牛乳を飲むと身長が伸びるという話は、昔から言われています。その為、子供の頃は親からも牛乳を飲むように言われ、現在親となっている方も多くが子供に牛乳を飲むよう勧めているのではないでしょうか。
しかし、こうした俗説についてはしっかりと調べてみたところ、何の根拠もないという場合も少なくありません。もしも牛乳を飲んでも身長が伸びないという事であれば、そもそも牛乳を無理して飲む必要もないという事になります。
そこで、この「牛乳を飲むと身長が伸びる」という話について、本当に牛乳を身長には関係性があるのか、それとも牛乳を飲んでも身長は伸びないのかについて、詳細を解説していきます。
牛乳ってどんな栄養素が含まれているの?
飲めば身長が伸びると昔から言われている牛乳ですが、そもそもどんな栄養素が含まれているのでしょうか。牛乳に含まれている栄養素の中で、もっとも代表的で誰もが知っているのがカルシウムです。
このカルシウムがもとで、牛乳を飲めば身長が伸びるという風に認知されています。例えば、牛乳200mlの中に入っているカルシウムはどれくらいかというと、約220mgほどとなってます。
それに対し脂質が7~8mgで、たんぱく質は6~7mgです。この数値を見れば一目瞭然ですが、牛乳に配合されている栄養素の中ではカルシウムが一番多いと言えます。
他にもカルシウムが含まれている食べ物や飲み物はありますが、牛乳の場合はカルシウムが占める割合が多い為、非常に効率よくカルシウムを摂取する事ができるのです。体が成長する為には、カルシウムだけではなくたんぱく質も非常に重要な栄養素です。
どうして牛乳を飲めば身長が伸びると言われるのか?
以前から子供には牛乳をたくさん飲むようにと言われています。これの一番の大きな要因は牛乳を飲むと身長が伸びるからです。
しかし、なぜ牛乳を飲むと身長が伸びると言われているのでしょうか。他の飲み物では身長が伸びないのでしょうか。まず身長が伸びる為には骨が成長するということが関係しています。
では骨を成長させる為には何が必要かというと、骨を作る元であるカルシウムが必要不可欠なのです。当然ですが骨を成長させるにはカルシウム以外にもいろいろな栄養素は必要で、ビタミンやミネラル、コラーゲンなども重要な要素となります。
あとはビタミンの中でもビタミンDは欠かす事ができません。しかしそんな中でも特に重要なのがカルシウムなので、そのカルシウムを豊富に含んでいる牛乳は、身長を伸ばすのに最適な飲み物と言われており、子供にも勧められています。
牛乳を飲めば身長は伸びるのはホント?ウソ?
牛乳からカルシウムだけを摂取しても身長は伸びない
牛乳は身長を伸ばすのにはおすすめの飲みもので、牛乳はカルシウムを大量に含んでいるからです。
ですが、牛乳だけを飲んでカルシウムを摂り入れていれば、それだけで必ず身長が伸びるかと言えばそんなことはなく、牛乳からたくさんカルシウムを摂っていても身長が伸びない事もあります。
牛乳に含まれているカルシウムは身長を伸ばす為にはとても重要な栄養素の必要ですので、身長を伸ばしたければ牛乳を飲めと言われており、これ自体は間違っていません。でも、牛乳のカルシウムだけでは身長を伸ばすには不十分なのです。
カルシウムが不足すると骨が弱くなってしまう可能性があります。また、カルシウム不足により正常な成長ができないという事は十分考えられるでしょう。
つまり、カルシウムは骨を成長させることのサポートはできますが、それ単体では成長を促すことはないので、牛乳を飲んでカルシウムを摂取しただけでは身長は伸びるとは言えないのです。
カルシウム以外の栄養素も補給してこそ身長促進につながる
カルシウムは身長が伸びる為に必要な栄養素ですが、カルシウムだけでは身長は伸びないという事を理解しておく必要があります。なぜなら、カルシウムは骨を補強してはくれるものの、カルシウム自体に成長を促す作用はないからです。
ではどうすればよいかというと、カルシウムはもちろん摂取した上で、骨の成長を促してくれるその他の栄養素も補給しましょう。具体的にはまず成長に欠かすことができないたんぱく質です。
たんぱく質は牛乳にも含まれていますので、牛乳を飲むことは成長にプラスとなることは間違いありません。ただ、その他にもビタミンやミネラルが必要で、中でも特に注目したいのがビタミンDという成分です。
通常、牛乳など食品から摂取したカルシウムはそのままでは十分に体に吸収することができません。それを助けてくれるのがビタミンDという成分です。
カルシウムと一緒にビタミンDを取り入れる事ができれば、カルシウムの吸収率をアップさせてくれるのです。
ちなみにビタミンDは魚や卵などから摂取する事ができる他、太陽の光を浴びる事により体内で生成することができる栄養素です。
必要な栄養を食べ物からとることはもちろんですが、外に出て日を浴びる事も、身長を伸ばすのには必要なことと言えます。
日本人の子供は世界でもカルシウム摂取が特に少なく飢餓状態
子供の身長が伸びる伸びないに大きな影響を与える栄養素の一つであるカルシウムは、昔から牛乳をたくさん飲む事で摂取できると言われており、子供にはそのような指導が一般的です。
しかし、それにも関わらず日本人の子供のカルシウム摂取量は世界で見るととても少なく、ある意味カルシウムの飢餓状態とも言われています。
なぜ日本人のカルシウム摂取量が少ないかというと、例えば日本の水は主に軟水であり、海外の硬水に比べてカルシウム量が少ないことがあげられます。
また、日本人が食べる和食にはもともと乳製品が少なかったことなどがあり、これらの要因が日本人のカルシウム摂取量の少なさの原因ともいわれているのです。
カルシウムが不足する原因には、日本の水は軟水でカルシウムの含有率が低いため、植物のカルシウム分も硬水のヨーロッパなどに比べて少ないこと、伝統的な和食には乳製品が少ないことなどがあげられます。
成長期には大人以上のカルシウムが必要
身長が伸びる為には欠かせないカルシウムですが、基本的な作用としては骨を伸ばす成長促進作用ではなく、骨を強くしてくれる作用があります。
成長を促進させるのはまた別の栄養素による影響となりますが、だからといってカルシウムが不足してしまうと身長が伸びないという事にもなりかねないので、牛乳などから積極的にカルシウムを摂取する必要があります。
そして、身長がもっとも伸びる時期である成長期の子供の場合は、大人の約3倍にあたる量のカルシウムが必要となります。一般的に成人男性が一日に必要とするカルシウムの量は30代から40代だとおよそ650mgです。
それに対し成長期の子供の摂取量は700mgから1000mgとなっています。このカルシウム摂取量は体重によっても異なりますので、体の大きさに合わせて換算した場合には、成長期は大人の3倍程度のカルシウム摂取が必要となるのです。
骨の量は20歳くらいの頃が最も多くなり、その後年齢を重ねるごとに減少していきますので、成長期のカルシウム摂取量が少ないと大人になってからの骨の量が少なくなってしまうのです。
成長期に最も不足するカルシウム摂取は行政機関も問題視している
カルシウムは不足していると、骨や歯などを作る、あるいは強くすることが十分にできず、本来伸びるはずの身長が伸びないなどの影響が出る可能性があります。
また、子供の成長期段階においてはカルシウムの必要量は大人に比べて約3倍程度必要となりますので、できるだけ多くのカルシウムを摂取できるよう牛乳を飲むなど、食生活にも気を付けなくてはいけません。
カルシウムが元となってできている骨の量は成長期にその量のピークを迎え、その後どんどん減少していってしまうので、成長期段階におけるカルシウム摂取は非常に重要なのです。
しかしながら、実際には成長期の子供のカルシウム摂取量はとても十分とはいえません。これには様々な理由がありますが、中でも影響が大きいと言われているのがダイエットです。
近年、体型を気にしてダイエットを行う年齢がどんどん低下してきており、成長期にダイエットをする子供も少なくありません。
しかしこうした成長期のダイエットはカルシウムなど成長に必要な栄養不足を招くリスクがあり、健康上望ましくありません。そしてこの成長期のカルシウム不足については行政機関でも問題視しているのです。
カルシウムの摂りすぎはよくない?
子供の成長に欠かすことができない栄養素であるカルシウムは、身長が伸びる伸びないだけではなく、骨の量が少なくなってしまうなどのリスクがありますので、できるだけ多くのカルシウムを摂取する必要があります。
カルシウムを手軽に摂取できる方法としては、牛乳を毎日飲むといった方法が考えられますが、ここで一つ気になるのは、カルシウム不足を気にするあまりカルシウムを過剰に摂取してしまって、健康に害が及ぶといったことはないかという点です。
栄養と呼ばれているものでも、過剰な摂取をしてしまうとよくない場合がありますが、カルシウムについてはどうなのでしょうか。
中にはカルシウムの過剰摂取は健康によくないのではと考えていらっしゃる方もいるようですが、そういった心配をする必要はありません。そもそもカルシウムの摂取量が不足しがちな日本人は、むしろ多く摂取するくらいでもいいのです。
もともと日本人のカルシウム摂取量はアメリカ人の3分の1にしかならないので、とりすぎによる心配は必要ないほどです。
厚生省では、カルシウム摂取量の上限値を2300ミリグラムに決めています。牛乳約2リットル分です。これはカルシウムを制限するためのものではなく、これだけとっても安全という意味に解釈すべきでしょう。
ちなみに、もしカルシウムの摂取量が体の必要量以上となってしまった場合には、勝手に吸収量を減らすなどの調整を体がやってくれます。逆にカルシウム摂取量が少ない場合にも、体ができるだけ多くカルシウムを吸収しようとしてくれるのです。
牛乳はカルシウム摂取には欠かせない食品
日本人のカルシウム不足は深刻な問題となっており、特に成長期の子供のカルシウム不足は身長が伸びないといった影響もある為、できる限りカルシウムを摂取するよう努める必要があります。そこで重要となる食品が牛乳です。
牛乳は飲むと身長が伸びるという風に昔から言われていますが、これは要するにカルシウムを手軽に摂取できる食品の代表格が牛乳だからです。
他にもカルシウムを摂取できる食品はたくさんありますが、やはり牛乳がもっとも簡単にカルシウムを摂取できるのです。その為、子供には牛乳を飲むようにと言われており、学校給食でも必ず牛乳が出されるような仕組みとなっています。
牛乳を飲むメリット
牛乳を飲むメリットは、何も身長が伸びる事だけではありません。仮に、牛乳を飲んでも身長が伸びない場合でもそれ以上に他の部分で多くのメリットがありますので、特に子供は牛乳を飲むべきと考えられます。
牛乳には多くのカルシウムが含まれています。その牛乳を飲む事によって骨や歯を強化する事ができるのです。骨は若いうちにしっかりと丈夫な状態にしておかないと、年齢を重ねるとどんどん弱くなっていってしまいます。
また、牛乳にはカルシウム以外にもたんぱく質が含まれており、このたんぱく質はカルシウムと共に骨を丈夫にしてくれる役割があります。
骨の量を増やしたり丈夫にするには、カルシウムとたんぱく質が重要となりますので、それらを同時に摂取できる牛乳には非常にたくさんのメリットがあると言えます。
牛乳摂取が子供の体格に与える影響について
牛乳が子供の体格にどのような影響を与えるのかというと、やはり第一に思い浮かぶのは身長が伸びるという影響ではないでしょうか。中には牛乳を飲んでもあまり身長が伸びないということもあります。
しかし、多くの場合は牛乳を飲む事でカルシウムが摂取できるので身長が伸びやすくなるのです。
実際、牛乳を一定量飲んでいる小学生と、それほど牛乳を飲んでいない小学生の身長の伸びを計測してみたところ、牛乳を一定量飲んでいる小学生の方が身長の伸びが良かったというデータがあります。
これは、牛乳に含まれているカルシウムをしっかりと摂取することができたことが要因と考えられます。
このデータについては、上記画像のとおり一般社団法人のJミルクにも掲載されており、そのデータによると牛乳をより多く摂取していた小学生の3年間の身長の伸びは平均して20センチ以上の伸びが確認されています。
それに対してあまり牛乳を飲んでいなかった小学生はというと、3年間で18センチ程度しか身長が伸びていなかったというデータになっているのです。
こうしたデータからも、やはり牛乳を飲む事でカルシウムをしっかりと摂取すれば、身長が伸びやすくなるということがわかります。
成長期の身長増加と牛乳摂取の意義
子供が成長期の段階になると、身体のあちこちが成長しようとするので、それに伴って必要なエネルギーや栄養素は増大します。この時、エネルギーや栄養素が不足してしまっていると、十分に体が成長できないという可能性があります。
そんな中でも特に重要なのがカルシウムです。成長期の子供のカルシウム不足は深刻であり、世界的に見ても日本の子供はカルシウム不足に陥りやすい傾向があります。
深刻なカルシウム不足を補うために、成長期の子供に牛乳を飲ませるのはとても意義がある事です。子供の身長が伸びる要因としては、親からの遺伝であったり運動などによる骨への刺激など、いろいろな事が影響します。
しかし、それら身長が伸びる様々な要因は、すべてしっかりとカルシウムなどの栄養が整っていてこそ作用するものです。ですから、まず何よりも牛乳を飲んで、身長が伸びる為の準備を整える事が第一になります。
牛乳を飲んで体の準備が整った状態で初めて、その他の要因によってしっかりと身長が伸びるのです。
他の栄養素も同時に摂取するバランスの良い食事を!
子供の身長が伸びるか伸びないかは、成長期にきちんと必要な栄養を摂取できているかが大きなカギとなります。必要な栄養が摂取できていれば、自然と身長は伸びやすくなりますし、それ以外の要因によっても身長が伸びやすくなるのです。
身長を伸ばす為には、まず基本としてカルシウムの摂取が必要です。これについては、もっとも手軽なものとしてカルシウムが多く含まれている牛乳を飲む事で、ある程度満たすことが可能です。
ただし、身長を伸ばす為には牛乳以外の栄養についてもきちんと摂取する必要があります。身長を伸ばすというとカルシウムにばかり目がいきがちですが、他にも必要な栄養はたくさんありますので、まずはバランスの良い食生活を心がけるところからです。
牛乳によって摂取したカルシウムを十分に活かす為には、たんぱく質やビタミンにマグネシウムなども欠かす事ができない栄養素です。
食事だけでは摂取が不足しがち!不足を補うために子供用サプリの活用を
子供の身長を伸ばす為には、まず第一にカルシウム不足にならないようにすることが必要です。それには牛乳を飲むことが推奨されています。牛乳は、多くの食品の中で最も手軽にカルシウムを摂取できる食品の一つだからです。
しかし、カルシウムだけを摂取していても身長は伸びないことがあります。なぜなら、身長を伸ばすのはカルシウムだけではなく、その吸収率を良くしてくれるビタミンやミネラルなど多くの栄養素が必要だからです。
ただ、このような様々な栄養素をまんべんなく摂取する為には、バランスの良い食生活を毎日送らなくてはなりません。
しかし現実的には、食事からだけで身長を伸ばす為の栄養素をすべて摂取するというのはなかなか難しいことです。特に子供の場合は好き嫌いがあったりして栄養が偏る可能性もあります。
ですから、栄養の偏りや不足については食事だけではなく、子供用のサプリメントを利用するという方法もあります。サプリメントなら必要な栄養を効率よく摂取できますので、子供の身長がなかなか伸びないという場合にも最適です。
まとめ
一般的には牛乳を飲んでいれば身長が伸びるといわれています。これは、牛乳には多くのカルシウムが含まれている事から、簡単にカルシウムを摂取して身長を伸ばせるためです。
確かに、牛乳には特にカルシウムが多く含まれていますので、骨に必要な栄養であるカルシウムの摂取には向いているといえます。
ただ、牛乳を飲んでカルシウムだけ摂取していれば必ず身長が伸びるかというと、中には伸びないケースもあります。身長が伸びる為には、カルシウムはもちろん必要ですが、それ以外の栄養素もきちんと摂取しなければならないからです。
とはいえ、日本人の子供は世界的に見てもカルシウム不足の傾向がありますので、まずは牛乳などでカルシウムをしっかりと摂取することは必要不可欠です。その上で他の栄養をとり、身体の成長を目指しましょう。
ではカルシウム以外の栄養素はというと、基本的には食事から取るものなので、バランスの良い食事を心がける事が大切です。
もし、食事だけでは栄養が不足してしまう場合には、子供用サプリメントなども上手に使って栄養不足を解消しましょう。