子供の成長豆知識

子供の成長の秘訣『成長ホルモン』とは?【今すぐできる3つの対策】

本を片手に驚く少年

子供の成長を気にしてネットで調べていると「成長ホルモンの分泌が大切!」「成長ホルモンを分泌させましょう!」というような話をよく見かけると思います。

ただ、成長ホルモンと聞いても文字通り「成長に関係したホルモン」ぐらいのイメージで、どういうものかわかりませんよね。実際に調べてみても専門用語などが使われ、少しわかりづらいと思います。

そこで、今回は子供の成長のためには欠かすことのできない”成長ホルモン”とはどういうものなのか、できるかぎり簡単に説明していきます。また、どうすれば分泌されるのかなども解説していくのでぜひチェックしてください。

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成長ホルモンとは?

そもそも成長ホルモンを含めた”ホルモン”とは、一体何なのかというと臓器で生産されて血液中に分泌されます。それから、離れた細胞に対してなんらかの働きをする物質のことです。

また、顕微鏡でしか確認することのできない細胞がホルモンを作ってゆくのですが、血液中に分泌されず、そのまま細胞に留まるか隣の細胞に働きかける場合もあります。

そんなホルモンの一種である成長ホルモンは、脳下垂体と呼ばれる脳の下にある1cmほどの器官から分泌されているのです。ちなみに脳下垂体は成長ホルモン以外にも健康維持のために他のホルモンも分泌する働きがあります。

脳下垂体で作られた成長ホルモンは肝臓に働きかけて、ソマトメジンCという成長に大きく関係するものを作らせます。その後血液中に放出することで、体の隅々まで行きわたらせていくのです。

成長ホルモンは子供のときしか分泌されないようにも思えますが、実は子供だけではなく大人になっても分泌はされているのです。

分泌量は子供の時が多く、その後成長するにつれて量が減っていきます。そのため、子供のときにどれだけ成長ホルモンをきちんと分泌させられるかが重要です。

成長ホルモンの働きによって作られたソマトメジンCが骨の成長を促進させます。

成長ホルモンの働き

成長ホルモンは身長を伸ばす働きがあります。身長は骨にある「骨端線」と呼ばれる伸びしろが伸びることによって高くなっていきます。

成長ホルモンはその骨端線に働きかけ、骨を縦方向に伸ばしていく役割があるのです。ちなみに骨端線は年齢とともに閉鎖し、思春期の後半には完成するといわれています。

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成長ホルモンは大人になっても分泌されています。子供のときは主に身長を伸ばすために働きますが、大人になると「代謝調節」が主な働きです。

街ぐるみ認知症相談センター「成長ホルモンとは」によると成長ホルモンは脂肪の調節をしたり、全身の細胞に働きかける、脳にも働きかけるなど色々な働きを持っているのです。

脳の細胞のなかに活動をすると成長ホルモンを抑制する「ニューロペプチドY細胞(NPY細胞)」というものがあります。

成長ホルモンは脂肪を分解する働きがあるのですが脂肪が減りすぎると、NPY細胞が成長ホルモンの分泌を抑制し、脂肪を溜めようとします。そのため、痩せすぎにも注意をしないといけません。

成長ホルモンを分泌させるためには

成長ホルモンを分泌させるために必要なものは以下の3つです。

  • アルギニン
  • 運動
  • 睡眠

アルギニン

アルギニンとはアミノ酸の1つです。体内でも生成することができるので、食事から摂る必要がある必須アミノ酸ではありません。

しかし、アルギニンは分解される速度が速いため、不足している人は多くなっています。とくに子供は十分な量を分泌することができませんので、子供のときは必須アミノ酸だともいえます。

「成長ホルモンを分泌させるためには」でアルギニンを紹介していますが、実はその効果はあいまいです。

日本の小児内分泌学会はサプリメントによるアルギニンの効果を否定していますが、海外の実験では効果が出たと研究結果から報告されています。

私としてはどちらも間違ってはいないと思うので、アルギニンに対しては過度な期待をせず、摂取するのがいいと思います。

どちらかというとアルギニンだけではなく、食事全体の栄養バランスを考えたほうがいいでしょう。

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運動

近年では、遊び場所の減少やゲームやネットの発達によって運動不足になっている子供が増えてきています。

運動は身長を伸ばすためにはとても大切なことで、欠かすことはできません。運動をすることによって成長ホルモンを分泌させるだけではなく、骨に刺激を与えることができます。

「筋肉を付けすぎると身長が伸びなくなる」という噂が広がっていますが、それはまったくのデマです。

ただ、過度な運動や重いものを担ぐなどの運動は骨に刺激が加わりすぎ、負担になってしまいます。

運動でもっとも効果的なのはバスケやバレーなどの縦方向に刺激が加わるスポーツです。ただ、お子さんが嫌がっている場合は無理にやらせるのはやめておきましょう。

スポーツを無理に続けてストレスを溜めてしまうと、身長に対して悪影響を及ぼしてしまいます。成長ホルモンの分泌はストレスによって量が減ってしまうかもしれません。

理想的な運動は負担がなく、子供の好きなスポーツをさせてあげることです。そのうえでバスケやバレーだとなおいいでしょう。

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睡眠

子供と青年における睡眠パターンと睡眠問題によると過去から現在のデータを比較すると、だんだんと睡眠時間が短くなっているというデータがあります。過去と現在では1時間も短くなっているのです。

成長ホルモンは睡眠中にも分泌されるのですが、睡眠不足になると生活リズムが崩れてしまい、本来なら分泌される量が減ってしまいます。

塾やスポーツチームに入っていたりすると夜遅くになることもありますが、将来的なことを考えると夜更かしをするのはオススメしません。

睡眠不足が続くと集中力の低下や、頭痛、便秘などの症状がでてきます。睡眠不足によって集中力が続かないと勉強も身に付かないですし、スポーツだと怪我をするかもしれません。

睡眠不足は成長ホルモンを分泌させないだけではなく、生活にも悪影響を及ぼします。そのため、しっかりと睡眠を取るようにしましょう。

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サプリを飲んでも成長ホルモンの分泌量は変わらない?

上記のアルギニンのところでも少し説明していますが、日本小児内分泌学会は「サプリからアルギニンを摂取しても成長ホルモンの分泌は促進されない」と否定しているのです。

サプリメントの服用で成長ホルモンの分泌が促進するとは考えられません。

アルギニンは治療として使われる場合は成長ホルモンの分泌を促進させますが、サプリなどから経口摂取しても消化され、分泌されないといわれています。

ただ、カルシウムや鉄、ビタミンDの不足が原因で成長できていない場合は、これらを含むサプリを摂取することで成長を正常化させることは可能だと書いています。

身長サプリでアルギニンを摂取すると考えるよりも、普段足りていない栄養素を補うために摂取するものだと考えるといいでしょう。

成長ホルモン過剰分泌による病気

びっくりマークと医者

成長ホルモンは通常なら過剰に分泌させれないように調節されています。しかし、病気の中には腫瘍ができることによって調節ができず、成長ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気があります。

先端巨大症(アクロメガリー)という病気です。この病気は文字通り、あごや鼻、手、足などの先端が大きくなります。

またそれ以外にも発汗過多や視野障害などの症状も伴ってきます。女の子の場合だと月経不順になる危険性もあるのです。

難病情報センター「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症(指定難病77)」によると発症率は欧米の調査で10万人に4~24人と報告されていますが、最近の報告だと見逃されている患者さんはまだまだいるとされています。

治療は原因となる腫瘍を取り除く手術が行われます。その後、過剰分泌によってできた合併症の治療が行われて終わりです。

この病気は腫瘍が大きくないかぎりは安全性が確立された手術を行うので安心してください。

成長ホルモン不足による病気

食事や運動、睡眠など生活習慣に気をつけているのに、他の子供と比べてかなり身長が低い場合は成長ホルモンの分泌が不足する病気を疑ったほうがいいかもしれません。

成長ホルモン不足させる病気を「成長ホルモン分泌不全低身長症」といいます。この病気になる原因は分かっておらず、他の病気が原因で引き起こされるとも考えられているのです。

小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症」によると成長ホルモンが分泌されず、不足すると、身長が伸びないだけでなく骨がもろくなったり、集中力の低下や、ストレス増加によるイライラの症状もでてきます。

成長ホルモン分泌不全低身長症の主な治療法は「成長ホルモン製剤」をペン型の注射です。この注射は医師に打ってもらうわけではなく、親が注射を打つことになります。

注射は痛くならないように工夫されていますが、それでも「注射を打つ」という行為がとても不安になると思います。不安があればすべて医師に相談して解決しましょう。医師も丁寧に対応してくれるはずです。

厳しいかもしれませんが親が不安だと子供も不安になってしまいます。そのため、子供を不安にさせないようにするためにも、しっかりと注射の打ち方などの不安を解決しておく必要があります。

大人になっても大切な成長ホルモン

成長ホルモンは身長を伸ばす以外にも代謝調節としての働きや、エネルギー源の確保、怪我や骨折からの回復などの働きもあります。

成長ホルモンは細胞内の糖や脂肪の代謝を活発にし、エネルギー源の確保も同時に行います。また、成長ホルモンは肝臓に働きかけ、骨を伸ばすソマトメジンというホルモンをつくらせます。

大人になって成長ホルモンを不足してしまうと代謝が調節できなくって太りやすくなったり、怪我からの治りが遅くなったりする危険性があるのです。

疲れやすく感じる、太りやすくなった気がする、怪我の治りが遅いと感じたら成長ホルモンの分泌が少ないのかもしれません。

その場合は、お子さんの生活習慣改善と一緒に自分の生活習慣を見直してみてはいかかでしょうか。生活習慣を改善することで成長ホルモンの分泌量が改善されるかもしれません。

まとめ

成長ホルモンはお子さんの成長のためには絶対に欠かすことのできないホルモンです。アルギニンの摂取で分泌量は増えるかもしれませんが、理想は生活習慣を見直して分泌させることです。

それでも「共働きで難しい」「食事で十分に栄養が摂れているか不安」だと心配ならば、身長サプリに頼ってみるのもよいと思いますよ。

子供の成長を願うのであれば「運動・食事・睡眠」の生活習慣を今一度見直して、成長ホルモンを分泌できる環境にしてあげましょう。