広げるスポーツですのであらゆる身体能力の統合が要求されるということでしょう。
日本人女性(長距離)「石川佳純・伊藤美誠・佐藤瞳」
では、次に日本女子の有名選手をチェックしてみましょう。
選手名 | 世界ランク | 生年 | 出身 | 身長 | 体重 |
---|---|---|---|---|---|
石川佳純選手 | 3位 | 1993年生まれ | 山口県山口市出身 | 157cm | 49kg |
伊藤美誠選手 | 5位 | 2000年生まれ | 静岡県磐田市出身 | 150cm | 45kg |
佐藤瞳選手 | 9位 | 1997年生まれ | 北海道函館市出身 | 163cm | 52kg |
このように日本女子プレーヤーには小柄な選手の活躍が目立ちます。海外の大型選手のパワーに対し、テクニックや粘りで対抗しているのが特徴と言えるでしょう。
また、彼女たちは一様に幼い時から卓球をしていますが、特に身長が急激に伸びた様子はありません。このことから、卓球が必ずしも成長率をアップさせるとは限らないことが分かります。
卓球は背が高い方が有利に働く場合が多い
ここまで説明してきた通り、公式ボールの規格変更を機に、選手たちのプレースタイルにも変化が見られています。それはパワープレーを中心とする攻撃の流れで、体格的に優れた選手が優位に立つようになってきました。
実際に世界トップランカーには、180cmを超える長身プレーヤーの割合が増えてきています。試合の勝敗を決める要素として、身長の高さを利用した攻撃が功を奏していることも確かです。
ですから卓球界では、選手の平均身長がそれ程高い訳ではないのです。この点について、もう少し詳しく見ていきましょう。
身長が低い人はどうしたらいいのか?
プロ卓球選手を目指している子供たちはたくさんいます。そこで、小学生の成長期に身長を伸ばす工夫をしてみると良いでしょう。成長促進のカギは、充分な栄養補給・規則正しい睡眠習慣・骨に縦方向の刺激を与える適量の運動です。
よく食べて、よく寝て、よく遊ぶが基本です。ただし、現在の食習慣は成長を阻害する人工添加物が多く、体を作るタンパク質やカルシウムなどの栄養素が不足しています。まずは食事の見直しが必要でしょう。
定時に寝る習慣も大事です。ゲームやスマホでの夜更かしは避けたいものです。もちろんよく野外で遊ぶ事、あるいは卓球の練習メニューを工夫することもできるでしょう。
ですが、結果として身長が伸びなくても心配する事はありません。先にも述べた通り、日本人選手の多くが170cm前後でも素晴らしい活躍をしています。体に合ったテクニックを磨く事で、充分通用するスポーツだと理解しておきましょう。
リオ五輪の日本選手の平均身長
スポーツの種目によっては身長が高い方が有利になると、成長期の頃から身長を高くする工夫をいろいろとしている方は多いでしょう。
その努力が功を奏して、長身でスタイルの良い成人になれば喜ばしいことです。例えスポーツから離れても、そのスタイルは人生のプラスになるからです。
ですが、何が何でも長身になるのが成功とは限りません。例えば卓球選手の場合、大会に参加している日本人選手の身長はそれ程高くはありません。
卓球選手と日本人全体の平均身長を比較
先のリオオリンピックを参考にしますと、男性選手の平均身長が170.3cmでした。そして女子選手では154.6cmです。
この平均身長がどのくらいのレベルかと言いますと、同年度の日本人全体の平均身長と比較すると分かりやすいでしょう。
この年の20~24歳の男子の平均身長は171.49cmで、女性は158.50cmでした。比べると卓球選手の平均身長は、全国平均より1cm以上も低めのレベルになっています。
世界では身長が低くても結果を出している選手はたくさんいる
現在卓球界をけん引している世界トッププレーヤー20人の内、身長が平均的が、あるいは平均身長以下のプレーヤーが8人ほどいます。
ちなみに卓球界では175cm以上を長身プレーヤーとしていますが、それ以下の身長である選手として、
- 王皓選手:174cm
- 水谷隼選手:172cm
- 馬龍選手:168cm
- クレアンガ:168cm
- 荘智淵:168cm
- 岸川聖也:167cm
- 松平健太:167cm
- スミルノフ:165cm
と、名実ともに兼ね備えた実力者が顔を連ねています。
結論を言いますと、卓球の世界では身長の低い選手が優れた実績を打ち立てるシーンが多々あります。と言うより2000年以前では、小柄でシャープな動きを見せる選手の方が好成績を生んできました。
グランドスラムを達成した中国の「馬龍」も176cm
卓球界で数々の名声を打ち立てた中国人選手・馬龍は1988年生まれのアラサー選手で、身長は176cm、体重70kgとあまり大柄な体ではありません。
しかし常時世界ランキングトップランクに位置し、ランキング1位はおろか、卓球大会のグランドスラムの偉業をも達成している名プレーヤーです。
相手に攻撃パターンを絞り込ませない多彩な攻撃を駆使するテクニシャンなのです。その結果、これまでの戦績は580試合中で520勝・勝率90%の圧倒的な強さを見せつけています。
成長期に身長をどれだけ伸ばすかが勝負
さて、卓球というスポーツにおける身長のメリット・デメリットは大方お分かりいただけたと思います。結論は年々長身選手が増えているということ、観戦側もダイナミックな試合を好む傾向があってドライブ型の選手が目立つのは確かです。
そこで、これから卓球選手を目指す子供たちには、是非成長対策をおすすめします。できれば180cm前後の長身を持って、今後の卓球界に名乗りを上げていってほしいと思います。
骨を成長させる成分はカルシウム・マグネシウム・ビタミンCなど、筋肉の成長はアルブミンやBACC系のアミノ酸、亜鉛・鉄分にビタミン群を十分に摂取することが欠かせません。普段の食習慣からは不足とされている成分ばかりです。
また規則正しい睡眠が成長の基礎ですので、おろそかにしないようにしましょう。疲労感を感じる程度の運動も成長の助けですから、充分に遊ばせたいものです。
スポーツキッズは補給のために子供用サプリを活用
スポーツをしている子供たちが慢性的な栄養不足になりがちだと知っていましたか?ただでさえ成長期の子供は栄養を必要としています。
しかし今の食習慣ではエネルギー源の糖の摂取は過剰気味、反対に細胞や骨を造るタンパク質やカルシウムなどが全く足りていないのです。
カルシウム・マグネシウムの摂取も少なすぎる中でインスタント食品でリンの過剰摂取をするものだから、骨がスカスカの子供が増えています。
また、ビタミン群は全般的に摂取不足で、体内代謝率が低下しています。この問題を食卓だけでカバーするのは難しいでしょう。メニューの組み立ても大変ですし、作っても食べてくれない事も多いです。
そこで飲むだけで摂取できるサプリメントの常用がおすすめです。品質の良い成長サプリを選んで、毎日飲むようにすれば成長の助けになるでしょう。
まとめ
最近、長身の卓球選手の活躍が目立ってきました。それは、これまでのテクニック重視のプレーから、大きな体をフルに使ったパワープレーで相手を圧倒する試合運びが有効となってきたからです。
もちろん平均身長の選手にも素晴らしい活躍をしている方はたくさんいますが、長身の選手が有利な現状は変わりません。
そこで、これからプロ選手を目指そうと頑張っている子供たちは、今の成長期にしっかりと栄養を摂り、細胞分裂をフルに発揮させるために十分睡眠を確保して、その上で練習や遊びに精を出してください。
身長を伸ばすには食事・睡眠の改善が大切
ですが、最近はインスタントや冷凍食品、ファーストフードにジャンクフード、そして最も危険な炭酸飲料水のおかげで、体を造る栄養素が全く足りていない状況です。
夜中までゲームやスマホをいじって遊んでいる子も多く、睡眠の質の低下も問題です。もちろん、外で元気よく遊ぶ習慣もなくなってきました。
こういった点を改善する事で、より元気に卓球の練習に打ち込めるようになるでしょう。そして良い結果を得る最短距離にもなります。